安部前総理大臣が打ち出した働き方改革に加えて、
2019年に発生したコロナウィルスによって日本人の働き方への考えは大きく変わりました。
サービス残業や有給休暇をとらないなど働けるだけ働くことが評価された時代から、
効率よく働き、休むことが重視される時代に変わりつつあります。
そんな中、大手企業日本マイクロソフト社が週休3日制度を試験的に導入したことが注目されました。
今回は、週休3日のメリットやデメリットを日本マイクロソフト社の事例から考察してみましょう。
日本マイクロソフト社の実践事例
日本マイクロソフト社は2020年8月の1か月間、金曜日をすべて有給休暇とし、国内の全オフィスを閉鎖しました。
対象は正社員約2300人ですが、派遣社員にも6割の休業補償を行い、もちろん休暇中は何をしてもかまわないというものです。
試験導入の結果は、生産性が20%から30%ぐらい上がったという報道がされています。
なぜ週休3日で生産性が上がったのか?
マイクロソフト社が全社員へただ休みを与えたからといって、生産性が上がるはずはないでしょう。
当然、導入前に様々な準備を積み重ねた結果と言えます。
ここではその要素を一つ一つ紐解いていきましょう。
○週休3日制導入による2つの前提
①給与は変えない
従来の週休2日制の時の給料は変えないということです。
なぜなら、週休3日制になった途端に5日分の給料を4日分にして、5分の4に切り下げれば
モチベーションが下がって、会社が空中分解してしまうからです。
②達成目標は変えない
人間はゆるい生活をしているとだらだら勤務してしまいます。
4日しか勤務してはいけないという制約を設けて、その代わりに給料はきちんと保証するので、
今まで5日で達成した成果目標を4日で達成してくださいということです。
○働く時間と場所の自由化、ウェブ会議を徹底
日本マイクロソフト社では、2009年からITの活用を中心にした働き方改革を行い、
「3Fから3A」というスローガンを打ち出しています。
3F・・・「決められた時間」(Fixed Time)、「決められた場所」(Fixed Place)、「決められたデバイス電話」(Fixed Device)
3A・・・「いつでも」(Anytime)、「どこでも」(Anywhere)、「どんなデバイスでも」(Anydevice)のことを指します。
上記に加えて、社内や社外のコミュニケーションの円滑化を目的として
チャットメッセージやウェブ会議に徹するようにしました。
取引先にも担当者のみが出向き、上司の承認が必要であればオンラインでつなぐことで
不必要な人の動きを省いていったのです。
○AIで生産性を測るシステムの導入
AIを活用して一人ひとりの残業時間、メール・チャットの件数、発信時間・受け手が見た時間・件数などを把握、
仕事の成果と合わせて生産性を測るシステムを導入しました。
このシステムでは、いつ、どの場所で、どの相手とコミュニケーションをして仕事をすると高い成果が出るか、
勤務時間・場所・同僚の好き・嫌いまでわかるというものです。
週休3日のメリットは?
日本マイクロソフト社の実例からみえるメリットは、
限られた時間内に終わらせるために集中度がアップし、生産性が向上する、でした。
しかし、週3日のメリットはそれだけではありません。
①経費の削減
金曜日を5回、全オフィスを閉館にすることで、光熱費や警備、管理、清掃などの人件費がかなり削減できます。
②社員の知識・技術の向上
日本マイクロソフト社では、試行期間にあわせて「ワークライフチョイスチャレンジ」と名づけ、
社員の生産性や創造性を向上させることを期待しました。
休暇の使い方は自由なため、自己啓発のチャンスとして学習講座に出席したり、社会貢献のボランティアに参加したり、旅行を楽しんだりすることも可能です。
また、他企業との協力のもと「異文化異業種職場体験プログラム」も用意されていたようです。
③ストレス減少・従業員満足度が向上
週休3日にすることで生活にメリハリがつくので、長期で家族旅行をしたり、1人で今までできなかった趣味に没頭したり、
資格の試験を受けるために3日間集中して勉強するなど、いろいろなことができるので、
従業員の満足度がアップしていきます。
④優秀な従業員の確保に有利
中小企業への就職で同じような業種・業態を選んでいる時に、週休3日の会社と週休2日の会社で、給料がほぼ一緒だとしたら、絶対に週休3日の会社を選びます。
週休3日のデメリットは?
デメリットとしては、成果目標は従来と変えないとしても、目標が未達成になる可能性があります。
これは一人一人の社員がセルフコントロールとスケジューリングを徹底していくことで改善は測られていくのではないでしょうか。
日本マイクロソフト社以外の事例は?
週休3日制は急に出てきたキーワードではなく、昔から出ては消え、出ては消えを繰り返してきた「古くて新しい」テーマなのです。
○Yahoo!
2017年の4月より育児や介護などの事情を抱えた社員を対象に導入されています。
○ファーストリテイリング
2015年にユニクロやGUを運営するファーストリテイリングが地域限定正社員に導入しています。
○ニュージーランドのPerpetual Guardian(パーペチュアル・ガーディアン)
この会社は遺書作成や遺産管理のサービスを提供している会社です。
従業員240人超を対象に、日本マイクロソフト社同様賃金は週休2日制のまま、1カ月間試験導入し、
成果が見られたため正式導入されています。
週休3日のメリットやデメリットは?日本マイクロソフト社の事例から考察! まとめ
いかがでしたでしょうか。
これだけインフラが発達した日本において、週休3日制は、
子育て・介護・自己啓発など働く側にとって生活のQOLがある魅力的な制度ですよね。
とはいえ、企業側からすれば簡単に導入できるかと言えば
・・・・
ですよね。
しかし、実施している企業があるのも事実です。
日本マイクロソフト社だから、
外資系だから、
IT企業だから
できるということではありません。
日本マイクロソフト社の事例からわかるように
ITリテラシーをもち、企業側が体制を整えることができれば実現しうるものとなるでしょう。
あなたは週休3日についてどんなご意見をお持ちでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。