あなたの乗っているお車、
何を動力として走っているかご存知でしょうか?
近年は、自動車の燃料や動力源が注目されていますが、多くの方が意識していないのではないでしょうか。
従来、ガソリンを使った「ガソリン車」がシェアの大部分を占めてきました。
または、軽油を使った「ディーゼル車」なども多く利用されていました。
しかし、昨今は地球温暖化を食い止める目的で、
電気を使った「電気自動車」が普及し始めています。
今後、ガソリン車、ディーゼル車はなくなってしまうのでしょうか?
しかしながら、クリーンディーゼル車は、電気自動車やプラグインハイブリッド車と同様に扱われ、
経済産業省によるクリーンエネルギー自動車に対する補助金の交付対象に含まれ、
エコカー減税の対象でもあり、人気もあります。
「クリーンディーゼル車って何?クリーンなエネルギーなの?」
「そもそも、ガソリン車とディーゼル車の違いとは何?ガソリン車しか知らないからわからない」
ガソリン車に乗っている方、車に興味がない方の中にはそんな方もいらっしゃるでしょう。
今回はガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いおよび、クリーンディーゼルエンジンについて調べてみるとともに、
電気自動車の進出によるガソリン車、ディーゼル車の今後についても考えてみます。
車を選んでいるんだよ。僕、免許取る予定なんだ
気になる車がディーゼルエンジンを搭載しているんだよね。でも、ディーゼルエンジンってよくわからなくて。ガソリンと何が違うの?
ふむ。ディーゼル車か。かつては黒煙を吐き、臭い、うるさい、汚いというマイナスのイメージのあった車だ。しかし、クリーンディーゼルが開発され排気ガスは無味無臭のレベルまでになり、人気が上がった
うむ。まぁ知らんじゃろうな。ではディーゼル車の特徴から説明して行こう
ディーゼル車の特徴とは?
ディーゼル車は1893年にルドルフ・クリスチアン・カール・ディーゼル氏によって発明されたもので、
軽油を燃料とするエンジンを搭載しています。
軽油とガソリンはいずれも石油を熱したときに発生する蒸気から精製されます。
しかし、分離される温度が違うのです。
ガソリンは30度から230度の間、
軽油は140度から380度に熱したときの蒸気から精製されます。
つまり、ガソリンは常温常圧でも燃えやすく、
軽油は高温高圧の環境で燃焼するというわけです。
ディーゼルエンジンはパワフルさが持ち味で、トルクが大きいのが特徴だ。
うむ、軽油はカロリーが高く、熱効率が良いため、重くて大きいものでも動かすパワーを持っておる
一方で、もともと高回転は得意ではないためたくさんエンジンを回転させて加速するのは苦手なのじゃ。そのため現在使用されているディーゼルエンジンの多くにはターボチャージャーが組み合わせられており、ディーゼルエンジンの力強さに加速力を足しておる
へー、そうなんだ!他にガソリンエンジンとの違いってある?あれば教えてよ!
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いとは?
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの最大の違いは燃焼方式といえるでしょう。
ガソリンエンジンは、ガソリンと空気をシリンダー内で混ぜて圧縮し、点火プラグの火花で火をつけて燃焼させます。
一方、ディーゼルエンジンは空気のみを圧縮して高温となった時に、軽油をシリンダー内へ噴射することで燃え始めるのです。
簡単に言うと点火プラグを持っているのがガソリンエンジン、持っていないのがディーゼルエンジンってことだね
うむ、ディーゼルエンジンは、シリンダー内で空気を圧縮することで高温にする。その構造上、基本的には圧縮する比率がガソリンエンジンに対して高めとなる特徴があるのじゃ。
一方、ガソリンエンジンは圧縮比を上げ過ぎると燃料が自己着火してしまうので、圧縮比は低めとなるのじゃ
自己着火なんかこわい、、そもそも圧縮比が高いとどうなるの?
圧縮比が高ければ、エンジンがより高い熱効率を発揮して、同じ量の混合気からより大きな運動エネルギーを産み出せる。圧縮比が高ければ高いほど、排気量と投入燃料量が同じでもピストンを押し下げる圧力が大きくなるのじゃ。
一方、圧縮比が高いために有害ガスNOx(窒素酸化物)が排出されやすくなるというデメリットもある
つまり、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンより燃費はいいけれど、環境を破壊する物質を排出しやすいってことだね
うむ、しかし、最近はクリーンディーゼルエンジンが開発された
そう、粒子状物質や窒素酸化物の排出量の少ないディーゼルエンジンとして開発されたのがクリーンディーゼルエンジンなのじゃ。
クリーンディーゼルエンジンを搭載した自動車は、環境保護に配慮した次世代自動車として認定されておる
クリーンディーゼルエンジンの台頭
日本では一時期(2000年前後)、ディーゼルエンジンの排ガスが問題視されていました。
クリーンディーゼルが開発される以前のディーゼルエンジンは粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)を排出していたため、
大気汚染の問題があったからです。
そんな中、登場したのがクリーンディーゼル車です。
クリーンディーゼル車は、コモンレールシステムやDPFなどの技術開発で厳しい日本の基準に合格しました。
ストップストップ!コモンレールってなに?
