あなたは、「ブルーライトカットメガネ」をご存じですか？
「パソコンやスマホのブルーライトを軽減してくれるんじゃない？」
「なんとなく目に良いイメージがあって着用しているけど効果はわからん」
という方も多いと思います。
いまも曖昧な情報が飛び交っており、
「ブルーライトカットメガネは効果ないってホント？」
「子供にはむしろ悪影響ってホント？」
「うちの子供は大丈夫？」
という疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、「ブルーライトカットメガネは効果ない？」、
「子供に悪影響ってホント？」といった疑問を中心に
一つずつ考察していきましょう！
「ブルーライト」とは？
ブルーライト（青色光 / 短波長光）とは、目に見える光である可視光の
一部で、波長３８０～４９５ナノメートルの青色の波長に近い成分を
指しています。
ブルーライトは紫外線の次に波長の短い光で、目の奥まで届く非常に
エネルギーの強い光です。
そう考えると怖いですよね。
このあたりが就寝前に過剰に目に入ると、体内時計（サーカディアンリズム）
の乱れにつながると言われる所以で、心身にさまざまな悪影響を与えること
などが懸念されています。
太陽光はもちろんのこと、LED（発光ダイオード）を使用したパソコンや
テレビ、スマートフォンなどのディスプレイからも、ブルーライトが多く
放射されています。
最近の研究では、ブルーライトを長時間目に入れると、視界のちらつきや
目の疲れ、加えてサーカディアンリズムを崩し、睡眠障害を引き起こすと
いう報告もされています。
「ブルーライト」は散乱する
ブルーライトは波長が短いため、空気中に含まれる粒子（ほこりや水分）
とぶつかりやすくなっています。
ブルーライトがこの空気中の粒子とぶつかると、光は散乱するため、
「まぶしさ・ちらつき」が発生します。
まぶしさ・ちらつきは、像のにじみにつながるため、目のピント調節機能
に負担をかけてしまいます。
パソコンをずっと使っている人が外に出ると目がちかちかするのはこれが
理由です。
”太陽から”の「ブルーライト」
私たちの頭上にある太陽。
なんと太陽からも強いブルーライトが放射されています。
照度は晴れの日で約１０万ルクスあり、これはオフィス環境の１００倍
にも達します。
太陽に含まれるブルーライトは、朝に浴びると体内時計をリセットさせ、
脳とからだを活性化させてくれるなど、決して懸念される性質ばかりでは
ありません。
とはいえ、強いエネルギーをもった光には変わりありません。
太陽を直視すると目が痛い理由がわかりますよね。
”ディスプレイから”の「ブルーライト」
パソコン・スマートフォン・テレビなどのディスプレイ（液晶画面）には、
LED（発光ダイオード）がバックライトとして使用されていることが多く、
ブルーライトが多く放射されています。
波長４５０ナノメートル付近が最も強くブルーライトを放射しており、
ブルーライトカットメガネとしては、この部分の波長を抑えることが
重要となります。
もちろん太陽光にも多くのブルーライトは含まれていますが、
「至近距離で長時間見る」という点を考えると、ディスプレイ
からのブルーライトの方が、目への影響は大きいと思われます。
なんと、太陽よりもディスプレイの方が影響が大きいとは。。
「ブルーライトカットメガネ」は効果ない？子供に悪影響はある？
２０２１年４月１４日、「日本眼科学会」ほか５団体は『小児のブルー
ライトカット眼鏡装用に対する慎重意見』を発表しています。
本発表は、子供のブルーライトカットメガネ着用について、科学的観点
に基づいて有効性の否定と、悪影響の可能性を示すもので、後述する
４つの研究結果をもとに以下の結論を述べています。
子供にブルーライトカットメガネの装用を推奨する根拠はなく、むしろ
ブルーライトカットメガネ装用は、発育に悪影響を与えかねません。
（研究結果１）デジタル端末のディスプレイから発せられるブルーライトは、
曇天や窓越しの自然光よりも少なく、網膜に障害を生じることはないレベル
ですので、いたずらにブルーライトを恐れる必要はありません。
（研究結果２）子供にとって太陽光は、心身の発育に好影響を与えるものです。
なかでも十分な太陽光を浴びない場合は、子供の近視進行のリスクが高まります。
ブルーライトカットメガネの着用は、直接ブルーライトを浴びるよりも有害で
ある可能性が否定できません。
（研究結果３）最新の米国一流科学誌に掲載された「ランダム化比較試験」では、
「ブルーライトカットメガネ着用には、眼の疲れを軽減する効果が”全くない”」
と報告されています。
（研究結果４）体内時計（サーカディアンリズム）を考慮した場合、就寝前ならともかく、
日中にブルーライトカットメガネをあえて着用する有用性は根拠に欠けます。
産業衛生分野では、「日中の仕事は、窓ぎわの明るい環境下で行うこと」を推奨しています。
また「日本眼科学会」ほか５団体は、目の疲れを和らげる最良の方法は「休憩を取ること」と指摘。
今回の発表は、「日本眼科学会」、「日本眼科医会」、「日本近視学会」、
「日本弱視斜視学会」、「日本小児眼科学会」、「日本視能訓練士協会」とそうそうたる顔ぶれの連名で行なわれました。
『小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見』の原文は、
各団体のWebサイトなどでも確認できるので、より詳しく知りたい方はぜひこちらからお読みになってみてくださいね。
ブルーライトカットメガネは効果ない？子供に悪影響ってホント？ おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は「ブルーライトカットメガネは効果ない？」、「子供に悪影響
ってホント？」についてご紹介しました。
「ブルーライトさえ、ブルーライトさえ防げれば」と、スマホにシールを
貼ったり、眼鏡を高価なものにしたり、四苦八苦していたあなた。
ブルーライトへの対応は個人の自由ではございますが、「眼の疲れを軽減
する効果はない」「子供が着用すると、直接ブルーライトを浴びるより
悪影響かも」という研究結果があるということも念頭に入れて過剰に恐れる
必要はなく、ブルーライトカットメガネに関していえば、子供ではなく、
仕事中の大人が着用するのが最も有効なのではないかと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
