あなたは「噛み合わせ」について考えたことがありますか?
噛み合わせが悪いと日々の食事だけでなく、心、そして体にも問題が生じてしまいます。
そして噛み合わせの悪さというのは歯並びの悪さに起因します。
そのままにしておくと、以下のような問題が起きてしまいます。
・ 食べ物がよく噛めない。
・ 言葉がうまくしゃべれない。
・ 虫歯や歯槽膿漏(しそうのうろう)になりやすくなる。
これらの問題に向き合い、解決していこうとするのが矯正歯科です。
名前は聞いたことがあるけれど、何をやっているのか知らない、という方もいらっしゃるのでは?
今回は矯正歯科について、その選び方や、専門医と認定医の違い、費用についても一緒に調べていきましょう。
矯正歯科とは?
矯正歯科では主に「不正咬合(ふせいこうごう)」と「顎変形症(がくへんけいしょう)」の治療を行います。
不正咬合とは、顎の位置のずれや、歯並びの乱れなどが原因で上下の歯がきちんと噛み合っていない状態、
顎変形症とは、上顎と下顎の大きさやバランスの異常によって噛み合わせが上手くいかない状態を指します。
どちらも、食べづらい、話しづらい、容貌が変わってしまう、などという不具合が生じます。
これらを治療するのが「矯正歯科」なのです。
矯正歯科ってどんな治療をするの?治療の流れはこちら!
①カウンセリング(30分~60分程度)
おおよその治療期間、費用の目安、抜歯の可能性や装置の種類などの相談ができます。口腔内の不安なども相談できますので、お口の健康をチェックする良い機会になりますよ。
②精密検査(60分程度)
歯型取得、レントゲン撮影、頭部X線規格写真撮影、虫歯や歯周病の検査などが行われます。顎関節の検査の為にCTやMRIを追加で撮影することもあります。
③治療計画の決定
精密検査後1~2週間で結果が出ます。この時点で治療期間や抜歯の必要の有無がわかります。抜歯が必要な場合や、他に治療の必要な箇所が見つかった場合は、先に治しておきます。
方針が決定したら、いよいよ、治療スタートです。
④治療スタート
矯正装置を装着して治療の始まりです。ここから約1年半から2年ほどの時間をかけて歯並びを治していきます。
矯正器具の選び方!どんなものがあるの?目立ちにくいものもある?
流れがわかったところで、どのような治療器具があるか頭に入れておきましょう。
矯正には様々な器具が使われます。
あなたの歯や顎の状態によっては選べない場合もありますが、それぞれの特徴を知っておくと治療の選択肢が増えますよ。
一つは『固定式装置』。
長期間一定の力をかけて歯を動かす治療だ。この器具は患者さん自身の手では動かせない。
代表的なものが『マルチプラケット装置』。歯に接着させたプラケットという小さな装置に、ワイヤーを通して動かしたい歯に力をかけるのだ。もう一つは『可撒式装置(かてつしきそうち)』。
こちらは取り外しが可能なタイプなんだ。
矯正治療用のマウスピースや、歯列矯正後の後戻りを防ぐ『安全装置(リテーナー)』などがあるんだぞ
①マルチプラケット装置
一般的な矯正装置です。前述の通り、歯に装着させたプラケットという小さな装置に通したアーチワイヤーで弱い力を加え続ける装置です。
ベーシックな装置であり、現在歯列矯正で最も使われている装置になります。
ちなみに目立ちにくいよう歯の裏側で固定するタイプもあります。
また、最近はセラミック製、プラスチック製など色々なものが出てきました。
メリットはベーシックなタイプの為、リーズナブルであり、表側矯正ならば取り扱う矯正医が多いことです。
デメリットは表側矯正の場合、金属性のプラケットは目立ちやすいということです。ワイヤーやプラケットの隙間にゴミがたまりやすく虫歯のリスクもあります。
裏側矯正の場合は慣れるまで発音しにくくなります。取り扱っている矯正医も少ないです。
また、常に弱い力を加え続けられることにより、鈍い痛みや違和感を覚える場合があります。
②マウスピース型装置
プラスチック製の透明なマウスピースです。交換しながら歯並びを整えます。
メリットは透明なので目立たないこと、交換するので常に清潔なことです。食事の時は外して食べられるので汚れません。
歯磨きのときも外して歯を磨けるので虫歯の心配が少ないです。
また、器具が外れて落ちたり、刺さったりといったトラブルもなくストレスフリーです。
デメリットは一日の装着時間が長いことです。食事と歯磨きの時間以外は常に装着していなければいけません。
また抜歯の必要がある場合や、顎の大きさやバランスの問題で装着できない方もいます。
装置にはそれぞれメリットデメリットがあり、費用も変わってきますのでよく調べて自分に合うものを医師と相談して選ぶようにしましょう。
矯正医の選び方!「専門医」と「認定医」の違いって何?
