今回は、2名の医師がALS患者を薬物投与で殺害するという事件が発覚し、コロナ禍でも話題になっていた病気、
ALSについてお送りします。
現在、日本には約9,600人(2016年時点)の患者さんがいます。
先の国会議員の他にも、意外と著名人がカミングアウトしており、注目されています。
今回はそのあたりも含め、ALSの原因や症状について調べてみました。
そもそもALSって何の病気?初期症状から経過はどうなるの?
通称ALS(Amyotrophic lateral sclerosis)と呼ばれる病気で、
日本語の正式名は「筋萎縮性側索硬化症」と言います。
筋肉の動きを支配する脊髄の運動ニューロン(運動神経細胞)が侵されることで、
脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、
だんだん体が動かしにくくなったり筋肉がやせ細ってくる、
神経の病気なのです。
筋肉そのものやその他の内臓機能・視力・聴力などには影響しないのですが、
せっかく正常な機能を備えていても神経が筋肉などを動かせなくなるので、
患者さんはもどかしい状態が長く続きます。
最初は手や足など一部の筋肉が動かせない状態から始まるのですが、
この病気は進行性なので、徐々に複数の箇所の筋肉が動かせなくなり、
最終的には呼吸するための筋肉が動かせなくなるため死に至ります。
病気になってから死亡までの期間はおおよそ2~5年ですが、
この辺は個人差があります。
中には、人工呼吸器を使わないでも10年以上生きる例もありますし、
もっと早い経過で呼吸不全をきたす例もあります。
年齢的には60~70代が多いですが、もっと若い人の例もあります。
統計上は、女性より男性の患者数が多いそうです。
この病気が初めて発見されたのは1869年、日本では1891年です。
ALS患者となった主な著名人は
- 中国の政治家・・・毛沢東
- クイズダービーでお馴染みだった・・・篠沢秀夫教授
- 美容家・・・佐伯チズさん
- バイオリニスト・・・大平まゆみさん
- れいわ新選組・・・舩後靖彦参院議員 など
遺伝性はほとんど認められていないのですが、
一方で全体の約5%は家族内で発症することが分かっており、
このケースは家族性ALSと呼ばれています
原因が判れば、もっと合理的な治療方法があるはずだがな。
では、ALSの原因と、これからの展望はどうなっているのか?
次で詳しく調査してみましょう。
ALSの原因は分かっているの?これからの期待材料は?
ALSの原因ですが、「難病」に指定されているだけあって、
未だはっきりと判っていません。
現状では、仮説として
- 何らかの環境因子の関与
- グルタミン酸過剰説(神経伝達物質の一種が過剰に分泌される)
- 神経栄養因子の欠乏説(神経を成長・修復・回復させる栄養分が欠乏する)
- フリーラジカル説(神経の老化)
などが挙げられてはいます。
原因が特定できないため、現在のALSの治療法としては
対症療法(様々の症状を軽くする方法)が中心となっているようです。
- ALSの進行を遅らせる作用のある薬(リルゾール)の使用
- 筋肉の毎日のリハビリテーション
- 病気に対する不安や不眠には睡眠薬や安定剤を使用
- 呼吸困難時には気管切開や人工呼吸器の着用
- 食事がしづらい場合には流動食や胃ろう(胃袋に直接栄養を送る)
などですね。
近年話題になったのは、2014年にアメリカから始まった
「アイス・バケツ・チャレンジ」ですね。
トランプ大統領初め、
著名人が次々バケツの水をかぶって次の人へリレーする動画、
たことありませんか?
あれはALS支援運動でした。
- バケツに入った氷水を頭からかけている様子を撮影し、Facebookなどの交流サイトで公開する
- 100ドルをALS支援団体に寄付する
- その両方を行う
のどれかを選択します。
そして
- 次にやってもらいたい人物を3人指名する
- 指名された人物は24時間以内にいずれかの方法を選択する
というものでした。
国の対応としては「指定難病2」に認定されており、
ALS患者のための助成金「難病医療費助成制度」を利用することで
公的に治療費の補助が受けられます。
具体的には
- 自己負担割合を2割
- 所得に応じた自己負担上限額以上は負担しなくて良い
というようになっています。
期待材料もありますよ!
東北大学ではALS治療に関する様々な研究が行われており、
2019年にはALS患者のiPS細胞を用いて、
ALSの新規病態を発見したと発表がありました。
これを利用しての早期治療標的への応用に期待が寄せられています。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは?原因や初期症状、経過について おわりに
いかがでしたでしょうか。
ALSは難病に指定されており、今はまだ根本的な治療法は確定されていませんが、
iPS細胞の研究など、これからの新薬開発に期待したいところですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。