あなたは「和製英語」と「英語」の区別がついていますか?
ほとんどの日本人が判別がつかないでしょう。
普段意識せず使っている言葉のルーツをひとつひとつ意識するのはとても大変です。
しかし、なかには紛らわしい「英語のような日本語」も混じっており、
日本国外では通じない場合もあります。
そのような時に独自の日本語が英語だと思い込んでいると、
相手に伝わらずとても困ってしまいますよね。
ここでは、英会話の場面でよく間違いやすい「和製英語」を10個ご紹介します。
和製英語なぜできたの!?
「和製英語」の成り立ちよりも、
言語は生き物のように絶えず変化するということが前提にあります。
新しく言葉を作ったり、他言語を使用したりすることにルールも許可もありません。
ですので、今まで日本人はその時々に必要であった言葉を生み出したり、
他の言語で補ったりしてきました。
「和製英語」というよりは「外来語にヒントを得た日本語」
といったほうがふさわしいかもしれません。
これは日本語に限らず、どの言語においてもいえることですね。
英語も元来ゲルマン語族であり、ドイツ語やオランダ語と言語を分かち、
その他様々な言語と混ざり合っています。
その過程は太古の歴史にとどまらず、
現在も人の往来に合わせて新たな言葉が生み出されています。
例えば、英語の中には
- 「Tsunami」
- 「Bonsai」
- 「Sudoku(数独)」
など日本語から借用した言葉もあります。
「和製英語」自体が問題なわけではなく、
和製英語が英語だと無意識に思い込んでしまっていることが、
時に国際的な言語コミュニケーションの妨げになるわけですね。
「和製英語」を知ることは、英語とのギャップを埋めることに大いに役立ちます。
和製英語よく使われる間違いやすいものベスト10
バイキング
テーブルに並んだ料理から自分の好きなものを取り分ける食べ放題サービス。
ホテルの朝食は和洋バイキングのところが多いですよね。
「ここは朝食はバイキング形式なんだよ~」なんて言いたいときに、
英語では「バイキング」では伝わりません。
英語圏の人たちにとっては、
「北欧の戦士ヴァイキングが何だって?」となってしまいます。
それでは英語でどういうかというと、「Buffet」といいます。
注意点は、日本語読みでは「ビュッフェ」ですが、
英語では「ブフェィ」と発音する点です。
日本でのバイキングの歴史は、1958年の帝国ホテル内のレストラン
「インペリアルバイキング」が最初だと言われています。
当時の帝国ホテルの社長・犬丸徹三氏が、
北欧での旅行中にビュッフェスタイル「スモーガスボード」に出会い、
その自由な食事スタイルを新レストランに取り入れました。
ただ「スモーガスボード」は日本人には聞きなれない言葉であったため、
「北欧はバイキングだろう」というイメージから、
店名を「インペリアルバイキング」に変更しました。
その後「インペリアルバイキング」は人気を博し、これを模倣したレストランが、
システム自体を「バイキング」スタイルと名付けたため、
以降「バイキング」として日本では広く知られるようになりました。
先ほどの例文を英語で言いたい場合は、下記のように伝えてみましょう。
- 「ここは朝食はバイキング形式なんだよ。」
- The breakfast is a buffet style in here.
ちなみに、お酒の飲み放題は「All you can drink」といいます。
ダンボール
勘のいい人なら、ダンボールは「段ボール」だから外来語ではない、
と気づくかもしれません。
しかし最近では全てカタカナで「ダンボール」と表記されることも多く、
うっかり英語だと勘違いする人も多いはず。
「ダンボール」は英語では「card board」といいます。
読み方はカードボードです。
ダンボールとはボール紙を使用した板のことで、
断面が波型になっており上下を板で挟まれている形状になっています。
これが階段状に見えることから「段ボール」と名付けられました。
また、ボールとは英語のボード(board)が訛ってボールになったといわれています。
ちなみにダンボールとセットでよく使われる「ガムテープ」も和製英語です。
英語では「duct tape」ダクトテープ、といいます。
例えばこんなふうに伝えてみましょう。
- 「ダンボールとガムテープ借りて良い?」
- Can I borrow some cardboard and duct tape ?
トランプ
室内遊びにかかせないトランプ。
どうみても英単語のように思えますが、こちらも英語では通じない和製英語です。
英語では「(playing)cards」といいます。
シンプルに「カード」の意ですが、
トランプは複数カードがあるので「カーズ」となります。
この「トランプ」はどこから来たのかというと、語源は明治時代まで遡ります。
明治時代、外国人がトランプをして遊んでいる際に、
「切り札」の意である「trump」と言っていたのを聞きつけた日本人が、
その遊び自体を示す言葉と勘違いし「トランプ」と名付けてしまいました。
英語自体が珍しい時代、聞き間違えや意図違いが多かったのかもしれません。
外国人とトランプをしたいときはこう伝えましょう。
- 「トランプしない?」
- Can we play cards ?
