あなたはキリコって聞いたことがありますか?
巨大なキリコが駆け巡る石川県能登半島のキリコ祭り。
このキリコ祭り、
毎年7月から10月まで能登半島の様々な地域で行われている夏祭りの総称です。
能登の出身で違う地域で暮らしている人々は、
お盆やお正月に帰省できなくても、キリコ祭りのときには帰省すると言われています。
そのくらい地元愛溢れるお祭りで、能登出身者に支えられている伝統的なお祭りなのです。
ではキリコ祭りがどのようなものか?
楽しみ方やアクセス方法、2019年はいつ開催されるのかをご紹介していきましょう。
能登のキリコ祭りとはどんなお祭り?
キリコ祭りのキリコとは?
切籠灯籠(きりことうろう)というと、四角く組んだ枠組みに造花や紙、
布などを飾りつけ、明かりを灯し、お盆の供養で用いられるものです。
石川県の能登地方でキリコというと、巨大な切籠灯籠のことをいい、
短縮してキリコと呼ばれるようになりました。
キリコは元々、お神輿のお供として氏子たちが担いでいたものです。
キリコがどのくらい巨大なのかというと、
高さは最大で16m重さ2トンもあるものもあれば、
小さな子供が担ぐ、笹キリコもあります。
平均的な大きさは、高さが約5m位の物が主流です。
担ぎ棒が付いており氏子たちが100人ほどで持ち上げ、激しく練り歩きます。
キリコ祭りの歴史
キリコ祭りの起源は、はっきりとしておらず不明です。
ただ、江戸時代にはキリコ祭りがあったとされています。
神輿のあとから氏子が笹キリコを担いで付いて周ったものが、
徐々に大きいキリコとなっていったと言われています。
そして1800年ころからキリコが急激に巨大化していきました。
このころは北前船が北陸、東北地方で頻繁に行き来していた時代で、
秋田の竿灯祭や青森のねぷたまつりなども同じように巨大化していったのです。
色々なキリコ
キリコ祭りは7月から9月の間に能登半島で200ものお祭りがあります。
地域ごとにキリコもお祭りの内容も様々です。
- 笹キリコ:キリコの原型です。現在では輪島の子供用キリコで使用しています。
- レンガク:大きな直方体のキリコで文字が書かれるだけの簡素なものです。志賀町の西海祭りや富来八朔祭りで見られます。
- 竹キリコ:木ではなく竹を使用して作られています。竹は軽いので軽快な動きができます。輪島大祭で見ることができます。
- 武者絵キリコ:あんどんに武者絵が描かれたもので能登町鵜川地区のにわか祭でみられます。
- 提灯キリコ:正面に沢山の提灯が飾られたキリコです。
- 短冊キリコ:色とりどりの短冊が数えきれないほどキリコの天井に付けられ、キリコの提灯に照らされると圧巻の光景となります。前波曳山祭でみることができますよ。
- 袖キリコ:ねぷたににている曲線の形で模られたキリコで着物の袖に似ていることから袖キリコと言われています。
- 額キリコ:行灯の部分が絵の額のようにみえるので額キリコと呼ばれるようになりました。
- 人形キリコ:キリコの前面に毎年趣向を凝らした人形を飾りつけ、出来栄えを競いあいます。松波人形キリコ祭りでみることができます。
- 御幣キリコ :神祭の御幣に厚みを持たせた形のキリコです。
- 高欄キリコ :朱塗りの高欄付きの台がつけられた豪華なもので寺家キリコ祭りでみることができます。
能登キリコ祭り 各地の見どころと日程
各地域によってキリコ祭りの開催日程は異なりますし、見どころも違います。
今年2019年の日程と各お祭りの見どころをご紹介しますね。
七尾市
七尾市は能登地方の中心都市と言われています。
「互市祭」は能登キリコ祭りの原点と言われているお祭りです。
「互いに市が栄えるように」という願いが込められています。
「七尾祇園祭」は京都の祇園社の祭神を勧請し祇園会を行ったのが
始まりといわれています。
太鼓に合わせて赤襷(たすき)の指導者走る、止まる、徐行などの合図をし、
かがり火の周りを奉燈が乱舞します。
この統率は大変見ごたえがありますよ!
