2500年以上の歴史を持つ「哲学」。
古代ギリシアから始まった西洋哲学こそ最も有名ですが、
世界中を見渡すと古代インドから発展していった「インド哲学」や、
春秋戦国時代に現れた「諸子百家」を起源とする「中国哲学」など、
数多くの種類の哲学が存在しています。
そもそも、「哲学」(philosophy)は19世紀ころまで「知の探究」一般のことを指し、
今のようにおよそ学問の一分野として限定されることはありませんでした。
「研究者=哲学者」だったのです。
例えば、今でも博士課程を修了した人に
「Ph.D.(Doctor of Philosophy)」が「博士号」として授与されるのは、
Philosophyが学問全体を象徴していたことの名残とみることもできます。
今回はそんな歴史と共に形を変え、
様々な他の分野にまで影響を持ち続けてきた「哲学」において
各時代で特に影響力を持った、そして今でも持ち続けている5人の哲学者にスポットを当て、
名言などと共に紹介していきたいと思います。
哲学者で知っておくべき有名人5選
アリストテレス(前384年~前322年)
ソクラテスの弟子であるプラトンの弟子で、
3人合わせて「西洋最大の哲学者」と呼ばれているアリストテレス。
英雄・アレクサンドロス3世の家庭教師だったことでも知られています。
非常に広範に渡る体系的な学説の数々を確立した功績から「万学の祖」とも称されたこと、
「フィロソフィア」つまり「知(ソフィア)を愛する(フィロ)」という
哲学の基礎となる概念を人間の本性として考えたことなど、
まさに「西洋哲学の生みの親」と言っていい存在です。
彼は名言も数多く残しました。
「教育の根は苦いが、その果実は甘い。」
「果実」とは教育の成果。
勉学は苦しいが、その苦しさ・努力の量に従って成果は多くなるということです。
この思想は現代までしっかりと受け継がれています。
例えば、ユーゴーと言う19世紀に活躍したフランスの文学者の残した
「喜びとは苦悩の大木に実る果実である」
という言葉はアリストテレスのものと照応しています。
「プラトンは私の友である。しかし、彼よりも真実を私は友とする。」
彼の「知を愛する」姿勢が表れています。
「多数の友を持つ者は、一人の友も持たない。」
一人ひとりとの関係性が薄ければ、それは真の友人とは言えない、
という厳しさのある名言です。
トマス・アクィナス(1225頃~1274年)
現在ではイタリアの南部に位置するシチリア王国出身で、
「スコラ哲学」の代表的な神学者です。
彼はキリスト教の「神学」とアリストテレスを中心とした「哲学」を統合した
膨大かつ包括的な体系を構築しました。
「神の存在証明」が有名な『神学大全』が彼の集大成となる著書です。
- 「物質は肉体のため、肉体は霊魂のため、人間は神のために存す。」
- 「信者が信じなければならないことの中で、唯一の神が存在し給う現実こそ、第一に信じねばならないことである。」
などの名言が残されています。
ルネ・デカルト(1596年~1650年)
フランスに生まれ、「合理主義哲学の祖」、「近世哲学の祖」として謳われています。
人間の「理性」によって心理を探求していくという姿勢が、
有名な「我思う、故に我あり」という言葉に端的に示されています。
彼には他にも名言があり、有名なものだと
- 「疑いは知のはじまりである。」
- 「世界ではなく、自分自身を征服せよ。」
- 「不決断こそ最大の害悪である。」
などがあります。
イマヌエル・カント(1724年~1804年)
プロイセン王国(今のドイツ)に生まれ、近世哲学を代表する最も重要な哲学者の一人です。
- 『純粋理性批判』
- 『実践理性批判』
- 『判断力批判』
の三批判書がとくに有名で、「ドイツ観念論」の先駆者でもあります。
彼の名言として、
- 「幸福とは理性の理想ではなく、想像の理想である。」
- 「存在するとは、行動することである。」
- 「すべての知識は経験に基づく。」
などがあります。
シンプルですが確信を突いた言葉にハッとさせられます。
マルクス(1818年~1883年)
プロイセン王国出身で、30代以降はイギリスを拠点に活動しました。
彼の場合、「哲学者」と一括りには出来ません。
哲学者として以外に、経済学者や革命家としての活動も行いました。
資本主義社会を研究した大作・『資本論』が代表作で、
彼の理論をもとにした「マルクス経済学」は
20世紀以降の政治・経済・思想に非常に大きな影響をもたらしました。
彼の名言として、
- 「豊かな人間とは、自身が富であるような人間のことであって、富を持つ人間のことではない。」
- 「万国の労働者よ団結せよ!」
- 「自らの道を歩め。他人には好きに語らせよ。」
などがあり、実生活に直結したリアルな教訓を得ることができます。
哲学者で知っておくべき有名人5選 おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回はそれぞれの時代を代表する5人の哲学者と、名言を見てきました。
一冊の哲学書を読破し理解するのは苦労します。
「哲学について気になる!」
という方は名言から入っていくのもいいかもしれません。
あなたの悩みやわだかまりを解くきっかけになる名言に出会い、
より深くその思想を読み解くモチベーションが生まれたら、
ぜひ、先人たちの哲学書を手にして旅してみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。