あなたの周りに「能力の割に自己評価の高い人」っていませんか?
実は
- 能力のある人ほど自己評価が低い
- 能力のない人ほど自己評価が高い
という説があるのです。
これは「認知バイアス」によるものとされ、
提唱者の名前をつけて「ダニング=クルーガー効果」と呼ばれています。
良い意味でも悪い意味でも色々と考えさせられる自己評価。
今回はそんな自己評価にまつわる「ダニング=クルーガー効果」の
原因と対策について考えてみます。
レポートを提出しなくちゃいけないのに、ダラダラするのをやめられないよー
また宿題もせずに先延ばしておるのか?そんなので良い成績がもらえると思うのか?
うーん、まぁ大丈夫。僕はやる気さえ出せば、特に本気になったらすごいんだから
まったく。能力の低い者ほど己を過信する。これこそ『ダニング=クルーガー効果』という名の認知バイアスじゃ
認知バイアスは心理学用語の一種じゃ。人が物事を判断する場合において、個人の常識や周囲の環境などの種々の要因によって非合理的な判断を行ってしまうことを指す。今回は能力の低い者ほど自分の能力を過信してしまう現象、ダニエル・クルーガー効果について説明しよう!
ダニング=クルーガー効果と無知の知の関係は?
ダニング=クルーガー効果(Dunning Kruger effect)は
コーネル大学のディヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーによって
定義されました。
「能力が低い人には、自分を高く評価する傾向がある」
ことと同時に
「能力がまあまあ高い人は、自分を低く評価してしまう傾向があること」
を示しています。
これらの考えはソクラテスの「無知の知」に通じるものがあります。
無知の知……哲学的な言い回しだね。知らないことを知るってことか
己が無知であることを知らない人間は過剰な自信を抱きがちということじゃ。これは昔から言われていたことじゃな
御パンダ「兵法にも『彼を知り己を知れば百戦殆からず』みたいなのがあったよね」
ふむ、今回のダニング=クルーガー効果は1999年に提唱されたが、『無知の知』という言葉はソクラテスの『知らないことを自覚する』という哲学の考えをまとめた言葉じゃ。また、孔子の論語やシェイクスピアの話にも取り上げられている
『不知の知』ともいう。ソクラテスは自らを「知らないこと=不知」を自覚する者と言った。ソクラテス以前の哲学者は、万物の根源について探求し、それを知っている者とされ、哲学者は「知者」(ソフィスト)と呼ばれておった。しかしソクラテスは『自分は何も知らない』、そして『それを自覚している』と言った。知らないということを知ること……『無知の知』は真理を探究する哲学の基本となる概念として、ギリシャ哲学の流れの中で画期的な考え方とされた
待てよ。そうなると、ダニエル・クルーガー効果は『無知の知』を知らない人が陥る状態のことになるんじゃない?自分の無知を自覚していないからこそ起こる認知バイアスだよ
その通りじゃ。ダニエル・クルーガー効果は『優越の錯覚を生み出す認知バイアス』と呼ばれている。一般に能力の高い人物の場合は外部すなわち他人様に対する過小評価に起因している。一方で、能力の低い人物の場合は内部つまり自分自身に対する過大評価に起因しているのじゃ
過小評価と過大評価……知らないを知る……無知の知……うーん、ややこしい!
そこで諦めたら無知のままじゃぞ。ではダニング=クルーガー効果の仕組みについて考えてみよう
ダニング=クルーガー効果の仕組みは?
なぜ能力のない人ほど自信を持ってしまうのでしょうか。
ダニンング・クルーガー効果を定義したダニングとクルーガーは、
2012年に「なぜ能力の低い人間は自身を素晴らしいと思い込むのか」
という調査を行いました。
興味深い調査だね。どんな結果になったの?
以下が能力の低いのに自己評価が高い人間の特徴じゃ
- 自身の能力が不足していることを認識できない
- 自身の能力の不十分さの程度を認識できない
- 他者の能力を正確に推定できない
- その能力について実際に訓練を積んだ後であれば、自身の能力の欠如を認識できる
自分自身について把握してないから、正確に自分の能力を判断できないってことだね
きつい言い方になるが、無能は自分の無能さがわからないということじゃ
僕は学校のテスト250人中247位なんだけど自信ある。。どうすればダニング=クルーガー効果は起きなくなるの?
よし。では対策を考えるためにもダニング=クルーガー効果がなぜ起きるかの仮説を見てみよう
ダニング=クルーガー効果が起きやすい状態とは?
ダニング=クルーガー効果が起きないようにするには
どうしたらいいのでしょうか?
