あなたは「湯立獅子舞(ゆたてししまい)」って耳にしたことはありますか?
お正月に町内を練り歩く「獅子舞」を見たことがある人は多いかもしれませんね。
しかし「湯立獅子舞」はその名の通り
「獅子舞」が「湯立」を行うという一味違う県指定無形民族文化財として知られています。
場所は神奈川県の西部、箱根町。
毎年3月17日に仙石原(せんごくはら)の諏訪(すわ)神社、
7月15日には宮城野の諏訪神社の2か所で行われています。
他では「静岡県御殿場市」でしか行われておらず、
非常に貴重で珍しい獅子舞として知られています。
「湯立」された湯をかけてもらうとその年は病気をしないと言われるほど、
無病息災に縁のある行事でもあります。
今回はそんな箱根の「湯立獅子舞」の歴史や見所、
アクセス情報について探っていきたいと思います。
湯立獅子舞の歴史は?
「湯立獅子舞」が箱根の地に伝えられたのは江戸時代、
今から約250年前の1776年のことです。
元々西日本で広がりを見せていた獅子舞。
室町時代から江戸時代にかけ江戸や東日本に伝わったとされています。
そんな流れの中、現在は山梨県、富士吉田という場所から来た
「菅沼儀兵衛」という人物によって「湯立獅子舞」はもたらされました。
大まかな分類だと、「伊勢大神楽系」に属する獅子舞です。
当時の箱根の地域では様々な疫病が流行しており、多くの人々が苦しんでいました。
医療機関も乏しく、病気に対抗する術がない悲惨な状況を何とか打破するために、
疫病を悪魔に見立て、その悪魔をお祓いする目的で「湯立獅子舞」は始められた
と言い伝えられています。
「湯立」とは禊(みぞぎ)の一種であり、
神様の前で沸かされた湯に巫女が笹の葉を浸し、
自分自身や参詣人に振りかけ清める神事です。
「湯立獅子舞」は巫女の代わりを獅子舞が務めているのです。
1974年(昭和49年)に国の選択無形文化財に認定され、
1976年(昭和51年)には神奈川県無形民俗文化財にも定められています。
また、2013年(平成25年)に伊勢神宮の式年遷宮に招待されその舞を披露しました。
現在では、格式高く重要な伝統芸能として全国的にも注目されるようになっています。
湯立獅子舞の見所は?
「湯立獅子舞」は江戸時代から続く伝統の舞が、笛や太鼓などの音楽に併せて行われます。
仙石原の獅子が牡、宮城野の獅子が牝と伝えられており、いずれも二人立ちの獅子舞です。
社殿で行われる平舞と宮舞、庭で行われる剣の舞と行の舞の後に
最も重要な見せ場である「窯めぐりの舞」が行われます。
煮えたぎる釜の回りを巡りながら舞う「釜めぐりの舞」。
まず、獅子が煮えたぎる湯釜の前に立ち、
幣(ぬさ)という神への捧げものを入れて湯釜を清めます。
そして湯釜をお祓いした後、湯笹を湯に入れ3度かき回し、神に献じます。
氏子や参拝者の頭上にも振りかけるのはその後です。
この湯をかけてもらうか湯気に当たると、
- その年は病気をしない
- 「無病息災」を期待できる
と言われています。
他にも、「家内安全」や「五穀豊穣」といったご利益も期待できるそうです。
以下はその様子です。厳かで一目見てみたくなりますよね?
湯立獅子舞のアクセスは?
仙石原諏訪神社(3月17日)へ行く場合
箱根登山鉄道「箱根湯本駅」から桃源台行の箱根登山バスで「仙石」まで(約25分)。
下車後、徒歩約5分で到着。
※「湯立神楽奉納」は午後1時から行われます。
車でお越しの場合、近くには大型の駐車場がありませんので注意してください。
宮城野諏訪神社(7月15日)へ行く場合
箱根登山鉄道「箱根湯本駅」から桃源台行の箱根登山バスで「宮城野」まで(約15分)。
下車後、徒歩約10分で到着。
また、最寄り駅は箱根登山鉄道の「強羅(ごうら)駅」。
諏訪神社まで約1.5km、徒歩約30分弱といったところです。
※式典は午後1時から、湯立獅子舞は2時から行われます。
車でお越しの場合、近くには大型の駐車場がありませんので注意してください。
湯立獅子舞とは? おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は神奈川県箱根町で行われる「湯立獅子舞」の
歴史や見所、アクセス情報について探ってきました。
全国的に見ても非常に珍しい伝統芸能です。
毎年、その貴重な伝統に触れるため、
そして無病息災のご利益を得るために多くの人々が訪れます。
また実際に舞が行われるときは、手に汗を握る緊張感のような独特の雰囲気に包まれ
日常とは違う独特の空気を味わうことができます。
あなたも是非一度、足を運んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。