ネットゲームやSNSにハマっているあなた!
ちょっとのつもりでネット検索を始めたら、
気が付くと何時間もたっていた・・
そんなご経験はありませんか?
それはもしかしたら「インターネット依存」かもしれません。
「ゲームのガチャのために多額の課金をしてしまった!」
「会社をサボってまでゲームをしてしまう」
「SNSに張り付いていないと落ち着かない!」
「話題に乗り遅れたくないから暇さえあればツイッターを見てしまう」
ゲームやネットに依存するあまり、社会生活が壊れてしまい、
仕事が手につかず、人間関係まで上手くいかなくなってしまう。
それがインターネット依存症です。
「依存症」は自分の意志でコントロールできない病気なのです。
『自分の意志でネットをやめられない』、『人にやめるように言われてもやめられない』、そういう状態は既に『インターネット依存症』だ!
インターネット依存症とは?
インターネット依存症とはどのような病気なのでしょうか?
ゲームやSNSが好きでつい何時間もやってしまう人は多いでしょう。
それでも、多くの人は勉強や仕事と両立していたり、
うまく隙間時間を利用して愉しんでいますよね。
少なくとも誰かに注意してもらえたらやめることができるはずです。
しかし、インターネット依存症になると、
「自分の意志でコントロールできない」
「常にインターネットのことを考えてしまう」
「現実から逃避したくてインターネットを過度に利用してしまう」
そんなインターネットに操られているような状態になるのです。
具体的には下記の通りです。下に行くほど症状がひどくなります。
・自分の意思でインターネットの閲覧やスマートフォンの利用をやめられない。
・一日中インターネットのことを考えていて学校や仕事など日常生活に支障をきたしている。
・インターネットをしていないと不安になり、イライラする。
・人にやめるように言われてもやめられない。
・現実から逃げ出したい。
・自分が何をしているのかわからなくなる。
・幻聴・幻覚に悩まされる。
インターネット依存症はアルコール依存症に似ている。
しかしインターネットはアルコールと違い、体外から体内に物質が入ることで依存を引き起こすわけではない性質から、
うつ病や解離性(かいりせい)人格障害などを誘引するきっかけになる。
家族の力で一時的に現実に戻すことはできるが、ひどい場合は治療に何年も費やすこともあるんだ
そう簡単にいかないのが依存症だ。依存症は発症してから治すのはとても大変なのだ。
アルコール依存症だってなかなかやめられずに入院する人もいるだろう。
アルコール依存症の患者から酒を取り上げたら暴れるように、
インターネット依存症の患者にネットを一切使わせないようにするとかえって症状が悪化することもある
そうだ。インターネット依存症は人の忠告が聞けなくなり、
家族に暴力をふるってしまうこともある恐ろしい病気だ。
依存症にならないためには予防が大切なんだ。
一日のうちに必ずオフラインの時間を作ること、ルールを守ることを徹底すべきだ
インターネット依存症、どのような人がなりやすい?
インターネット依存症はどのような人がなりやすいのでしょう。
久里浜医療センターネット依存専門外来の受診者は年間1500人を超え、
その内訳として10代から20代がほとんどだそうです。
しかし、最近は30代以上の中高年も少しずつ増加しています。
スマートフォンの登場により誰でも手軽にゲームやSNSができるようになったことが背景にある。
そして男性はゲーム依存が多く、女性はSNS依存が多い傾向があるそうじゃ
若者が多いけれど、大人も増えているんだね。
今は誰でも気軽にネットを使えるんだから、みんなインターネット依存症になる可能性があるね。
それにしても、インターネット依存症って何が原因でなっちゃうんだろ……
インターネット依存症になる原因は?
インターネット依存症になるには必ずきっかけがあり、
家庭や学校で何らかの問題を抱えていることが多いとされています。
よくある例を見てみましょう。
①承認欲求
例えばインターネットゲームにのめり込んでしまう裏側には、
リアルな生活では自信が持てず、ゲームに強くなることで『認められたい』という承認欲求が見え隠れしている場合がある
夫がゲームにのめり込み、一緒に食事をすることも会話をすることもなくなり、妻子に家を出て行かれる……。
逆に妻がネットゲームにはまり、家族の分の食事を用意しなくなり家庭が荒れることもある
②SNSならではの「きずな依存」
LINEやFacebook、InstagramなどといったSNSは、
『いいね!』などをもらって存在を承認してもらえる。
一方で、常に繋がり続けていないといけないというネットワーク依存を引き起こすのだ
確かに。すぐに返信しなきゃいけないとか、『いいね!』しないと怒られるかもとか、
余計なこと気にして疲れちゃう……
東京大学大学院・情報学環の橋元良明教授は、これを『きずな依存』と呼ぶ。
とくに日本人は同調意識が強く、ムラ社会傾向があるため、ありがちな依存タイプだ。
そして、見なければ気が済まない、返事が来ていないかそわそわする、
自分がログアウトしているうちにネット上で何かが起きるかもしれない。
などという強迫的な気持ちを抱くようになり、繋がり続けようとしてしまうのだ
③目標がないことへの焦り
これは、若者に多い例だが、自分の将来についての人生計画がないこと、
日々の生活目標がないことへの不安が依存へと向かわせる。
勉強や部活など打ち込める何かを持っていればインターネットに依存しなくなる
④うつや発達障害などの病気
うつや発達障害などの病気を持つ人はインターネット依存症になりやすい。
更にインターネット依存になることでうつや発達障害の病状が悪化しやすい
インターネット依存症とうつの関連性は?
