あなたは雨上がりでもないのに空が虹色に輝く現象を見たことがありますか?
- 環水平(かんすいへい)アーク:太陽の真下に水平な虹色の帯が伸びる
- 環天頂アーク:太陽の真上に円弧状の虹色の帯が伸びる
- 幻日:太陽の左右にまぶしく輝く虹色のスポット
- ハロ:太陽を中心にした円弧状に虹色の帯
- 彩雲:太陽の周辺の雲が、淡いピンクなどパステルカラーに色づく
虹色に輝く現象には様々な名前があります。
今回はこの中から「環水平アーク」を取り上げたいと思います。
環水平アークとは?彩雲との違いは?
「環水平アークは地震の前兆と言われているのは本当か?」
環水平アークの写真を見て、
彩雲と似ているので勘違いする方もいらっしゃるでしょう。
しかし環水平アークと彩雲は違う現象です。
そして、彩雲と勘違いされることから、「地震雲」と関連づけられ、
「環水平アークは地震の前兆」と考える方もいらっしゃるようです。
果たして環水平アークは地震と関係があるのでしょうか。
御パンダ、また画像検索をしているのか。一体、何を見ているんだ?
見て。これ、彩雲って言うんだって!虹色でとってもきれい
どれどれ。ん?似ておるが彩雲ではないぞ。これは環水平(かんすいへい)アークじゃ
上空の雲に含まれる氷の結晶により、太陽の光が屈折することによって起こる気象現象じゃ。虹のように見える気象現象はたくさんの種類があって、環水平アークもその一つじゃな。ちなみにアークとは弧を意味しておる
うむ、では環水平アークとは何か解説してやろう
環水平アークって何?
環水平アークは太陽が見える方向の地平線近くに、ほぼ水平の虹が見える現象です。
上空の雲に含まれる氷の結晶により、することによって起こります。
普通の虹が太陽を背にして発生するのと異なり、太陽と同じ向きに現れるのが特徴です。
太陽高度が58度以上の場合にのみ現れる現象のため、
真冬のように太陽が低い時期には見えません。
夏場のお昼前後を中心に、太陽が頭上高く昇る頃に現れます。
さらに言うと、透明感のある晴れ空や薄曇りの日によく見られます。
普通の虹と環水平アークを比較してみよう。まず、普通の虹の出現位置は太陽を背にした反対側、出現条件は雨上がりや滝の周辺などじゃ
環水平アークの出現位置は太陽の下方半径46度付近。出現条件は中緯度から低緯度の地域の夏期じゃな
その通り。普通の虹は真円の上半分、環水平アークはほぼ水平の逆さ虹じゃ
向きが逆なのじゃ。普通は上が赤じゃが、逆さ虹は下が赤となる。
うむ、話を戻すが、環水平アークは太陽の下方約46度に出現する。つまり太陽が46度以上まで上がる場所・時期しか観測出来ないのじゃ。
東京で言うと2月下旬から10月中旬くらいが出現期となるのじゃが、地表すれすれに出現した場合は気付かれることがない。そのため、事実上の観測シーズンは4月中旬~9月中旬くらいとなる。また、緯度や観測地の見晴らしによって見えやすさが異なってくるため、地域によって観測可能な時期は多少ずれる。原理上、北にいくほど観測が難しくなる
環水平アークについてはわかったけれど、彩雲との関係って何なの?
彩雲はその名の通り雲じゃ。光の帯である環水平アークとは全く違う
環水平アークと彩雲の違いとは?
環水平アークは彩雲とよく似ていると言われますが、その現象は全く違います。
環水平アークは先述の通り、太陽の下に虹色の光の帯が出現している現象です。
彩雲とは、太陽の近くを通りかかった雲が、緑や赤に彩られる現象のことです。
というのが大きな違いなのです。
ただし、環水平アークは断片的な雲を通して見えるときがあり、
同じく虹色をした彩雲としばしば混同されるのです。
彩雲とは、太陽の近くを通りかかった雲が、緑や赤に彩られる現象のことじゃ。太陽光が雲に含まれる水滴で回折することで起こる。その度合いが光の波長によって違うために様々な色に彩られるのじゃ。基本的に虹色に光ることがほとんどで、その姿は環水平アークに似ておる。ちなみに彩雲は瑞雲(ずいうん)、慶雲(けいうん)、景雲(けいうん)、紫雲(しうん)などとも呼ばれておる。この呼び名は天狗界でも同じじゃ
その通り。あくまで気象現象の一つじゃが、古来より日本では『吉兆』や『縁起が良い』ことの象徴と言われてきた
縁起が良いって本当?どちらかというと、彩雲って地震の前兆って言われていたりして縁起が悪そうに思えるよ
それは彩雲を地震雲と考えているからじゃな。地震雲は大きな地震の前後に出現するといわれる雲のことじゃ
さて、それはどうじゃろう。ただ地震の前に環水平アークや、彩雲を目撃した人が多数いるらしいぞ
環水平アークは地震の前兆って本当?