「向田の火祭り」は日本三大火祭りのひとつです。
男神と女神が年一度の逢瀬を楽しむ祭りと言われています。
見どころは何と言っても巨大松明です。
そして観客も手に松明を持って参加できるところも魅力のひとつですね。
一方で「塩津かがり火恋まつり」も男神と女神の恋の祭りですが、
こちらはロマンティックなお祭りです。
海面に映ったかがり火と流し火が幻想的で、日常を忘れさせてくれるでしょう。
- 互市祭:毎年 7月上旬
- 七尾祇園祭:7月13日(土)
- 向田の火祭り:7月27日(土)
- 六保納涼祭:7月下旬
- なごしの祭り:7月下旬
- 塩津かがり火恋まつり:7月24日(土)
- 石崎奉燈祭:8月3日(土)
- 新宮納涼祭:8月14日(水)
輪島市
輪島市は能登半島北部の中核の都市です。
「剱地八幡神社大祭」は神輿、キリコ、獅子舞で巡行し
キリコは高く掲げられ力強く練り歩きます。
近年、獅子舞は人手不足により行われていないようです。
「名舟大祭」は急な坂道を大きなキリコを担いで進む危険と隣り合わせなお祭りです。
御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)の里である名舟町で開催され、
奇妙な面を付け太鼓を打ち鳴らします。
太鼓の音色が心に刺さります。
「曽々木大祭」では松明と花火のコラボが見られ、
キリコも総輪島塗のもの、白木造りのものなどが見られます。
「輪島大祭」は輪島の4つの地区で行われる祭りの総称です。
総漆塗りの豪華なキリコが巡行します。
- 剱地八幡神社大祭(おさよ祭り) 7月中旬(海の日直前の土日)
- 水無月祭り:7月30日31日
- 名舟大祭:7月31日8月1日
- 曽々木大祭:8月17日18日
- 輪島大祭:
8月22日 奥津比咩神社大祭(海士町)
8月23日 重蔵神社大祭(河井町)
8月24日 住吉神社大祭(鳳至町)
8月25日 輪島前神社大祭(輪島崎町)
珠洲市
珠洲市は能登半島の先端に位置する市です。
「飯田燈籠山祭り」は人形を高く掲げたくさんの提灯を飾った華麗な燈籠山が見事です。
青森のねぶたが起源とも言われている人形です。
「宝立七夕キリコ祭り」のキリコは高さ14mとも言われ車輪がついておらず、
およそ100人で担いで巡行します。
浜に揃ったキリコが6基と子供キリコ1基が順に紹介され、
そのあと午後10時過ぎに一斉に沖合へ出て海にある松明の周りを周るのです。
何百人もの担ぎ手が水しぶきをあげるのですから壮大です。
「寺家キリコ祭り」は高さ16m重さ4トンと言われています。
漆塗りで仕上げられていて屋根部にはなんと金箔も貼られているのです。
キリコ祭りの中で最も豪華ではないでしょうか。
夜通し巡行されるので朝焼けがキリコに映えるところも見ものです。
- 飯田燈籠山祭り:7月20日(土)21日(日)
- 宝立七夕キリコ祭り:8月7日
- 蛸島キリコ祭り:9月10日(火)11日(水)
- 正院キリコ祭り:9月14日(土)15日(日)
- 寺家キリコ祭り:9月14日(土)
- 馬緤キリコ祭り:10月13日(日)14日(月)
穴水町
穴水町は七尾湾北部にあります。
ほとんどのキリコ祭りは夜の見どころが多い中「沖波大漁祭り」は昼間が見どころです。
夏の青い海にキリコを担いで太鼓の音色とともに入ります。
夜に行けない方はいかがでしょうか。
「明千寺キリコ祭り」は「短冊キリコ」で白木で出来ています。
穴水町最大のキリコで9mの高さがあります。
「前波曳山祭」は「短冊キリコ」が巡行し、