欧米や韓国で行われている研究では
以下の病気とインターネット依存症の関連が認められています。
・解離性同一性障害
・ADHD(注意欠陥・多動性障害)
・ASD(自閉症スペクトラム)など
これらの病気の人は、コミュニケーションが苦手で、
人と関わるたびに感情的になってトラブルを起こしてしまいます。
もしくは、人と関わることに不安や緊張を感じやすい傾向にあります。
そのため、直接人と関わらないオンラインゲームやSNSにのめりこみやすいのです。
では、SNSとメンタルヘルスの関係についての研究をいくつか紹介しましょう。
①ピッツバーグ大学医学部の研究結果
ピッツバーグ大学医学部の研究チームが『SNSがメンタルヘルスに及ぼす影響についての調査』を実施したところ、
『SNSの利用頻度が高ければ高いほど、うつ病になりやすい』ことが判明したそうだ。
アメリカの19歳から32歳までの1787名をアンケート調査したところ、
対象者の四分の一以上がうつ病になる可能性が高いという結果が出ている。
中でも、SNSの利用頻度が低い人と比べ、高い人がうつ病になるリスクは2.7倍と言われている
うつ病の人はSNSで喪失感を埋めている可能性がある。
そのためにSNSの利用を促進し、SNS依存を発生させているのだ。
論文の筆頭著者LuiyiLinさんは、
『SNS上で友人らの投稿を目にすることで、自分以外の人たちは幸せで充実した人生を送っているという
ゆがんだ認識とうらやむ気持ちが生じる』
と述べておる
②英王立公衆衛生協会の報告書
2017年英王立公衆衛生協会は『SNSが若者の心の健康に与える影響についての報告書』を発表している。
その中で、『SNSはアルコールやタバコよりも依存度が高い可能性がある』とされている。
SNSの利用は不安感やうつ、不眠の悪化につながっているというのだ
その通り。中には社会的、法的に問題のある書き込みなどもある。
ネガティブな言葉を見過ぎてしまうと、強いストレスを受けてしまうのだ
③ペンシルべニア大学の研究結果
更に、2018年ペンシルベニア大学の研究では、『SNSの利用時間を一日30分に制限した結果、メンタルヘルスが大きく改善された』と発表している。
SNSの利用時間制限により、気分の落ち込みと孤独感が減少したのだ。
SNS利用とメンタルヘルスの問題の因果関係が明らかになったわけだ
なるほど。心の健康のためには、過度なインターネットの利用は控えないといけないんだね。僕も気をつけよっと。
ところで、インターネット依存症になってしまったらどのように治療するの?
インターネット依存症の治療方法とは?
久里浜医療センターは、国の依存症対策全国センターです。
日本ではインターネット依存の治療に専門的に取り組んでいる施設はまだありません。
そのため、久里浜医療センターでは、長年の依存症治療でつちかった専門性をもとに、
2011年7月よりネット依存治療研究部門を開設し治療を開始しました。
久里浜医療センターでのインターネット依存症の治療方法は以下の段階で進みます。
・軽症であれば外来でのカウンセリング中心
・カウンセリングで重症と判断されれば、認知行動療法などの専門的な治療
・重症で深刻な問題が起きている場合には入院治療
現在、インターネット依存やゲーム依存そのものを治療する薬はありません。
そのため、基本的にはカウンセリングが治療の中心となります。
久里浜医療センターでは、運動療法や認知行動療法などを組み合わせた
『NewIdentityProgram(新アイデンティティプログラム)』
という専門的な治療プログラムを提供しているぞ
このプログラムは、週1回、9時半から15時ごろまで、
ゲームやネットから離れた環境で過ごし、『リアルな世界』での楽しみや良さを感じてもらうのだ。
外来患者さんが中心だが、入院患者さんも参加し、1回あたり15人程度で、医師や看護師などとともに、
運動や工作などさまざまな活動を行っておる
インターネット依存とは?大人はうつ病に?原因と対策について紹介 おわりに
いかがでしたか?
今や何でもインターネットで調べられる便利な時代になりました。
しかしその反面、人間のコミュニケーションもネット上で行われることが多くなり、
ネット社会と現実社会との境目がなくなってきています。
オンラインで出会った人と結婚など、
「現実社会よりもネット上での関係の方が大事」
という人も多くなっているのではないでしょうか。
インターネットは私たちの生活に欠かせないものですが、
上手に付き合わないと心の病にかかってしまうこともあります。
一度依存症になれば治療には時間がかかりますので、
対策としては予防をするのが一番です。
適度にネットと距離を置いて、あくまで道具として割り切って使う方がいいでしょう。
そして、「ネットにはまりすぎているかも」と思ったら
必ずネットを使わないオフラインの時間を作ってみましょう。
依存症は恐ろしい病気ですので、お子様がいる場合は、
一日にネットをしてよい時間を決めて、
家族でルールを作り徹底して守っていきましょう。
…。
最後までお読みいただきありがとうございました。