あなたにとって「哲学」とは何ですか?
「小難しいわ~」
「なんの役にも立たないわ~」
「はっきり言って現代社会では無意味」
などなど、とっつきにくいイメージがあって、
そもそも、そんなことを考えたことがない人も多いかもしれません。
しかし多かれ少なかれ、「哲学」とは”生きる”という私たち人間にとって、
切っても切り離せない学問といえます。
というのも、「生きる」ということは「考える」ことと不可分だからです。
しかし、これもまた抽象的な話。
これから具体的に「哲学」の歴史や意味にスポットを当て、
「哲学は何のためにあるのか?」
ということをわかりやすく説明していきたいと思います。
哲学の歴史とは?
「哲学」という言葉が生まれたのは1874年(明治7年)。
思想家・西周(にしあまね)という人物によって作り出されました。
英語では「philosophy」。
ギリシア語の「philein(愛する)」と「sophia(知、智)」という言葉が繋がってできた
「philosophia」が語源です。
文字通り「知を愛する」という意味で、
今でこそ様々な分野に分かれている学問(科学)は全て
「philosophia」と繋がりを持った形で発展してきました。
古代ギリシアまで遡ることのできる「哲学」。
大まかに3つの時代で区切ることができます。
- 古代…主に古代ギリシア哲学のことです。
「哲学の祖」と言われるソクラテスやアリストテレスが有名ですね。
紀元前まで遡るこの時代は、まだ「学問」や「知」というものが体系化されていませんでした。
そこで、世界の根源的なものとしてとらえられていた「自然」を
様々な手法で説明しようとする試みが生み出されます。
- 中世…宗教的な価値観が重要視された時代。
トマス・アクィナスというイタリアの神学者に代表される「スコラ哲学」が有名です。
アクィナスは「神の存在証明」をアリストテレス哲学の手法を用いて行い、
宗教(キリスト教)的価値観に「理性」を付与するという大仕事を成し遂げます。
- 近代…「理性」を重要視する時代。
イマヌエル・カントが祖と呼ばれており、
彼は理性を批判し人間の物事の認識に関する「コペルニクス的転回」をもたらしました。
「コペルニクス的転回」とは、カントが自らの哲学を評して用いた言葉ですが、
「物事の見方が180度まるっきり変わってしまう」ことの例えです。
哲学は、前の時代で確立された体系や理論を打ち破り、新たなものを生み出す学問です。
今見てきた「古代→中世→近代」の流れは大雑把ではありますが、
前の時代の遺産を疑い新たな形へと発展させていく哲学の力を
少しは感じることができるのではないでしょうか?
哲学の意味とは?
さて、少し立ち止まって「哲学の意味ってなんだろう?」と考えてみてください。
どうでしょうか。
「難しいことを理解できるようになれる」とか「やっぱり無意味」など
答えは人それぞれのはずです。
どれが正解、どれが間違っているということはありません。
しかし、その答えには主観的な判断も含まれていますよね?
現実問題として”客観的”に「哲学」というものが存在し、
それに「意味」があるとしたら、哲学者はその在り方を正しく認識しようとし、
分かりやすい説明方法を追求していくでしょう。
つまり「物事」をどのように捉え、どのように説明するかということを追求していくことこそが
「哲学」という学問なのです。
しかし「物事」を追求していく上で「何故?」という疑問は絶えることを知りません。
一つ「何故?」が解決しても、またすぐに次の「何故?」が生まれます。
だからこそ、「哲学」は古代ギリシアから現代にかけ裾野を広げながらも
絶えず発展してきたのです。
日常生活で、「哲学が必須!」という場面はほぼないでしょう。
しかし、その日常生活という前提さえにも「何故?」という疑問を持ち、
「世の中のあり様」を正しく見極めようとする姿勢、その方法を身に付けることができるのは
「哲学の意味」と言っていいのではないでしょうか。
また、物質的には何ももたらしてくれないのが「哲学」というもの。
しかし、今の民主主義やあらゆる社会制度、産業技術まで、
その礎となっている学問が「哲学」であり、
「物事の正しさを追及し、さらに上を目指す姿勢」であることは忘れるべきではありません。
哲学はなんのためにあるの? おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は「哲学」について考えてみました。
哲学者にとっても「哲学はなんのため?」という疑問は一筋縄ではいかない疑問です。
人それぞれ、思考の数だけ「哲学」が存在し、意味もそれぞれ違っているのです。
年を追うごとに誰もが各々の思考に沿った矜持を持ちます。
そして、誰にでもふと立ち止まって何かに思い耽るときがあると思います。
考えられる幸せを感じながら、色々な事を自分なりに考えてみましょう。
まさにそれが「哲学」への第一歩と言えます。
最後までお読みいただきありがとうございました。