２０２０年にＢＬＭ運動が活発になったのは記憶に新しいですよね。
「黒人の命は大切だ」
という合言葉を掲げ、コロナ禍にも拘わらず世界中でデモが繰り広げられています。
日本人には無関係だと思われがちですが、
人種差別は日本でも存在し、無視できない問題です。
今一度、ＢＬＭの意味について考えてみましょう。
まだアメリカでＢＬＭ運動が盛んになっているんだね。スポーツ選手などが抗議の行動を示しているのは知っているけれど、抗議運動で何を求めているんだろう？
ＢＬＭは黒人の命を守るための運動じゃ。今まで黒人は無罪であっても疑いをかけられれば、強引に逮捕されたり、時には射殺されてしまうこともあった。しかも、無罪であることが証明されても、撃った警官の罪は軽くなることが多い
ひどい！アメリカの人種差別は深刻だね
これはアメリカや黒人だけの問題ではないのじゃ。世界中が人種差別について敏感になり、積極的に取り組んでいかねばならない。ＢＬＭについてもっと勉強してみよう
目次
ＢＬＭ運動とは？
ＢＬＭとはブラック・ライヴズ・マター (Black Lives Matter)の略称です。
具体的にはアフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為に抗議して、
不服従を示すアメリカ合衆国の組織的な市民運動のことです。
ＢＬＭと呼ばれる組織は、米国とカナダに約１６の支部を持つ分散型ネットワークとして存在しておる。中でも大きなＢＬＭ運動は、Ｄｒｅａｍ ＤｅｆｅｎｄｅｒやＡｓｓａｔａ’ｓ Ｄａｕｇｈｔｅｒｓなど、志を同じくする様々な別個の組織から構成されておるのじゃ
１６も支部があるんだ！世界中に広がっている運動なんだね！でも、一体何いを訴えているの？
一般的に黒人に対する警察の暴力に反対し、黒人の解放に関連すると考えられるその他の様々な政策変更を提唱しておる。『Ｂｌａｃｋ Ｌｉｖｅｓ Ｍａｔｔｅｒ（ＢＬＭ＝黒人の命は大切だ）』と訴えているのじゃ
え？黒人の命だけが大切なの？命は全部大切なものじゃないの？
確かに。ＢＬＭ運動が続くなかで、Ａｌｌ Ｌｉｖｅｓ Ｍａｔｔｅｒ（人種に関わらず、すべての命が大切）というスローガンを掲げる人たちも現れておる。もちろん、すべての命が大切であることには違いないのじゃが、今回考えるべきなのは、『これまで黒人の命が軽んじられ、排他されてきた』という事実じゃ。黒人の命が犠牲になった事件があり、改善せねばならぬ問題があるからこそＢＬＭ運動は生まれたのじゃ
ふーん。ＢＬＭ運動が始まったきっかけって何だったの？２０２０年から急に始まったの？
いや、ＢＬＭ運動自体の歴史は長い。始まりは２０１２年、ある女性のツイートからじゃ
ＢＬＭ運動が始まったきっかけは？
ＢＬＭ運動は最近になって始まった運動ではなく、
２０１２年から提唱され続けています。
以下にＢＬＭ運動の歴史についてまとめます。
２０１２年 トレイボン・マーティン殺害事件
２０１２年２月南部フロリダ州にて、アフリカ系アメリカ人のティーンエイジャーのトレイボン・マーティンさんが殺害された。マーティンさんはフードをかぶって飲み物とお菓子を買って帰るとき、自警団の男性に不審者と見なされて射殺されたのじゃ
何もしてないのにひどい！
マーティンさんは当時、銃などは持っていなかったのじゃが、自警団の男性は正当防衛が認められ無罪になった。それを知ったアリシア・ガルザさんという黒人女性がＳＮＳに投稿した文章が始まりじゃ。“Black people.I love you.I love us.Our lives matter.Black lives matter”
どういう意味？
直訳すると『黒人の皆さん。私は皆さんを愛している。私たちのことを愛している。私たちの命は大切。黒人の命は大切だ』という意味じゃ。これを見たアリシアさんのの女性がハッシュタグをつけ、そこからＳＮＳで拡散していった。２０１３年には、州や自警団によるブラックコミュニティへの暴力に立ち向かい、黒人の生活の質を向上させることを目的とした「Black lives Matter」という名前の財団も設立されておる
２０１４年アフリカ系アメリカ人死亡事件によるデモ
２０１４年にセントルイス近郊の都市ファーガソンと、ニューヨークの２か所でアフリカ系アメリカ人２人の死亡事件が発生した。これ受けて行われた街頭デモを通じて、ＢＬＭ運動は全国的に認知されるようになった。ファーガソンの抗議行動以来、運動の参加者は警察に抗議してきた。多数のアフリカ系アメリカ人が警察に暴力を振るわれたり、警察に拘束されている間に死亡したりしたことに対する抗議運動なのじゃ
