あなたは『人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)』というのをご存知でしょうか?
人形浄瑠璃とは日本の伝統芸能のこと。
江戸時代初期に三味線音楽、浄瑠璃と結びついて生まれたとされる人形芝居のことです。
人形芝居と言っても、パペットのことではありませんよ!
人形浄瑠璃では素材は木曽檜を用います。
眉(アオチ)・目(ヒキ目・ヨリ目)など動くものには仕掛けを、
また内部にうなづき糸をつけるなどして、表情を豊かにする工夫が施されて、
精工なつくりがされている人形を使ったお芝居なのです。
そのたたずまい、きらびやかな衣装は、まさにジオラマ歌舞伎!
国指定の重要無形民俗文化財としても指定されている人形浄瑠璃。
大阪を本拠地とする「文楽(ぶんらく)」を始め、
全国各地で伝統芸能が守られ、演じられています。
今回はその1つである「阿波人形浄瑠璃」についてご紹介しましょう。
まぁ、まずはこれまでの歴史を振り返ってみようか。
阿波の人形浄瑠璃 その歴史とは?
阿波人形浄瑠璃は、徳島県の各地に伝承されている義太夫節(ぎだゆうぶし)による三人遣い(さんにんづかい)の人形芝居です。
かつては、各地の神社の境内に建てられた農村舞台で祭礼などとして上演されてきました。
16世紀末からの歴史を振り返ってみると..
・慶長年間初期
三味線の伴走による浄瑠璃と人形劇を融合した人形浄瑠璃は、淡路で生まれたといわれています。
・江戸時代
1615年、淡路を加増された阿波国守、蜂須賀家の初代藩主家政は、人形浄瑠璃を保護・奨励しました。
淡路の人形座が諸国巡業に出る折には、まず徳島城下で勧進興行をさせるのを例とし、歴代の藩主もこれにならいました。
以後、阿波の民衆にも、人形浄瑠璃の楽しみが広まっていきました。
・明治時代中期
この時期は絶頂期であり、徳島に70以上の人形座があったとされています。
これらの人形座は、地元の祭礼での上演のほか、農閑期には他村へも復興していました。
・現在
映画等の新たな娯楽の登場や戦争の影響で一時急速に衰えましたが、
昭和28年の財団法人阿波人形浄瑠璃振興会の結成などを契機 として、徐々に復興。
その後、民俗文化財として見なおされるようになり、1999(平成11)年に阿波人形浄瑠璃が「国指定重要無形文化財」に、
2002(平成14)年には、人形師・天狗久の制作用具・製品等が「国指定重要有形民俗文化財」になりました。
(以上、徳島県観光情報サイト「阿波ナビ」より)
「演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で我が国にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの」
という位置づけだ。
じゃあ「国指定重要有形民俗文化財」って何?
「日本の文化財保護法において、衣食住、生業、信仰、年中行事などに関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術などの
無形の民俗文化財に用いられる衣服、器具、家屋その他の有形の民俗文化財のうち、特に重要なもの」
として、国が指定したものだ。
凄そうなのは伝わるけど、人形浄瑠璃の演目って、実際どんな感じなんだろう?
阿波の人形浄瑠璃って、どんな話が上演されるの?
徳島県立阿波波十郎兵衛屋敷 公式サイトより引用
人形浄瑠璃の演目は様々、その中の1つ「傾城阿波の鳴門」をご紹介しましょう。
この演目は、
1698年に罪状も明らかにされないまま藩の政策上の犠牲となって処刑された庄屋、
板東十郎兵衛の名を借りて、お家騒動の物語に仕立てたもの
と言われています。
阿波十郎兵衛の屋敷跡であり、「傾城阿波の鳴門」ゆかりの場所なのです。
徳島藩のお家騒動に絡んで、阿波の十郎兵衛・お弓の夫婦は、
主君の盗まれた刀を詮議(せんぎ:ものごとを明らかにすること)するため、
大阪玉造に盗賊銀十郎と名を変え住んでいます。
そこへ巡礼姿の娘お鶴がはるばる徳島から父母を尋ねて来ます。
お弓は我が子と分かるが、そこで親子の名乗りをしたのでは、
我が子にどんな災いが来るとも限らないため、涙を飲んで別れます。
名残惜しげに見送ったものの、ここで別れては今度いつ会えるか分からぬ、と追いかける。
ここまでが順礼歌の段。
十郎兵衛住家の段では、お弓と別れたあと、十郎兵衛はお鶴と出会う。
我が娘とは知らない十郎兵衛は、金欲しさに我が子に手をかけ殺してしまう。
人形浄瑠璃って、いつ、どこで見られるの?
人形浄瑠璃を観るなら、定期公演を行っている「徳島県立阿波十郎兵衛屋敷」がオススメです!
定期公演では、平日・土・日・祝の11:00、14:00の2回上演されています。
平日の音響は録音での上演ですが、土・日・祝日は人形座とともに太夫、三味線が出演しての生演奏で楽しめますよ!
徳島県立阿波十郎兵衛屋敷へのアクセスですが、JR徳島駅から15分の場所にあります。
公共機関の利用では、JR徳島駅前からの川内循環バス利用、左回りで約25分「十郎兵衛屋敷」下車すぐとなります。
また、無料駐車場も3カ所に用意されています。
台数はそれほど多くないので、時間には余裕を持ってお越しください。
人形浄瑠璃 おわりに
徳島県立阿波波十郎兵衛屋敷 公式サイトより引用
いかがでしたでしょうか。
もし徳島県の勝浦川や桑野川、那賀川、海部川流域の山あいの集落に行く機会がありましたら、
「農村舞台」をご覧になることをお勧めします!
山間の神社の境内は、江戸時代に多くの人が集まることが許された数少ない場所。
春には満開の桜や輝くような新緑の中、秋には紅葉やはらはらと舞い落ちる木の葉とともに、
収穫に感謝し翌年の豊作と家族の健康や幸せを願って、人形浄瑠璃の講演を楽しんでいます。
農村舞台の特徴である「襖からくり」が堪能できるのも魅力ですよ!
11月3日(土・祝)10:30~14:30 犬飼農村舞台
11月4日(日)時間未定 鎌瀬農村舞台
11月22日(木)18:00~ 坂州農村舞台
が予定されているから、行ってみると良いぞ。
でも阿波と言えば、地鶏の生産量全国1位に輝いた、日本トップブランド地鶏「阿波尾鶏」だね!
安心・安全な鹿肉、猪肉「阿波地美栄・あわじびえ」も外せないよね~