もしくは
- Can we play a card game ?
アメリカンドッグ
コンビニエンスストアなどでよく売られているアメリカンドッグ。
欧米のコンビニエンスストアでも売られています。
しかし、そこで「アメリカンドッグください」と言ったら
店員さんを困らせてしまうことになります。
英語では「corn dog」といいます。
アメリカの「アメリカンドッグ」は
トウモロコシ粉(コーンミール)で作った生地で
ホットドッグを包んで揚げたものが主流です。
しかし日本で作るにあたって、馴染みの薄いトウモロコシ粉に代わり小麦粉が使用されたため、
「コーンドッグ」とは名乗れず、「アメリカンドッグ」と命名されました。
ちなみに「コーンドッグ」の「ドッグ」は「ホットドッグ」ですが、
「ホットドッグ」の由来は犬の肉を使用していたから・・・ではなく、
ドイツ人が持ち込んだ長細いソーセージが、犬のダックスフントに似ていたからですね。
アメリカでは「ダックスフントソーセージ」の愛称で呼ばれるようになり、
そこから簡易的に「ドッグ」だけとって「ホットドッグ」になりました。
アメリカンドッグが欲しいときはこう言いましょう。
- 「コーンドッグください。」
- Can I have one corn dog?
アメリカンドッグに限らずですが、
名前に国名がついている言葉は当事国ではその名称では呼ばれていないことがほとんどです。
例えば「スイスチーズ」はスイスでは単なる「チーズ」であり、
「ブラジリアンワックス」もブラジルでは「ワックス」です。
シーチキン
シーチキンの「シー」も「チキン」も英語だから、これは英単語だろう、
と思うかもしれませんが、こちらもれっきとした和製英語です。
外国のお友達にシーチキン食べる?と聞いたら笑われてしまうかもしれません。
シーチキンは英語で「Tuna」です。
マグロは英語でツナというので、加工品のシーチキンも「ツナ」ということですね。
「ツナ缶」と言いたい場合は、「Canned tuna」といいます。
日本での「シーチキン」はそもそも商品名です。
水産加工品会社のはごろもフーズが、マグロが海の鳥と呼ばれていたことから、
マグロの缶詰を「シーチキン」と名付けました。
外国人に「何の肉なの・・・もしやカモメの肉?」なんて誤解を招かないように、
英語ではツナといいましょう。
シーチキンとマヨネーズを和えたものを挟んだサンドイッチは欧米人も大好きです。
- 「ツナサンド食べる?」
- Do you want a tuna sandwich?
と言ってみましょう。
ちなみにマグロつながりでいいますと、欧米でも日本の寿司が浸透し、
寿司ネタのマグロも外国人は好んで食べています。
しかし、あちらで一般的に広く使われているマグロは、
びんちょうマグロ(Albacore tuna)ですので、
「tuna」とオーダーすると高確率でピンク色のマグロの切り身が出てきます。
日本でよく使われる赤身のマグロが食べたい場合には
「bluefin tuna」はあるかと聞いてみましょう。
ピンセット
日本に入ってきた外来語は英語だけとは限りません。
この「ピンセット」もそのうちの一つ、オランダ語です。
大昔に日本にもたらされた外来語は、すでに日本語として定着しているので、
本来どの国の言葉か判別するのは難しいですね。
英語では「tweezers」です。
読み方は「トゥイザース」といいます。
手術道具や実験道具の類はオランダから輸入された言葉が多くあります。
例えば、手術用の「メス」もオランダ語でナイフを意味する「mes」であり、
英語ではスカルペル(scalpel)もしくはランセット(lancet)といいます。
実験に使うスポイトもオランダ語の「spuit」です。
英語ではピペット(pipette)もしくはドロッパー(dropper)といいます。
ピンセットが必要になる場面は急を要することが多いので、
うっかりオランダ語を話してしまわないように気を付けましょう。
- 「トゲ(木片)刺さっちゃった。ピンセット持ってる?」
- I got a splinter in my finger. Do you have tweezers ?
コンセント
「コンセント」は海外旅行で一番使用頻度の高い用語の一つといえます。
例えば、電子機器の充電のためにコンセントを借りたいときや、
コンセントの場所が見当たらないとき、現地の人にどう聞けば良いかご存知ですか?