2008年5月12日、四川大地震が発生しました。
発生の前日、東京や神奈川上空には
環水平アークに非常によく似た彩雲が出現していたと言われています。
また、2011年に発生した東日本大震災前にも環水平アークが出現していた
という情報もあります。
このような事実があるため、環水平アークを地震の前兆と呼ぶ人も多く、
環水平アークが地震雲の一種と見なされているのです。
環水平アークと地震雲が全く関係がないことは、環水平アークが起きる仕組みからわかるのじゃ
環水平アークの出現には高層にいる
と言われる雲が関係しています。
巻雲は雲が出現する高度の中で一番高いところに現れ、
その高さは5000m~13000mの間と言われています。
高度が高くなるとその分低温となるために、巻雲は氷の結晶によって作られています。
そして、六角形状の氷晶が太陽の光を屈折させて虹色に見えるという仕組みです。
巻雲(けんうん)やアークは季節や場所によって出現確率が大幅に変わる。日本ならば夏期じゃ。しかし、地震は海溝沿いならばいつでも起こりえる
地震は季節や場所に関係なくいつでも起こっているが、巻雲やアークの出現は限定されている。つまり、地震と巻雲や環水平アークは恐らく関係ないということじゃ
確かに……。環水平アークが出現するときだけ地震が起こっているわけじゃないし、環水平アークが出ているからっていつも地震が起こるわけじゃないもんね
そもそも高度からして、環水平アークは地震雲とは異なるのじゃ
環水平アークと地震雲の関係は?
一般的に地震雲とされる雲の特徴は以下の通りです。
- 比較的低い位置(低い高度)に発生することが多い。
- 風に流されない(流されにくい)。
- 長時間形を変えず消えない。
- 大地震だけに限らず、小規模な地震の前にも地震雲が発生する。
- 雨天や曇天など、空が広く雲に覆われている時には、地震雲とそうでない雲の判別が難しい。
この比較的低い位置、というのも環水平アークが地震雲とに関係ない証拠じゃ。繰り返すが環水平アークを生み出す巻雲は、高さは5000m~13000mで出現する
そもそも、地震発生の過程と観測される雲の発生する原因との因果関係はまったく証明されていないのじゃ
地震雲って科学的に証明されたものじゃないの?
現在ではまだ科学的に証明はされていいない。日本地震学会は地震雲について『地震研究者の間では一般に関係性はないとされているが、関係が皆無であると断言はできない。しかし過去の報告例は大地震の前にたまたま特異な形の雲を見たことで地震と雲を結びつけてしまう一方、地震が起きなかった場合には雲のことを忘れてしまうと考えられる』と述べておる。
うむ、気象庁も地震雲に対する見解は『無いと言いきるのは難しいが、仮にあるとしても『地震雲』とはどのような雲で、地震とどのような関係で現れるのか科学的な説明がなされていない』としている
なるほど。まだ証明されていないから、変わった形の雲を見ても地震の前兆とは言い切れないんだね
その通り。今のところは地震の前に変わって雲を見たという『後付け』されているだけに過ぎぬ。もしかしたら今後、地震と雲の関わりは証明されるかもしれん。しかし、現在はまだ地震の前兆とは言えぬのじゃ
環水平アークとは?彩雲との違いは?地震の前兆なのかを徹底検証 おわりに
いかがでしたでしょうか?
美しい環水平アーク、彩雲とは似て非なるものであることがわかりましたね。
地震の前兆であるという説は今のところ立証されておりません。
地震雲には後付けの要素が大きく、
地震の予知に雲を利用するということは出来ないのではないでしょうか。
雲で地震が来るってわかれば便利なのになぁ
そのうち解明されるかもしれんが、今のところは因果関係が証明されてない。
じゃあ、なかなか見られるものじゃないから、環水平アークを見つけたらラッキーって喜んでおけばいいね!
うむ、素直に、環水平アークの美しさを愛でるのじゃ
最後までお読みいただきありがとうございました。