コモンレールとは高圧化した燃料を蓄え、各装置へ均一に供給するシステムのことじゃ。電子制御で燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間すなわち噴射量をきめ細かくコントロールするのじゃ。ポンプよりも高い圧力をかけそれを電子制御することで、完全燃焼に近づけることが可能になったといえる。
DPFはディーゼルパティキュレートフィルターのこと。ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる 粒子状物質(PM) のほとんどを捕集し、除去してくれる
すごいシステムなんだね!デメリットはだいぶ解消されたんじゃない?
うむ、昔に比べて今は振動や騒音も軽減しておる。クリーンディーゼルでは、振動の原因となるピストン系のディーゼルノック音を軽減するシステムを搭載しており、エンジンの構造自体も変わったので静音化に成功したのじゃ
クリーンディーゼルになったことで、乗り心地や使い心地もアップしたんだね!
クリーンディーゼルエンジンは、国内のメーカーではマツダのSKYACTIV-Dというエンジン技術が有名じゃ。CX-3、DX-3、デミオやアクセラなどの車種に搭載されていおるぞ。また、トヨタ、日産、三菱のほかメルセデスベンツやBMWなどの海外勢もクリーンディーゼルを搭載した車種を販売しておる。クリーンディーゼル搭載車については、エコカーとして減税措置があるため、経済面でも助かるのじゃ
クリーンディーゼル車、いいね!僕の車もクリーンディーゼル車にしようかな?
いや、少し待て。ガソリン車、クリーンディーゼル車は今後、生産が抑えられていく動きがあるのじゃ
パリ協定で温室効果ガス排出量ゼロを目指すことになったからじゃ
ガソリン車、ディーゼル車の今後は?
パリ協定とは、2020年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みのことです。
世界の平均気温上昇を
「産業革命前の気温と比較して2℃未満に抑えること」
「平均気温上昇を1.5℃までの上昇に抑える努力をすること」
を目的としています。
この目的のため国際社会は、今世紀後半には世界全体の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにすることを目指しています。
温室効果ガスの中でも二酸化炭素が半分以上を占めているため、
最優先とすべきは二酸化炭素の排出を可能な限り減らすことです。
フランスは2040年を最後に、ガソリン車およびディーゼル車の販売を禁止する政策を発表したのじゃ。フランスのような大国がガソリン車の禁止を明確に打ち出すのは世界でも初じゃ。フランスに続き各国も同様の動きを見せておる。オランダとノルウェーは2025年までにガソリン車の販売を禁止する動きがあり、ドイツも2030年を目標にガソリン車の販売禁止のための法案準備をしておる
トヨタは2040年までにガソリン車およびディーゼル車の販売を廃止する方針を発表しておる。また、今年初頭には国に先んじて、東京都が2040年代までに都内でのガソリン車販売ゼロを目指す施策を打ち立てた。内容は集合住宅での電気自動車用充電設備設置の無償化などじゃ
日本でもガソリン車やディーゼル車が販売されなくなってしまうの?
難しいところじゃな。今のところ日本はクリーンディーゼルの扱いに対しては世界と足並みを揃えていない。世界的にはディーゼル車はイメージが悪化し排除の動きがあるが、日本ではいまだに経済産業省によるクリーンエネルギー自動車に対する補助金の交付対象に含まれておるし、エコカー減税も燃費数値に関係なく免税じゃ。クリーンディーゼルは、電気自動車やプラグインハイブリッド車と同様に扱われる
ええ?結局どういうことなの?エコカーとして認められているのに販売されなくなっちゃうの?日本でも人気がなくなっちゃった?
いや、日本ではまだディーゼル車は人気がある。しかし、欧州ではディーゼル車人気は下火になりつつあり、その影響を受けそうなのじゃ
日本では人気なんだ!車両価格が安いのかな?
