2020年8月15日、日本が終戦を迎えてからすでに75年が経ちました。
戦争を知る世代の高齢化が進み、戦時中を生き延びてこられた方々がだんだんと少なくなってきています。
ですが、日本に生まれた私たちには、戦争の恐ろしさを知り、二度と同じ過ちを犯さないためにも、
世界平和の大切さについて考える必要がありますね。
そこで今回は、第二次世界大戦のさなか、満州を拠点に活動していた731部隊について、
わかりやすくご紹介したいと思います。
731部隊とは?
731部隊とは、第二次世界大戦の際、大日本帝国陸軍に存在した研究機関のひとつで、
その拠点は満州にあったとされています。
731部隊では、兵士の感染症予防や衛生管理のための研究を行うと同時に、
細菌戦に使用するための生物兵器の研究や、開発をする機関でもありました。
生物兵器とは、細菌やウイルス、またそれらが生み出す毒素などを使い、
人や動物に対して使用される兵器のことを指します。
日本国内では、1982年に生物兵器禁止法が制定されていますが、
こっそりと生物兵器を開発している可能性も高いのでは、と推測されています。
それは日本に限らず、世界中の各国に当てはまることのようです。
現に、禁止法制定後の日本でも、オウム真理教が
炭疸菌と呼ばれる菌を培養して散布したという事件もありました。
731部隊は、当時の指揮官であった石井四郎の苗字をとり、石井部隊の異名もあり、
生物兵器の研究を行っていたことから、人体実験や生物兵器の実際のテストが行われていた、と噂されています。
731部隊の少年兵たちの人体実験とは?
当時、731部隊の元少年兵だった須永鬼久太氏(92)の体験談が、日本中に大きな衝撃をもたらしました。
須永氏は、わずか14歳で731部隊に入隊し、そこから17歳になるまでの3年間、満州で働いており、
残酷な人体実験が行われていたと話しています。
731部隊は、敵兵を伝染病に感染させ、重篤な状態にさせることを目的とした
「細菌爆弾」を製造することを任務のひとつにしていたそうです。
そこで開発されていたのが、「ペスト菌爆弾」です。
これは、ノミを病原菌の媒介生物とし、ばらまくことで、
敵兵をペストに感染させるといった恐ろしい戦闘方法でした。
この爆弾の威力を試すために、非情な人体実験がなされていました。
その犠牲となったのが、当時日本軍の捕虜になっていた中国人やロシア人です。
実験施設に連行された捕虜たちは、身動きが出来ないように杭にくくられ、
731部隊はそんな彼らのすぐ近くで細菌爆弾を炸裂しました。
その後ペストに罹った彼らは、数週間後には全員死亡し、解剖に回され、
臓器などの各器官への損傷を徹底的に分析されていたといいます。
この実験台となる捕虜たちは、「マルタ」と呼ばれていました。
これは文字通り「丸太」という意味で、人間ではなく丸太のような存在として扱われていたのです。
また、人体実験の際に捕虜たちを丸太の杭にくくりつけていたことからも、このような呼ばれ方をしていたのだそうです。
731部隊の人体実験は嘘なのか本当なのか?
731部隊は長く、細菌戦を行っていたと言われていました。
ですが、アメリカの国立公文書館から当時の731部隊に関する機密文書が発見され、
その機密文書には「731部隊は細菌戦や人体実験を行っていない」という内容が記されていたということです。
アメリカは、第二次世界大戦におけるナチスや日本の「戦争犯罪」について調査を進めてきましたが、
その調査の結果、731部隊が人体実験を行っていたという証拠はどこにもなく、
また細菌戦を行ったという記録も残っていない、ということでした。
ですが、戦後、実際に元少年兵の証言があったり、当時捕虜として捕まっていた人々がその惨状を述べたりと、
731部隊の人体実験について多くの証言がなされています。
そのため、人体実験は嘘なのか、あるいは本当なのか、
真相はわかっていない状態なのです。
731部隊の件だけではなく、戦争をめぐる様々な行為については、
終戦後75年経っても、被害者・加害者側双方の証言の食い違いによって、
真実が明らかにされていないものがたくさんあります。
そのため私たちはきちんと真実を知り、
改めて戦争の恐ろしさ、平和の大切さについて考えていかなければなりません。
731部隊とは?少年兵たちの人体実験は嘘なのか本当なのか? おわりに
この記事では、731部隊で行われていた少年兵たちの人体実験について、ご紹介しました。
今では考えられないほど人権や命の大切さを無視した恐ろしい実験が行われ、
実際にその実験を手伝わされていたのが、まだ年端もいかない少年兵だった、ということに胸が痛むとともに、
極限の状況下におかれると人間が残虐になってしまうことが垣間見えます。
人体実験が実際に行われていたのか、真相ははっきりとはわかりません。
ですが、中国やロシア人の捕虜たちの中には、軍とは無関係の一般の人々も多くいたようです。
そして、現在も世界中で様々な紛争は起きています。
このような悲劇を繰り返さないためにも、先人たちの遺してくれた教訓を学ぶとともに、
改めて戦争のない世界の大切さを再認識していかなければなりません。
最後までお読みいただきありがとうございました。