あなたは今、お勤めの会社で希望している仕事ができていますか?
希望していた職種があるけれど、
部署内の配置換え、部署の異動命令、就職時、
「とりあえずここの部署で勉強してからね」
と、はぐらかされて数年…
などといった理由で不満を抱えている人も多いのでは?
そんな中、ここ近年注目を集めているのが「社内副業制度」を行う企業です。
「副業」という単語は知っていても「社内で副業・・・?」と疑問に思いますよね。
今回はその社内副業制度について
わかりやすく紐解いて使えるものは使っていきましょう!
そもそも社内副業制度とは?
一言でいえば、
「所属している部署や職種と異なる業務に、就業時間の一定の割合を上限の目安として参加・経験できる制度」
です。
「就業時間における一定の割合」は企業によって異なりますが、
おおむね15~20%というところが多いようです。
たとえば、普段は営業職として働いている人が、
社内開発中のあるプロジェクトが学生の頃の研究対象と似ていて
「参加してみたいな」
と思っていても、
この制度がないと心の中で「いつか・・」と思い、やがて諦めるでしょう。
しかし、この社内副業制度がある会社では
「そのプロジェクトに参加したいです!」
と、声をあげることで、参加することが可能です。
これも会社によりますが、
所属部署の上長の許可がなくとも参加可能な会社もあります。
(一言は断った方が無難だとは思いますが・・)
また、社内副業ですので
給与面では普通の副業のように収入を別に得ることはできません。
しかし、人事評価に関して社内副業の分も併せての評価となりますので、
他部署での貴重な人脈の発掘や、思わぬ出世、昇給が早くなる可能性もあり得るのです。
社内副業制度のメリットは?
繰り返しになりますが、
社内副業制度と本業以外で行う副業との最大の違いは、
「副業による収入の増加がないこと」です。
それなのにメリットはあるのでしょうか。
従業員側のメリットとしては主に以下5点があげられます。
〇別の会社というアウェイの環境で副業して働くよりも、心理的肉体的負担感は軽減される(勤務体系の違いや就業時間管理・通勤にかかる時間が複数回分ないなど)
〇自分自身のモチベーションの向上(してみたかった職種へのチャレンジ・アイデアへの挑戦)
〇それぞれの業務の効率化(副業の時間を取るためにいかに効率よく、また、ほかの人と協力し合いながら業務を進めていけるか)
〇他部署との人材の交流(これまで話す機会のなかった人と交流でき、そこから生まれるアイデアもあるのではという可能性)
〇昇給・出世への人事評価
などがあげられます。
また、企業側のメリットとしては
〇情報流出の恐れがない(同じ鞄で会社の機密情報や社給PCをもったまま副業の現場にいかれないなど)
〇作業の効率化を社員が考え実行(社員が効率的に行おうと考えてくれる)
〇新たに人を雇う人件費よりも抑えることができる(給与は変わらないため)
〇社員育成(社員の適性が見つけやすい)
などがあげられます。
もちろん、通常の副業と異なり、
副収入ができるわけではないなどのデメリットもあります。
しかし、そこについては人事評価がついてきますし、
なにより自身の好奇心・探求心など社員としての「成長」に繋がる制度ではないでしょうか。
社内副業制度がある企業は?
この社内副業制度、実際に行っている企業を3社それぞれご紹介します。
〇丸紅株式会社(総合商社)
・2018年4月~「勤務時間の15%を新規事業創出のための時間に充てることを可能とする制度」があり、
別名15%ルールと呼ばれ、社内副業という呼び方はされていない。
・管理しないことがアイデアやイノベーション(技術革新)を呼ぶと考え、
時間の管理は従業員それぞれに任せている
・所属上長の許可は必要なく、「やります」の報告のみ(挑戦への心理的ハードルを下げるため)
〇株式会社リコー(事務機器・光学機器など製造)
・2019年春~「就業時間の20%を上限とし、社内の他の業務にあてられる社内副業制度」を設けている。
・場合によってはプロジェクトに参画中でも、所属部署の所属のまま、
副業として他プロジェクトへの就業を100%にする申請を行い、集中して行うことも可能な柔軟さがある。
・実際に副業制度利用のメンバーでアイデアを実現するためにクラウドファンディングを実施、
1000万円の支援を募り、結果3000万円以上の支援を得、実現したプロジェクトもあるとか。
〇KDDI株式会社(電気通信事業者)
・2020年6月1日~就業時間の約2割を目安として
自部署以外での業務を経験できる「社内副業制度」を設けている。
・社内副業制度利用の募集業務を各部署で精査・公表し、社員がそれぞれ自主的に応募する。
・社員、所属部署、社内副業先部署の3者が合意すると、最大6カ月間社内副業を行い、
社内副業先の業務も人事評価の対象となる。
この際、テレワークも利用可能で、現在の所属している住居から遠隔の募集業務への参加も可能。
3社それぞれ特色がありますが、
社員の自主性や希望に沿う形をとっていることは共通していますよね。
社内副業制度とは?残業したらどうなる?リコーや丸紅の事例は? おわりに
いかがでしたでしょうか。
社内副業制度という言葉だけでは中身が見えてこなかった制度もわかってきたのではないでしょうか。
「副業」と聞くとどうしてもFXや不動産投資などを思い浮かべ、
「胡散臭い」と敬遠する方も多いのが実情ですが、
「社内副業制度」はそんな方々への心理的ハードルを下げたうえで
視野を広げてくれる制度といえるでしょう。
社内副業制度は副収入が付くわけではありませんが、
希望職種へのチャレンジを実現し、かつ評価につながる可能性があり、
夢のある制度ではないでしょうか。
日本ではまだまだ根付いておらず、反対意見やデメリットに偏った意見も聞かれますが、
働き方改革が進む今、所在地や所属部署にこだわらず、
さまざまなチャレンジをすることができる制度は
豊かな人生のきっかけになるのではないでしょうか。
また、社員のこれまでの経験や他部署だからこそ出るアイデアの尊重や、
イノベーションをおこす可能性を推し進めてくれる制度でもあり、
会社側からしても人材の持つポテンシャルを最大限引き出せる仕組みといえるでしょう。
今後、さまざまな企業で行われ、問題点やそれに対する改善点も出てくると思いますが、
そこについては企業側も従業員側も柔軟に話し合い、
終身雇用制度が崩れつつある老後も見据えた
様々な職種にチャレンジできる環境が整っていくと良いですよね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。