自分の望む治療方法が見つかったならば、次は医師を探さないといけません。
矯正医には大きく分けて二つ。
それは、「専門医」と「認定医」です。
望み通りの治療を受けたいのならばお勧めは「専門医」です。その理由は以下の通りです。
だから、矯正に関する専門技術を大学を出た後に学ぶ必要がある。しかし、現在の日本では医師免許さえあれば『矯正歯科』の看板を掲げられてしまう……。
不十分な知識で適切な治療が行えないと問題になっているんだ。
しかし、実際に矯正の専門教育を受けた医師は3000人程度だ。この3000人の中で、技術審査を受けて合格している医師が『専門医』なんだ。
『専門医』は、矯正に関する学会・団体が審査をおこなって資格を授与しており、現在3つの団体合わせて約450人の専門医がいる
「専門医」は、医師が実際に今まで治療をおこなった症例を学会等の審査員が技術審査をおこない、合格した場合に得られる資格です。
「矯正専門医」の資格は、現在3団体が設けた3種類があります。そのうちの一つ日本歯科矯正専門医認定機構(JBO)の資格の要件を見てみましょう。
・矯正専従医としての経験が5年以上あること
・JBO が定める研修規定に従った5年以上の研修を修了していること
・100症例以上の矯正治療経験を持つこと
・100症例の治療実績の中から審査委員に指定された5症例につき臨床能力評価(症例審査、口頭試問)を受け、合格すること
このように厳しい基準を設けられているのです。
一方、認定医は医師が矯正の研修期間などの一定条件を満たし、書類審査等で認定される簡易的な資格です。最低限のレベルだと考えた方が良いようです。
「e-矯正歯科.com」というサイトでは、矯正専門医の資格を持つ医院を検索できます。参考にしてみて下さい。
矯正歯科の費用はどれくらい?医療費控除と分割払いとは?
歯列矯正治療のほとんどは公的医療保険の対象外となるため自由診療となります。
自由診療とは治療費を全額患者さんの自己負担で受けるものです。
公的医療保険の対象になるのは以下の通りです。
・先天疾患によって歯列矯正が必要な場合
・顎の骨の外科手術を必要とする矯正治療の場合
公的医療保険の対象にならず自由診療となる場合治療費は高額になります。
項目ごとに治療費の目安を把握しておきましょう。
① カウンセリング
無料~5,000円
② 検査・診断料
10,000~65,000円
③ 表側矯正
770,000~1,200,000円
※透明の装置の場合:850,000~1,350,000円
④ 裏側矯正
1,050,000~1,500,000円
※オーダーメイドの場合:1,300,000~1,700,000円
⑤ マウスピース矯正
動きの少ないものの場合:550,000~700,000円
複雑な歯の動きに適応するものの場合:1,000,000円~1,400,000円
噛み合わせの改善など口腔内の回復を主な目的とし、「歯列矯正が必要である」と医師に認められた場合は医療費控除の対象になります。
1年間に100,0000円以上の医療費を支払った場合に控除が適用できて、税金の一部還付を受けられるので、対象の方は申告してみましょう。
また、歯科医院が提携するデンタルローンや、銀行の多目的ローン、クレジットカードなどで矯正費用の負担を少なくする分割払いが可能なところもありますので確認してみましょう。
無理のない自分に合った支払い方法にしたいですよね。
矯正歯科とは?選び方は?専門医と認定医の違いや、費用もご紹介 おわりに
いかがでしょうか。
「矯正治療をしよう!」
と思い立っても、調べていると様々な種類があり、治療法に選択肢がある分とても悩みますね。
どの方法をとってもメリットデメリットがあるので、自分が何を求めているのかをよく考えて選択することをお勧めします。
保険も効かず、費用も高額になりますが、現在はローンなども組めるということなので、諦めずに自分に合った矯正医を探してみて下さいね。