まずはダニング=クルーガー効果が起きやすい状況を知ることで対策を立てましょう。
ダニング=クルーガー効果はなぜ起きるか、ダニングとクルーガーが立てた仮説を紹介しよう
ダニング=クルーガー効果が起きやすい状況
- フィードバックを受けない
- 原因を把握せず外部のせいにする
- 他人の能力を正しく評価できない
①フィードバックを受けない
フィードバックは重要じゃ。知っていると思うがビジネス用語で言うフィードバックとは、業務内での行動などを評価した結果を、その行動した人や会社に対して伝え返すことをいう。フィードバックは評価する側が、評価される側のモチベーションを上げ、能力を向上させるために行われるものなのじゃ
なるほど。他人から評価されるという経験は大事だよね。自分ではできているつもりでも、それはあくまで主観で、人から見たら全然できていないことってたくさんあるし、それを指摘してもらうことは有意義だよ
その通り。否定的なフィードバックはきついだろうが、自分を省みるには大切なことじゃ。自己完結して終わってしまったり、仲間内で肯定的なフィードバックだけ受けていては成長できん
②原因を把握せず外部のせいにする
ダニエル・クルーガー効果に陥りやすいタイプは何かが起こったときに外的要因に注目しがちじゃ
失敗した際になぜ失敗したかを考えることは大事なことじゃ。そこで外部のせいにしていては自分の内部を改善することはできん
常に自分にも原因があるかもって考えて分析して、場合によっては反省することも必要だね
③他人の能力を正しく評価できない
他人の能力を正しく評価するということは難しい。相手と比較して自分を過剰評価してしまうことがあるが、相手を侮って過小評価してしまったいる場合もある
他人を評価するのって難しいよね。相手に対する尊敬を忘れずに評価したいね
そのためにも『他人を評価することは難しい』という認識をしっかりと持っておくことが大事じゃ
ダニング=クルーガー効果を回避するには?
ダニング=クルーガー効果に陥らないために、
どのような心構えでいることが大事なのでしょうか?
ダニングとクルーガーの勧めを更に検証してみましょう。
ダニング=クルーガー効果に陥らないために大切な心掛けは以下の通りじゃ
- 常に学ぶ姿勢を持つ
- 知識は学び始めが肝心と認識する
- 急いで判断しないよう心掛ける
- 自信を持つべきタイミングを知る
①常に学ぶ姿勢を持つ
当たり前のことのようで難しいことじゃぞ。人間は常に学び続け、進化していかねばならんのじゃ。そうでなければ自分が無知であることを知らない勘違いした人間になってしまうぞ。明日死ぬように生き、永遠に生きるように学ぶべし
②知識は学び始めが肝心と認識する
ダニング=クルーガー効果に陥りやすいのは何かをやりはじめて少しうまくいきはじめたあたりじゃ。なんとなく自分に自信を持ってしまいがちじゃ
ちょっと知っただけで全部知った気になっちゃいけないね
知識はいくらあっても困らない。関連情報は専門知識を集めて十分に備えるのじゃ
③急いで判断しないよう心掛ける
一般的に素早く下した決断は見方が偏っている場合が多い。あっさりとした決断はダニング=クルーガー効果が起こっている場合がある
吟味せずにいきなり判断しちゃいけないってことだね
何かを評価したり判断したりということはそれだけ難しいことなのじゃ。しっかり知識を得て、分析し、判断していこう
④自信を持つべきタイミングを知る
過剰な自信は有害じゃが、自信を持つことは悪いことではない。自己肯定感を高めることは非常に大切なことじゃ
確かに。色々知って、自分は無知だって自覚したからってそこで小さくなる必要はないよね!無知だと悟ったら、そこからたくさん勉強して、自信を持ってアピールできるようになればいいんだ!
その通り!勿論、自分を省みることは大切じゃが、自分の能力は正しくアピールするべきじゃ
ダニング=クルーガー効果とは?人生における無知の知について考察 おわりに
いかがでしたでしょうか。
ダニング=クルーガー効果という名前は知らなくても
思い当たることはたくさんあるのではないでしょうか?
誰もが一定の自信を持つこと、自分自身を愛することは大切なことです。
しかし、自分を低くみる必要はないものの、
自分の知識に自信を持つためにはよく己を振り返る必要があります。
常に『自分はまだまだかもしれない』という疑問を抱くのが大事じゃ。井の中の蛙大海を知らずじゃ。井の中で満足しててはならんぞ!
そのことわざもダニング=クルーガー効果に通ずるね!井戸の中という小さな知識で威張るのではなく、大海を知る者となって自信を持って世界にアピールできるようになりたいね!
うむ、成功者はとくに謙虚で貪欲じゃ。さぁそろそろ宿題をやる時間だぞ
えー!いいよ、僕は大丈夫、明日から本気出すから、本気出せは絶対できるし
最後までお読みいただきありがとうございました。