あなたは、「退職金制度」ってご存知でしょうか。
サラリーマンで30歳を超えたあたりから頭をよぎるこの単語。
転職や退職を考えた時も、
「そういえば退職金はもらえるの?」
「もらえるなら、どれくらい?」
と、疑問が浮かぶ方が多いと思います。
また、
「そもそも『退職金制度』ってなに?」
「うちはそんな余裕ないけど作っておくべきなの?」
という方もいると思います。
そんな方たちのために今回は、「退職金制度」の意味や平均相場、
退職金ランキングをご紹介しますので、詳しく見ていきましょう!
「退職金制度」とは?
「退職金制度」とは、退職するときに会社から退職者へお金が支給
される制度のことです。
「退職手当」や「退職慰労金(たいしょくいろうきん)」と呼ばれる
こともあります。
そして、退職金制度は、「退職一時金制度」と「退職年金制度」の
大きく2種類に分けられますので、1つずつご紹介していきましょう。
■「退職一時金制度」とは?
1つ目が「退職一時金制度」で、退職時に一括で退職金を支給する制度です。
基本的に、支給は一回のみでそれ以降は支給されません。
一般的に退職金というと、この「退職一時金制度」を指すことが多いでしょう。
■「退職年金制度」とは?
もう1つが、年金制度などを利用して一定期間、あるいは生涯に
わたって給付を行う「退職年金制度」です。
「企業年金」とも呼ばれています。
退職一時金制度か、退職年金制度のどちらか一方という企業も
ありますが、大企業などでは両方を支給しているという企業も
存在します。
ただし昨今では退職金制度自体を見直す企業や、制度を廃止する
動きが多く、時代にそぐわない制度と揶揄されています。
なお、退職金制度は法律で義務付けられた制度ではないため、
退職金が支給されない会社も多々あります。
また、退職金の具体的な支給内容も企業ごとに設定されるため、
一律の決まりは存在しません。
正社員なら必ず退職金がもらえるわけではなくて、退職金の
給付内容も会社によってバラバラなのです。
「退職金制度」の平均相場はどれくらい?
それでは「退職金」は平均でどれくらいもらえるのでしょうか。
大企業、中小企業のくくりで見ていきましょう。
■退職金額の平均相場(大企業)
「大学卒」 『2,289万円』
「高校卒」 『1,858万円』
■退職金額の平均相場(中小企業)
「大学卒」 『1,118万円』
「高校卒」 『1,031万円』
退職金額は、企業規模や職種、業種のほか、勤続年数、学歴、
さらには退職金制度などによって金額が異なります。
また、退職する理由によっても、退職金額は大きく上下する
傾向があるようで、昨今では企業側もあまり払いたくないよう
に見受けられます。
「退職金ランキング」をご紹介
では、実際に退職金が多くもらえるのはどんな業種でしょうか。
ここでは中央労働委員会の2015年の調査結果をもとに
大手企業の業種別退職金ランキングを見てみましょう。
■大手企業の「業種別退職金ランキング」
「」=業種
『』=大卒平均退職金
1位:「海運・倉庫」 『3,899万円』
2位:「保険」 『3,315万円』
3位:「窯(よう)業・土石製品」 『2,936万円』
4位:「科学」 『2,799万円』
5位:「私鉄・バス」 『2,735万円』
6位:「造船」 『2,549万円』
7位:「百貨店・スーパー」 『2,542万円』
8位:「繊維」 『2,405万円』
9位:「車輌・自動車」 『2,353万円』
10位:「電気機器」 『2,141万円』
11位:「建設」 『1,967万円』
12位:「バルブ・製紙」 『1,736万円』
13位:「機械」 『1,539万円』
14位:「食品・タバコ」 『1,529万円』
15位:「銀行」 『1,178万円』
出所:中央労働委員会(2015年の調査結果)
トップになったのは、「海運・倉庫」というのが意外ではないでしょうか。
日本では派手なベンチャー系よりも、歴史が長い堅実な業種の方が退職金
制度が整っている傾向があるようです。
続いて、東京都産業労働局が2014年に調査した中小企業の
「業種別退職金ランキング」を参照してみましょう。
■中小企業の「業種別退職金ランキング」
「」=業種
『』=大卒モデル退職金
1位:「情報通信」 『1,996万円』
2位:「運送・郵便」 『1,827万円』
3位:「金融・保険」 『1,798万円』
4位:「不動産・物品賃貸」 『1,698万円』
5位:「学術研究、専門・技術サービス」 『1,443万円』
6位:「建設」 『1,389万円』
7位:「製造業」 『1,317万円』
8位:「生活関連・娯楽」 『1,293万円』
9位:「おろし売り・小売り」 『1,151万円』
10位:「サービス」 『1,001万円』
出所:東京都産業労働局(2014年の調査結果)
このように中小企業を見ると「情報通信」といったIT系が強いことが伺える一方で、
「サービス」は1000万円に届くのがやっとという厳しい現状が見え隠れしています。
退職金制度とは?大企業と中小企業の平均相場は?ランキングもご紹介 おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、「退職金制度」の意味や平均相場、退職金ランキングを
ご紹介しましたが、あなたがサラリーマンで退職金制度について
気になることがあれば、総務や人事に質問してみましょう。
もし明確な回答を避けられたり、入社当初と条件が違うことを言われた
場合は、特に退職間際の人は労働基準監督署などに相談するのも1つの
手段です。
退職金制度を知っておくことで、安心して老後の計画を立てることが
できますので、転職や退職を考えていなくても一度しっかりと調べて
おきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。