なるほど。ＢＬＭ運動の主な対象は黒人に対して横暴な振る舞いをする警察なんだね
２０１５年夏 活動拡大
２０１５年夏にはＢＬＭの活動家たちが２０１６アメリカ合衆国大統領選挙に関与するようになった。ハッシュタグと行動への呼びかけの発起人であるアリシア・ガーザさん達を中心に、２０１４年から２０１６年の間に３０以上の地方支部からなる全国ネットワークへとプロジェクトを拡大したのじゃ。ＢＬＭ運動全体は、正式なヒエラルキーを持たない活動家の分散型ネットワークじゃ
すごい！社会に大きな影響を与える組織に成長したんだね。でも、上下関係がない分散型ネットワークって興味深いね
２０２０年、ジョージ・フロイド殺害事件
そして、２０２０年のジョージ・フロイド殺害事件じゃ。この事件は知っておるな
これは知っている！最近のＢＬＭ運動デモのきっかけとなった事件だよね
ミネソタ州ミネアポリスの警察官デレク・ショーヴィンがジョージ・フロイドという男性を殺害した事件じゃ。フロイドさんは無抵抗だったのに白人警察官に首をひざで地面に押し付けられて死亡した。このことに抗議して、世界各地で『ＢＬＭ』を訴えるデモが起きたのじゃ
どれくらいの人が参加したの？
２０２０年の米国でのＢＬＭ抗議行動には推定１５００万人から２６００万人が参加した。そして、ＢＬＭは米国史上最大級の運動となった。この運動は、警察予算を減らして教育など他の部門にまわすことと、黒人コミュニティや代替的な緊急対応モデルに直接投資することを提唱している。また、２０２０年６月のピュー・リサーチ・センターの世論調査では、人種や民族を問わず、アメリカ人の大多数がＢＬＭ運動への支持を表明していることが明らかになった
支持率がすごい！これだけ多くの指示ということは黒人以外の人種からも支持を受けている、つまり現状が酷いってことだね
その通り。ＢＬＭ運動はもはやアメリカだけの運動ではなく、世界中に広がっている。そして、この問題は黒人だけのものではないのじゃ
ＢＬＭ運動、世界中に広がるデモとその特色は？
ＢＬＭ運動のデモは暴力行為を肯定するものではありません。
ＳＮＳなどで世界中に広がってデモの特色をまとめます。
- デモの日程と場所はインスタでシェア。主催者は明かさない。
- 参加者のほとんどが、ジェネレーションＺ（Ｚ世代、２０００～２０１０年代生まれ）とミレニアル（１９８０0〜２０００年代生まれ）
- 同時多発的に複数の場所で連日開かれている。
- 警察を刺激することがなく、極めて平和的。
- 主催者があらかじめ印刷して持参するように呼びかけるプラカードがなく、全部手製で段ボール箱の裏が多い。
若い世代が中心ってことだね。ＳＮＳが呼びかけの中心になっているところも今時って感じ
集会演説するのも名もなき学生やコミュニティ・リーダーじゃ。若い世代のリアルな世界はソーシャルメディアの中にある。フロイド氏の亡くなるまでの９分の映像がモザイクなしでそのままシェアされ、若者たちの心に強く響いたのじゃ
デモって何するの？警官を取り囲んで抗議するとか？
この集会では暴力は認められていない。参加者たちは警察が待機している交差点などに来ると一斉にひざまづき、こぶしを振り上げる姿勢を取る
暴力に訴えないのは偉いね。でも、そのポーズは何のため？
このポーズは２０１６年、ＮＦＬサンフランシスコ４９ｅｒｓのコリン・キャパニック選手が、『黒人や有色人種への差別がまかり通っている国に敬意は払えない』と、試合前の国歌斉唱時に起立せず、片膝を地面について抗議したことに由来している。ＭＬＢ運動では、警察と衝突することを避け、抗議をするためのポーズとして使われているのじゃ
ガンジーみたいに平和的に抗議するのは素晴らしいね。ところで、この運動って世界中に広がっているらしいけれど、日本でも行われているの？
この抗議運動には白人など黒人以外の人種も多く参加しているのじゃ。２０２０年６月１５日、東京でもＳＮＳなどによって呼びかけられた初のデモ行進が行われた。ジャパンタイムズ紙によると、渋谷で行われたこのデモ行進には３５００人以上が参加し、日本における黒人差別や人種差別問題を訴えかけそうじゃ
３５００人！知らなかったよ！もはや他人事じゃないんだね