そのような時は、英語で「Outlet」といいましょう。
イギリス英語では「Socket」がよく使われますが、どちらでも意味は通じます。
和製英語の「コンセント」の由来は、大正末期にコンセントとプラグを併せて
「コンセントプラグ(concentric plug:同心のプラグ)」と称したことが発端です。
そののち、東京電力が電気の工事規定を起草する際、
「コンセント」と「プラグ」とに名称を分けたため、
差し込み口をコンセントと呼ぶようになりました。
また、差す側は英語でも日本語と同様「プラグ(plug)」といいます。
コンセントを借りる例文は数パターンあるので、言いやすい例文を覚えておくと便利です。
- 「コンセントどこですか?」
- Where is the outlet?
- 「どこで充電できますか?」
- Where can I plug this in for charging?
※「Plug in~」 で「~のプラグを差し込む、~をコンセントにつなぐ」の意味になります。
- 「スマートフォンを充電したいのですが」
- Can I charge my smart phone?
ペットボトル
ペットボトルもまた英語では伝わらない言葉の代表格です。
「自分の発音が悪いから通じないのかもしれない」なんて、
それらしく発音してみたところで、海外の人には通じません。
英語では「Plastic bottle」といいます。
もしくは水のペットボトルなら「Water bottle」でも通じます。
「ペット」の語源は、
「ポリエチレンテレフタラート(Polyethylene telrephthalate)」の
頭文字を取ったもので、正式名称の略称ですので、
厳密には和製英語というわけではありません。
しかし海外では「プラスティックボトル」が一般的な呼び方のため、
英語では通じないのです。
同様に、「ビニール袋」や「ポリ袋」といったポリエチレン製の袋も
英語では「Plastic bag」といいます。
「レジ袋」も「Plastic bag」です。
スーパーで要否を聞かれるので覚えておきましょう。
- 「そのペットボトルとってくれない?」
- Can you pass me the plastic bottle ?
- 「レジ袋いりますか?」
- Do you need a plastic bag ?
発泡スチロール
「発泡スチロール」はそのまま言えばもちろん「発泡」は日本語ですが、
急遽英語で言わなければならなくなった時、あなたなら何と伝えますか?
「発泡は英語でなんて言うのかわからないけど、スチロールと言えば伝わるんじゃないか」
と考えるのではないでしょうか。
発泡スチロールは気泡を含ませたポリスチレンのことで、
「スチロール」とはポリスチレンの「スチレン」の別名です。
ですから正式名称としてはあながち間違ってはいないのですが、
日本人に「ポリスチレン」といっても何のことかぴんと来ないのと同様に、
外国人に「スチロール」といっても伝わりません。
英語(特に北米)では「styrofoam」といいます。
発音は「スタイロフォーム」より「ステロフォーム」といったほうが近いです。
「スタイロフォーム」はそもそもアメリカ企業の商品名ですが、
現在では発泡スチロール全般を指す普通名詞になってしまっています。
日本語の「シーチキン」が
元々は商品名だったところから普通名詞になってしまったのと同じ原理ですね。
発泡スチロールをどう廃棄してよいのかわからないとき、以下のように伝えましょう。
- 「発泡スチロールはリサイクルゴミですか?」
- Is styrofoam recicling ?
アイスバーン
冬になると各地で注意喚起がなされる「アイスバーン」は、路面凍結のことです。
積雪や降雨の後に道路上が凍ってしまうと、滑って転んでしまったり、
車がスリップしてしまったりと危ないですよね。
外国人のお友達に「アイスバーンに気を付けてね」と一言添えたいところですが、
残念ながら英語では通じません。
英語では「icy road」といいます。
「アイスバーン」とは直訳でスケートリンクを意味するドイツ語です。
おそらく日本語の路面凍結の意味での「アイスバーン」は、
ドイツ語の「氷(Eis)」と「道路(Bahn)」を組み合わせて作った和製の造語でしょう。
先ほどの例文を英語で言いたい場合は、このように伝えましょう。
- 「アイスバーンに気を付けてね」
- Be careful to walk(drive) on the icy road.
和製英語とは おわりに
いかがでしたでしょうか。
和製英語と一言に言っても、
- 商品名や店名などの固有名詞から普及したもの
- 原料名の名称が英語とは違うもの
- 他言語から借用しているもの
など由来は様々です。
その語源を探れば、日本という国がたどってきた歴史や、
諸外国との交流の軌跡が背景にあり、
試行錯誤して外来語を取り入れた日本人の姿勢が伺えますね。
現在もグローバル化により新しい外来語がどんどん取り入れられています。
そして2020年はオリンピックの年、
様々な国からたくさんの外国人観光客が訪日される見込みです。
あなたも「伝わる英語」で気軽に英会話を楽しんでみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。