疫病を鎮めるためにキリコを担ぎ始めたと言われています。
- 中居キリコ祭り:8月31日(土)
- 明千寺キリコ祭り:8月15日(木)16日(金)
- 沖波大漁祭り:8月17日(土)18日(日)
- 大町・川島祭り:9月14日(土)
- 前波曳山祭:9月21日(土22日(日)
能登町
能登町は能登半島北部にあります。
世界農業遺産に登録されています。
「あばれ祭り」はキリコ祭りのなかでも名前の通り激しく暴れるお祭りで、
神輿を火攻めや水攻めにする豪快さで有名です。
40基ものキリコが松明の周りを乱舞します。
「姫どいやさ祭」はねぷたに似た「袖キリコ」が街を練り歩きます。
そして船に「袖キリコ」を乗せ海に入ります。
夜になるとキリコの灯りと打ち上げられた花火が幻想的です。
「松波人形キリコ祭り」は総漆塗り金箔貼りの豪華なキリコに人形を乗せています。
人形は歴史や伝記の人物やその年に流行ったものをかたどっていて観客を楽しませます。
祭りの午後は「人形審査」が有るのでそこですべての「人形キリコ」が見れます。
- あばれ祭り:7月 5日(金)6日(土)
- 藤波キリコ祭り:7月14日(日)15日(月)
- 姫どいやさ祭:7月27日(土)28日(日)
- 松波人形キリコ祭り:7月27日(土)
- 恋路火祭り:7月14日(日)
- ござれ祭り:8月中旬
- にわか祭:8月24日(土)
- 波並大祭:9月6日(金)7日(土)
- 柳田大祭:9月16日・17日
- 小木袖キリコ祭り:9月21日(土)22日(日)
志賀町
志賀町は能登半島の入り口にあり、海岸線一帯は「能登金剛」と呼ばれる景勝地です。
「西海祭り」は女性が担ぐ華やかでエネルギッシュなキリコが見られます。
漁で不在がちな男性たちの代わりに女性がキリコを担ぎ出したのです。
「富来八朔祭り」は初日にキリコ30基が練り歩き
二日目は11基の神輿が列をなします。
「福浦祭」は猿田彦神社の秋祭りで天狗が道案内をして神社から海を先導してくれます。
それに付いて仮装行列が行われるのです。
- 大福寺祭:8月上旬
- 西海祭り:8月14日
- 酒見祭:8月下旬
- 富来八朔祭り:8月24日(土)25日(日)
- 福浦祭:8月下旬
- 笹波・前浜祭:8月下旬
キリコ祭りの「ヨバレ」とは?
能登キリコ祭りでもうひとつの楽しみといえば「ヨバレ」です。
「ヨバレ」とは一般のお宅にお邪魔してご飯を呼ばれて(食べて)いく風習です。
キリコ祭りの夜に一般のお宅の玄関口に提灯がぶら下がっているところがあります。
そこでは「ヨバレ」をやっていて気軽にお邪魔して、
おふくろの味を楽しんで帰ることができるのです。
食器も漆塗りの物が使われて、お赤飯や昆布巻きなど、めでたい料理がならびます。
外国人観光客にはとても人気の様です。
能登キリコ祭りへのアクセス
能登半島全体で行われているお祭りなので主要の交通機関をご紹介します。
飛行機で羽田空港から能登空港まで
東京駅から新幹線で
穴水駅からは電車が無いのでレンタカーかバスでの移動になります。
名古屋から車で輪島まで
キリコ祭り おわりに
能登キリコ祭りは7月から10月まで継続して行われます。
このエリアでは常にどこかで、お祭りがおこなわれていると言っても過言ではありません。
毎月、もしくは毎週、キリコ祭りに参加して
この夏は夏祭り三昧というのはいかがでしょうか?
あなたのもうひとつのふるさとが能登になるかもしれませんよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。