ふるさと納税のメリットはご存知の通り、
2,000円の負担でさまざまな地域の特産品もらえることです。
最近では、ふるさと納税のみを扱った小冊子版の雑誌も販売され、
違法な市が出てくるなど加熱気味な面もありますが、
平成27年からは確定申告が不要になるワンストップ特例制度もはじまり、
ますます「ふるさと納税」へのハードルが下がっています。
そこで、今回はふるさと納税の「ワンストップ」は本当に使えるのか、
そのデメリットや落とし穴について把握すべく解説していこうと思います。
ふるさと納税の「ワンストップ」とは?
「ワンストップ」とは、
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」のことです。
ふるさと納税を行った場合は、通常は確定申告で寄付金控除として申告しないと
所得税・住民税減税の恩恵を受けることができません。
しかし、主にサラリーマンなどの給与所得者は、条件を満たせば、
ふるさと納税の確定申告が不要になる制度です。
これはサラリーマンのためだけではなく、
法人や資産の課税事務に重きをおきたい、
税務署の事務工数の省力化のための制度でもあります。
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」ができる条件は?
会社員などが寄付を行った年の所得について確定申告の必要がない
自営業者や高所得者など、もともと確定申告を行う必要のある方は本制度の対象外で、
全ての寄付の寄付金受領証明書を添えて税務署に確定申告を行う必要があります。
1年間(1~12月)のふるさと納税を納付する先の自治体が5つ以内
5自治体までであれば、寄付は何度でも行うことが可能です
「ワンストップ」のデメリットや落とし穴は?
給与所得のみで年末調整されるサラリーマンなどにとっては、
確定申告の手間が省けるメリットがあるワンストップですが、
一方でデメリットとなる落とし穴もあります。
落とし穴① ワンストップ特例より確定申告の方が得?
一般的に住民税額の2割と言われる限度額を超えて
ふるさと納税しないほうがいいのですが、
万一超えた場合はワンストップ特例で済ませると損をします。
下記のケースでワンストップ特例をした場合と確定申告した場合を
シュミレーションしてみると・・・
- ふるさと納税額:15万2,000円
- 年末調整で計算した際の所得税率 : 20.42%
- 調整控除だけを差し引いた住民税所得割の額 : 50万円
ワンストップ特例をした場合
ワンストップ特例による減税額の計算は
- 住民税寄付金税額控除(基本控除)
=(ふるさと納税の額 - 2,000円)× 10%
「ふるさと納税の額」の上限 : 総所得金額等の3割 - 住民税寄付金税額控除(特例控除)
=(ふるさと納税の額 - 2,000円)×(1 - 10% - 所得税率)
特例控除の上限 : 調整控除だけを差し引いた所得割の2割 - 住民税寄付金税額控除(申告特例控除分)
=特例控除× 所得税率 ÷(1 - 10% - 所得税率)
の合計金額なので、
1万5,000円 + *10万円 + 2万9,347円 = 14万4,347円
*特例控除の計算は(15万2,000円 - 2,000円)×(1 - 10% - 20.42%)
= 10万4,370円
ですが、50万円 × 20% = 10万円を超えるため、
減税幅10万円にとどまります。
確定申告をした場合
確定申告による減税額の計算は
- 所得税減税分=(ふるさと納税の額 - 2,000円)× 所得税率
- 基本控除=(ふるさと納税の額 - 2,000円)× 10%
「ふるさと納税の額」の上限 : 総所得金額等の3割 - 特例控除=(ふるさと納税の額 - 2,000円)×(1 - 10% - 所得税率)
特例控除の上限 : 調整控除だけを差し引いた所得割の2割
の合計金額です。
なので、
3万630円 + 1万5,000円 + 10万円 = 14万5,630円
確定申告の労力分の1,283円の差が出ます。
落とし穴②ワンストップ特例が無効になる?
ワンストップ特例の申請書を記載し提出したからと言って、
必ずふるさと納税の恩恵を受けるわけではありません。
各地の名産品・返礼品がほしくなり寄付先が6カ所以上になった場合
各自治体に申請を提出したとしても確定申告が必要になります。
また、なおワンストップ特例は寄付の都度行いますので、
同一自治体に2回寄付した場合2回申請します。
1回申請すればいいと考えると損をします。
落とし穴③ ワンストップ特例申請の受付期間を過ぎないこと!
ワンストップ特例申請には受付期間があります。
寄附の翌年1月10日迄(必着)で寄附先の自治体に書類を提出してください。
ワンストップ特例制度適用のふるさと納税手続きは?
ふるさと納税の返礼品を選んだ時に、ワンストップ特例制度適用に✔
ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用するには、自治体に申し出る必要があります。
寄附をする際のフォーム内で「ワンストップ特例制度を利用する」にチェックを入れてください。
特例申請書を作成する
ワンストップ特例制度の申請書は、多くの場合は寄附先の自治体から
「寄附金受領証明書」とともに郵送されます。
もし、郵送されなかったり紛失してしまった場合は、
専用様式のPDFファイルを印刷し、必要事項を記入して下さい。
必要書類を準備する
特例制度の申請のためには、本人確認のため、以下のA~Cのいずれかの方法で、
マイナンバーおよび本人確認書類の写しを同封する必要があります。
A:マイナンバーカード(表)の写し+マイナンバーカード(裏)の写し
B:次のうちいずれか1点のコピー
マイナンバー通知カード、マイナンバーの記載されている住民票
+次のうちいずれか1点のコピー
- 運転免許証
- パスポート
C:次のうちいずれか1点のコピー
- マイナンバー通知カード
- マイナンバーの記載されている住民票
+次のうちいずれか2点のコピー
- 健康保険証
- 年金手帳
- 提出先自治体が認める公的書類
申請書類一式を自治体へ送付する
記入済の特例申請書と必要書類を、寄附を行った自治体宛に郵送してください。
提出書類に不備があると寄附金控除が受けられませんのでご注意ください。
ふるさと納税の「ワンストップ」とは?デメリットや落とし穴を解説 おわりに
いかがでしたでしょうか。
ふるさと納税における「ワンストップ」は、
条件やデメリットとなる落とし穴にさえ注意をすれば、
確定申告の手間を省くことのできる制度です。
せっかくお得でご褒美感を味わえるふるさと納税なので、
デメリットに注意してぜひやってみてくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。