「イランカラプテ」
これはアイヌ語で「こんにちは」という意味です。
アイヌは独自の言語があり、しかも文字を持たない文化なので、
すべて口伝えで「生ものとして」受け継がれてきたのです。
そしてそれはお料理も似ていて、アイヌの伝統的なお料理は、
お肉や魚を「新鮮なうち」に調理したものもたくさんあります。
この記事では、アイヌとはなにか?
知っておきたいアイヌの言葉や、美味しいアイヌ料理をご紹介します。
アイヌとは?
アイヌとはニュースでも耳にしますが、なんのことなのか解らない方も多いと思いますので、
簡単ではありますがご説明いたします。
アイヌというのは北海道や樺太、千島列島、東北の北側に先住していた民族のことをいいます。
文字を持たない民族なので、口伝えで文化を受け継いできたようです。
明治以前は正式に日本の領土となっていなかった蝦夷地(えぞち)。
明治以降本州からの移民者(和人)の入植によって蝦夷地は北海道と改められ、
日本の領地とされ、アイヌの人たちも日本国籍に組み込まれるようになったのです。
アイヌ新法とアイヌの文化
蝦夷地の頃から、和人とアイヌの人との間で物々交換をしていたのですが、
そのことが原因で度々争い事が起こっていたようです。
明治に入り、蝦夷地が北海道に代わってから同じ日本人となったものの、
和人によるアイヌの人たちへの差別が多くなり、
アイヌの人たちの生活が立ち行かなくなってきたので
政府は「北海道旧土人保護法」という法律をつくりました。
しかし、この法律が更にアイヌの人たちの生活を苦しくさせてしまったのです。
内容は
- アイヌの学校を作る
- 土地の給付
- 生活の保護
- 農耕の推奨
などをしたりするのですが、和人視点の法律でしたから、
アイヌの人たちにとってみれば伝統や文化は無視されている状態なのでした。
そして「土人」と呼ばれることが嫌で隠そうとするアイヌの人が出てきたり、
「土人」が差別的な言葉として使用されたりするようになって行ったのです。
この法律は平成まであった法律です。
そこで、この「北海道旧土人保護法」を廃止しようと、アイヌの人たちが活動を起こし
何十年もかかってやっと「アイヌ文化振興法(アイヌ新法)」ができて
「旧土人法」は廃止されました。
「アイヌ新法」はアイヌの文化の振興、誇りの尊重、先住民族として認められ、
文化や伝統を持続し守られるようになって行ったのです。
でも、先住民族として認められたのはごく最近。
しかも、アイヌの人たちの求めている「先住権」は認められてはいないので、
今後もこの法律は変化をしていくでしょう。
アイヌ言語ってどんなの?
アイヌは文字を持たない民族で文章として歴史が残っているわけではありません。
アイヌ言語は独特の発音があり、かわいい言葉もたくさんあるんですよ。
かわいいアイヌ語
ではまず、かわいい響きのアイヌ語からご紹介します。
- ハポ(母)
- ユポ(兄)
- サポ(姉)
「ポ」ってかわいいですよね。
家族・親族の呼び方に「ポ」がついている言葉が多いです。
- ミッポ(孫)
- アチャポ(叔父)
などにもついていますが、
お父さんはミチ、弟はア?、妹はマタ?といいます。
発音が独特なので小さなカタカナを発音するときは控えめに発音します。
他にも
- ピリカ(良い、美しい)
- ポロ(大きい)
- ポン(小さい)
などがあります。
私のおススメのかわいい言葉はコロポックル(小人)です。
かっこいいアイヌ語
かっこいいアイヌ語もあります!
- ニシパ(紳士)
- ラマツ(魂)
- カムイ(神)
- イヨマンテ(動物を神の世界へ送る儀式)
ニシパは「ニシパの恋人」というトマトジュースの商品名でも使われているのですよ。
カムイは
- 神威岬(かむいみさき)
- 神居古潭(かむいこたん)
など北海道のいたるところの地名でも使用されています。
覚えておきたいアイヌ語
アイヌ語でのあいさつもありますから、覚えておきたいところですね。
- イランカラプテ(こんにちは)
- イヤイライケレ、ヒオーイオイ(ありがとう)
- ヤイトゥパレノ(さようなら)
- ヒンナ(いただきます、ごちそうさま)
ありがとうの「ヒオーイオイ」はカジュアルな場合に使うそうですよ。
伝統的なアイヌ料理
アイヌの人たちはどんなご飯を食べていたのかも、気になりませんか?
アイヌ民族は狩猟民族ですから、海や山で魚や動物を捕って食料にしていました。
今の北海道も寒いですが、大昔の北海道は更に寒かったので、
農作物を育てることは大変だったのです。
野菜は大根類や豆類を育てていたといわれています。
しかし、北海道は未開の地ばかりですし、自然の恵みを大切にしていたアイヌの人たちは、
山から山菜を採ってきて食糧にしていたので野菜は育てなくてもよかったのでしょうね。
オハウ
アイヌ料理でメジャーなものはオハウです。
オハウは「汁」という意味があって魚がメインの汁は「チェプオハウ」、
肉がメインの汁は「カムオハウ」と呼ばれます。
肉や魚の他には野菜や山菜も入っていて、
北海道の郷土料理の石狩鍋や三平汁の元ではないかといわれているんですよ。
味は魚介や、鳥、など動物の骨からとった出汁を使い、塩で整えていたようです。
仕上げに昆布や乾燥させた行者ニンニクの粉末を掛けて食べます。
北海道の美味しい素材をふんだんに使用している「汁」なんでしょうね。
ラタシケプ
山菜や豆、野菜を煮込み潰して魚の油や獣油で風味付したものです。
「ラタシケプ」は「混ぜたもの」という意味があります。
普通の日にも食べますが、イオマンテなどの儀式には欠かせない料理です。
チタタプ
魚や肉のたたきです。
鮭や鹿、ヒグマなどの肉をたたき行者ニンニクを刻んで混ぜて焼き昆布や塩で味付けされています。
生肉で腐りにくい冬は大量に作り、食べきれず傷みそうな場合は団子にして汁物に入れていました。
アイヌ料理が食べられる店
アイヌ料理の店 ポロンノ
- 〒085-0467
- 北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4丁目7-8
- 電話0154-67-2159
マリモで有名な阿寒湖のほとりにあるアイヌ料理のお店です。
シカ肉のユック丼がおススメで独特の臭みがなく食べやすいと評判ですよ。
海空のハル
- 〒060-0063
- 北海道札幌市中央区南3条西4丁目17-3 J・BOXビル5階
- 電話011-231-6868
札幌の繁華街ススキノに近い場所にあるアイヌ料理専門店です。
ここは予約にはなりますが、アイヌの家であるチセの中でお食事ができます。
アイヌの新法、言語、料理 おわりに
今回はアイヌの言葉やお料理をみてきましたが、いかがでしたでしょうか。
アイヌ新法ができてから、アイヌの伝統と文化が大きくクローズアップされるようになり、
言葉やお料理もより気軽に楽しむことができるようになりました。
北海道にはたくさんの美味しい食べ物がありますが、
アイヌの料理も候補のひとつに入れてみてくださいね。
最後までお読みいただき、ヒオーイオイ(ありがとう)