日本にもたくさんの外国人が暮らしているし、彼らの中には日本で差別を受けたと感じている人もいる。日本人ももっと関心を持つべき問題じゃ
ＢＬＭ運動のために起きた問題は？
平和的な抗議活動と思われるＢＬＭ運動ですが、もちろん問題もあります。
ＢＬＭ運動は暴力に訴える運動ではありませんが、
フロイドさん殺害事件直後には、事件に反発し暴動を起こす人達もいました。
現在もまた一部は暴徒化し略奪行為などを行う人もいます。
抗議デモに乗じた暴動は以下の通りです。
- ２０２０年５月２８日、抗議デモが暴徒化し、参加者の一部がミネアポリスの警察署に放火し警察署が炎上させる。
- 暴動はニューヨークや、カルフォルニアなどで連日発生、デモは全米の約１４０の都市に拡大し、暴徒化した参加者による店舗からの略奪、パトカーへの放火などが相次いだ。
- セントルイス市では６月１日に５０軒以上の商店が略奪され、４人の警官が射殺、また７７歳の元警察署長(黒人)が射殺された。
独立記念日にデモ隊のバリケードを突破しようとした無関係の母子が撃たれて死亡した事件がある。抗議行動に関係のない暴力や略奪行為が起こってしまっているのは大問題じゃな
平和のためのデモなのに恐ろしいことがおこってしまっているね……
しかし、現地の人の目撃談によると、デモが暴徒化したわけではないらしい。そうではなく、デモや抗議活動に便乗した暴徒が出現したのじゃ。暴徒には黒人も白人もいたし、わざと抗議活動の妨害を狙った右翼団体もいたと言われておる。もちろん、混乱に乗じて火事場泥棒を働く不届き者もおった
火事場泥棒とか暴れたいだけの悪い奴がたくさん出てきたんだね。そんな危ない状況じゃ近くのお店は開店できないね
暴動に備えて多くの店舗がショーウィンドウや扉を防護板で覆うなどの対策を取っておる。板に『ＢＬＭをサポートしています』などと書いて支持を表明している店が多いようじゃ。サポートを表明しているにも関わらず、暴徒に破壊されてしまう店もある。しかし、地元が破壊されることを悲しみ、暴動の翌朝には被害を受けた店の掃除を手伝うボランティアが街に溢れているのもまた今のアメリカの姿じゃ
何かを変えようとすると暴力的な行動が起きてしまうことは避けられないのかな？でも、大きな混乱の中でアメリカや世界は変わろうとしているのかも
デモ参加者と警察の衝突は一度は沈静化したが、最近また衝突が見られるようになった。しかし、この騒動で警察に対する世論は激変した。これまでも警察による暴力事件が繰り返されていたにも関わらず、警察の過剰暴力を抑制することができなかった。それは、警察の政治力が大きく、警察と敵対することを政治家が恐れていたからじゃ。今は逆に警察権力を野放しにすることの方が暴力容認ととられかねなくなった
デモ隊の目的は達成されてきているんだね！
世論の変化を受けて、２０２０年６月８日には下院で連邦警察を改革する２０２０年公正警察法案が提出された。これはジョージ・フロイド氏の死因となった締め技の禁止、これまで不可能に近かった、容疑者を殺害した警官の起訴を容易にする法案などから成っておる
理想論だけど、少しでも平等になってほしいね
ＢＬＭ運動とは？きっかけやアメリカでのデモの問題点をわかりやすく おわりに
いかがでしたでしょうか？
暴徒による略奪ばかりが注目されておりましたが、
ＢＬＭ運動そのものは暴力を否定し、平和を求める運動です。
今まで人種差別は当たり前のようにされていました。
差別する側は鈍感で差別をしている意識もないことが多いです。
蟻を踏んだ方は覚えていなくても、踏まれた側の蟻はずっと忘れないでしょう。
黒人の問題は日本には関係ないと思ってしまいがちですが、現在世界では
「差別を見過ごすことは差別に加担するのと同じ」
という考えが主流になっています。
日本人ももう少し人種差別問題に敏感にならなくてはいけないでしょう。
たくさんの関係のない人が死んでしまったことを考えると、デモが正しいこととは思えないけれど、何かを変えるためには立ち上がるしかないのかな
何も言わなければ世界を変えることはできない。主張することで世界は少しずつ変わってきておる。差別に対する反抗をやめてはいけない。けれど、暴力はもっといけないことじゃな。ＳＮＳにおいてもＢＬＭをサポートできるサイトなどがたくさんあるのじゃ
みんなで暴力以外の方法で人種差別をなくす方法を模索していきたいね
最後までお読みいただきありがとうございました。