いや、クリーンディーゼル車は車両価格自体はガソリン車より高価なんじゃ。国内で販売されるクリーンディーゼルは、ターボを装着して複雑な排出ガス処理装置も備える必要があることから、ハイブリッド車の平均価格と同等になる。しかし、燃料消費量はノーマルガソリンエンジンに比べると少なく、日本では軽油がレギュラーガソリンよりも安い、、というか正確には軽油税が安いから、燃料代はハイブリッド車に近い。その一方で駆動力はハイブリッドよりも強力だ。そのため、ディーゼルはクルマ好きのユーザーに人気を得ておる。ただ、欧州でディーゼルのイメージダウンが進むと、日本でのディーゼル人気にも影響を与え、売れ行きが下がればディーゼルエンジン搭載車が減る可能性もありそうじゃ
世界の影響を受けそうなんだね。でも、どうして欧州ではディーゼル車がイメージダウンしちゃったの?
元々の欧州では大気汚染が問題視されておったのじゃが、ディーゼルゲート事件の影響が大きい
ディーゼルゲート事件とはフォルクスワーゲン社による環境規制検査における不正が明らかになった事件です。
2015年9月18日にフォルクスワーゲン社によるディーゼルエンジンの排出規制不正があったと米環境保護庁が発表しました。
フォルクスワーゲン社は環境規制検査をすり抜けられるように制御ソフトを作っていたのです。
そして、環境規制検査をすり抜けて規制基準を満たさない車を発売していました。
その結果、フォルクスワーゲン社の車は規制の30~40倍にもなる窒素酸化物(NOx)を排出して走行していました。
本来発売されることが許されない車が発売されておったのじゃ。元々待機汚染が問題視されており、欧州でのディーゼル販売比率は、2009年の数字は31%となっておった。更に、ディーゼルゲート事件が発覚した2015年においては20ポイントもダウンしておるのじゃ
ガーン・・そんなことが、、ディーゼルエンジンに対する信頼が失われてしまったんだね。ガソリンもCo2を排出するからガソリン車もダメだし、これからは電気自動車の時代なのかな?
電気自動車の課題は?
世界の流れは電気自動車に向いています。しかし、電気自動車は本当に普及しているのでしょうか?
昨今、テスラモーターズや、日産の電気自動車、トヨタ、ホンダの燃料電池自動車などが注目されていますが、
実際の保有比率を見ると依然としてガソリン車が圧倒的な規模を誇っています。
日本自動車工業会によると、少し古いデータですが世界の自動車保有台数は、2013年末時点で約11億5000万台です。
そのうち、ガソリン車が約75%、ディーゼル車が約20%を占めています。
残りの5%、5700万台程度を、それ以外の自動車が分け合っているのが現状なのです。
電気自動車などの次世代自動車はまだまだ技術的な課題が多い上に、何より消費者側の負担も大きい。車体価格だけでも高額であり、補助金がないと購入のハードルが高いのじゃ。各種補助金や燃料費、充電費などの価格差を考慮しても、購入時の車体価格の差分を回収するのには20年程度かかると言われておる。そのうえ、メンテナンス費用や乗り換え時の下取り価格が確立しているとは言えない状況じゃ
技術が開発されて、量産化されれば解消されそうだけれど、まだまだ時間がかかりそうだね
電気自動車の本格的な普及っていつになるのかな?
それは2030年代が有力な説とされておる。Forbesに掲載された記事によると、2030年には約500万台の電気自動車がカリフォルニア州の道路を走り、2040年には今のスマホ並みに一般的になっていると予測されておる。これは、現在のリチウムイオン電池に代わる次世代バッテリーの実用化と、充電スポットの十分な普及がちょうど重なるのがおよそ2030年代とされているためじゃ。現在の電気自動車最大の欠点である『長距離走行に向かない』という点と、『充電スポットが少ない』という問題が解決されれば、電気自動車の普及が加速する可能性が高いのじゃ
その頃には、大手電気自動車メーカーや、中国のメーカーが電気自動車を大量生産する準備が整っているだろうね
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いは?この先なくなる? おわりに
いかがでしたでしょうか?
かつてはマイナスのイメージが大きかったディーゼルエンジンですが、
クリーンディーゼルの技術により進化していることがわかりました。
しかし、世界的にはガソリン車もディーゼル車も販売を停止する流れにあり、日本でも乗れなくなってしまう可能性が高いです。
長期的に乗るならば、これから販売量が少なくなるであろうガソリン車、ディーゼル車は向いていないでしょうが、
電気自動車はまだまだ高価で手が出しづらいです。
車の種類が多種多様になり、選ぶのが難しくなっていますが、
コストや使い勝手を吟味して選んでみてくださいね。
うーん。難しいなー。車って高いから、よく考えて決めないとね
無理のない範囲で買うのじゃぞ。まずはしっかりと貯金をするのじゃ
うん。まずは頑張って免許取るよ。車のことももっと勉強して、自分に合った車を見つける!
最後までお読みいただきありがとうございました。