日々、感染者が増え続けて収束の気配が見えない新型コロナウィルス。
その感染の有無を検査する方法として
「PCR検査」という言葉が世界中のニュースで
- 「PCR検査の結果、都内で何十名が感染!」
- 「タレントの石田純一さんは検査の結果、陽性でした」
などと連日報じられています。
しかし、日本ではリスクが高い人以外は検査が行われていないため、
実際「PCR検査」とは何なのかわからない人がほとんどではないでしょうか。
そこで今回はPCR検査とはいったい何なのか、
その値段やどうやってやるのかをわかりやすくご紹介します。
PCR検査とは?
PCRは「Polymerase Chain Reaction」の頭文字をとった検査方法で、
日本語だと「ポリメラーゼ連鎖反応」といいます。
ウィルスは目には見えません。
顕微鏡でも見ることができないくらいの小ささです。
しかし人工的に、増やしたい部分だけを増やすことができるようになり、
特別な装置を使えば目で検出することが可能になりました。
そう、遺伝子増幅技術の代表的なものがPCR検査なのです。
PCR法は、
増えたDNAを染め出す特殊な装置に入れる事で、
増えた遺伝子を目視で確認する事ができます。
検体の中に増やしたい遺伝子があれば、
増えて目で確認することができ“陽性”と判定されます。
一方、検体の中に遺伝子がなければ増えないので、目で確認することはできず、
“陰性”と判定されます。
DNAとは?
私たち生物の遺伝情報は、
ゲノムDNAと言われる設計図の中に暗号化されて収められています。
ゲノムDNAの最少単位は4種類の塩基
- アデニン
- チミン
- グアニン
- シトシン
と呼ばれる物質で、設計図の文字に相当します。
この文字の数や並び方は、生物の種ごとに概ね決められているため、
文字を読めばどの生物の設計図なのかが分かるとされています。
そして、その数は、
- ヒト・・・31億文字
- 大腸菌・・・464万文字
あり、生物種によって文字の数(=ゲノムDNAの大きさ)や並び方は異なります。
文字の並び方は、
- “意味を持つ単語”として並んでいる部分
- ”意味を持たない単なる文字”として並んでいる部分
が入り混じっています。
この“意味を持つ単語”にあたる部分が“遺伝子”です。
その特徴を理解し、
検出したい微生物が特有に持っている遺伝子をターゲットにして
細菌やウィルスの検出を行います。
PCR検査方法の値段は?
2020年3月6日から新型コロナウィルスのPCR検査が保険適用となりました。
とはいえ、自己負担額は0円です。
もちろん新型コロナウィルス以外のPCR検査には
3割負担の場合5,000円程度の自己負担が発生します。
新型コロナウィルスのPCR検査が保険適応になったと言っても、
渡航歴や患者との接触歴などから、
医師が必要と判断した場合に検査が行われているのに変わりはありません。
この検査数を増やすべきなのか、増やさないべきなのか、
日々論点となっているところです。
PCR検査方法は?
新型コロナウィルス感染症は、ノドや痰の中に新型コロナウィルスが存在するため、
ノドを拭ったり痰を採取したりして、その検体の中のウィルスの有無を検査します。
もしくは、インフルエンザ検査のときに行う
鼻の奥を綿棒でグリっとしてとる鼻咽頭をぬぐっても検査できます。
PCR検査の結果が判明するまでの期間は状況によりますが、
1日から数日かかります。
検査の結果、陰性の場合、8万円の費用がかかるといった誤った情報が、
SNS(ソーシャル・ネット・ワーキングサービス)上などで流れているようですが
デマ情報です。
PCR検査結果の正確性は100%か?
PCR検査はウィルスの遺伝子が少数であっても検出できるため、
一般的に感染症の検査の中では検出力の高い検査とされます。
とはいえ、どんな検査も万能ではありません。
病気の診断には臨床検査が行われますが、
100%信頼できる検査というものはないのです。
例えば、
- 偽陽性・・・HIVのスクリーニング検査で陽性であっても結果的にHIVではない
- 偽陰性・・・本当は肺結核なのに結核菌の検査で陽性にならない
新型コロナウィルスのPCR検査でも同様のことが起こりえます。
PCR検査結果で大切なことは?
大事なのは「この患者さんがどれくらいその疾患らしいか」
を評価する「事前確率」といわれています。
一部の報道では「PCR検査をより多くの人に行うべきだ」とする論調を見かけますが、
- 全く症状がない人
- 数日続いているだけの風邪の症状がある人
などの検査をしても、
今の流行状況では、偽陽性が多くなりかえって混乱を招くことになりえます。
そのため、厚生労働省は相談・受診の目安として、
- 風邪の症状や37・5度以上の発熱が4日以上続く
- 強いだるさや息苦しさがある
としています。
ただし、この4日以上続くというのが、医療崩壊を起こさせないための期間で
特段根拠が薄いという話も出ています。
これは恐らく、重篤な患者に向けた治療を行うECMO(エクモ)などをはじめとした医療機器に限りがあることも想定できます。
(ECMOについては当サイトの「ECMOとは?何の略?人工呼吸器のメリットとデメリットをご紹介」でも特集しておりますので、併せてお読みいただけると幸いです。)
現在、新型コロナウィルス感染症が疑われた場合、
- 各自治体の相談窓口に電話相談する
- 医療機関の「帰国者・接触者外来」を受診する
ということになります。
今の国内の状況では、
受診者の大半は「新型コロナウィルス感染症ではない(風邪などの)患者」ですが、
稀に新型コロナウィルス感染症の方が外来を受診している可能性があります。
患者さんがたくさん医療機関に押しかけることによって、
風邪の患者さんと新型コロナウィルス感染症の患者さんとが、
同時に医療機関の中に集まることになります。
多くの医療機関では、受診者同士が近距離で接しないように
一定の間隔で待合いも配慮していますが、
受診者があまりに多すぎると
狭い空間に受診者が長時間待機することになるかもしれません。
風邪やインフルエンザのような症状が出現した場合も、
個々人が自身の感染リスクと重症化する可能性を考慮した上で、
病院を受診するかどうか判断するようにしましょう。
PCR検査とは?値段やどうやってやるのかわかりやすくご紹介します おわりに
いかがでしたでしょうか。
今、発熱や咳をしている人は4日間ほど自宅待機で静養して様子を見なさい
と言われても、
- 自分が新型コロナウィルスにかかったのではないか?
- 検査をした方がいいのではないか?
と心配になり、ネットで検索したり近隣の病院に受診を考えたり、
どうしたものかと頭を抱えてしまいますよね。
そうでなくとも体調が悪い時は誰しもが不安になり弱気になるものですが、
8割の人は軽症で回復していますので、落ち着いて自身の症状を見極めて
冷静に予防を継続しつつ治療行動するようにしましょう。
当サイトではPCR検査についてPCR検査はどこで受けられる?所要時間はどれくらい?わかりやすく紹介します!でも特集しておりますので、より詳しく知りたいかたはご参照くださいませ。
一日でも早く感染拡大が収束に向かうことを願います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。