あなたは日本の少子化についてどうお考えでしょうか?
2019年度の出生数が過去最低を更新し、
ついに90万人を切ってしまったニュースは記憶に新しく、
「ここまで減ったか」という印象を受けた方も多いのではないでしょうか。
高齢化の問題も加速する一方で、今まさに少子化を食い止める政策が求められています。
ねえ、知っている?新婚世帯の新生活にかかる費用を補助してくれるんだって!僕も結婚したいなぁ
少子化対策の一環じゃな。少子化を食い止めなければ未来が大変なことになるからな
なんで新婚さんを補助すると少子化じゃなくなるの?
それはな。人間界では子を産む前に結婚をするのが前提となっておる。しかし、現代日本は貧困が進み、結婚したくても結婚できない構造になっておる。そのために補助金が必要とされているのじゃ
安心して結婚できる社会にならないと少子化が止まらないってことだね
その通りじゃ。今回は日本の少子化社会の現状と、少子化に陥る原因について考えてみよう
少子高齢化時代とは?
日本は現在すでに少子高齢化時代へと突入しています。
少子化と高齢化は別問題であるのですが、それが同時にやってきたことで、
より解決しにくい深刻な問題となっているのです。
ところで、少子化という言葉はよく聞きますが、その意味をご存知でしょうか。
少子化、少子化って言うけれど、少子化って結局どういう意味なの?子どもが少なくなっているってことでしょ?
少子化とは出生率が低下し、子どもの数が減少することを表した言葉じゃ。この言葉は1992年に出された国民生活白書で初めて使われた。『合計特殊出生率』が人口を維持するのに必要な水準を相当期間下回っている状況を、『少子化』と定義しておるぞ
あぁ難しい言葉出てきた!『合計特殊出生率』って何なの?
『合計特殊出生率』とは15歳から49歳までの女子の年齢別出生率を合計したもののことじゃ。1人の女子が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に産むとしたときの子どもの数に相当する。人口統計上の指標で、一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子どもの数の平均を示す指標なのじゃ
なるほど。つまり、少子化っていうのは、出産適齢期の人が生む子どもの数の平均が水準を下回り続けているという意味なんだね。じゃあ、高齢化ってどういう意味?
子どもが減り続ける一方で、日本の人口における高齢者の割合は増え続けておる。高齢化社会とは、人口に占める高齢者の割合が7%を超えている状態のことじゃ。ここでいう『高齢者』とは人間年齢が65歳以上の人のことじゃ
子どもが減って、高齢者が増えているんだね。それってそんなに大変なことなの?
これから先の未来、社会を支える働ける人が少なくなる一方なのに、支えなければならない高齢者は増えていくのじゃ。労働力が不足すれば経済は悪化する。すると、高齢者を支える医療費が莫大となり若年層への税金の負担の増加する。もしかしたら年金制度も崩壊してしまうかもしれない。少子高齢化の進む日本の現状についてよく考えてみなければならないのう
日本の少子化の現状は?
2020年7月内閣府は「令和元年度少子化の状況及び少子化への対処施策の概況(令和2年版少子化社会対策白書)」を発表しました。それによると、日本の総人口における各年齢の割合は以下のようになります。
2019年の総人口:1億2,617万人
年少人口(0~14歳):1,507万人(総人口に占める割合12.1%)
生産年齢人口(15~54歳):7,521万人(総人口に占める割合59.5%)
65歳以上人口:3,589万人(総人口に占める割合28.4%)
年少人口の割合が65歳以上人口の割合を下回っているね
2019年の出生数は86万5,234人となり過去最少記録を更新した。これを86万ショックという。ちなみに合計特殊出生率は1.36となり、2018年より0.006ポイント低下しておる
現在も減り続けているのかぁ。このままだと生産人口が全人口の50パーセントを下回っちゃう。ところでベビーブームとときの出生数と合計特殊出生率ってってどれくらいなの?
第1次ベビーブームの期間に当たる1949年の出生数は269万人で合計特殊出生率は4.32と過去最高じゃった。第2次ベビーブームがあった1973年はそれぞれ209万人、2.14と減少しておる
そして、2020年は86万人で1.36……だいぶ減ったね。このままだとどうなるの?
日本では、1970年代半ばから少子化現象が続いておる。日本の総人口は2010年にピークを迎え、そこを境に減少しておる。一方、高齢者人口の層は増加し続けて高齢化が進行し、2050年代にはピークを迎えると考えられておる。今後出生率が好転しない限りは、生産年齢人口は大幅に減り続けるじゃろう。2050年の年少人口の数値は1,077万人と想定され、2019年より430万人近くも減ると推計されておる
少子化になる要因とは?
なぜ日本では少子化が進んでいるか、その理由を考えてみましょう。
①未婚化
子供を産む前には結婚をする人がほとんどじゃが、最近の若者は結婚しないのじゃ。未婚化が進行している背景には、経済的に苦しいという理由が大きい。未婚化の根底にあるのは長引く不況じゃな
生活が安定しないから結婚に踏み切れないのかな
結婚に関する障害について調査した結果、男女共に結婚資金が捻出できないという問題が出てきた。さらに住居や職業など経済的事情が近年増加傾向ににある。年齢別・雇用形態別に男性の有配偶率を見ると、どの年齢層も非正規雇用労働者の有配偶率が顕著に低くなっておる
所得や雇用形態が結婚に大きく影響しているんだね。正社員じゃないと結婚は厳しいのか…
経済的に厳しくて、結婚適齢期の若者が結婚に踏み切れないのは大問題じゃな
②晩婚化
経済的に落ち着くのを待っていると晩婚になり、子どもは諦めたり、1人までしか生まないと決めたりすることもある。近年は平均初婚年齢、平均出産年齢が共に上昇しており、長期的な上昇傾向にあるのじゃ。晩婚化・晩産化が進行しており、2011年以降は第1子の平均出産年齢が30歳を超え、緩やかに上昇している
でも、晩婚化しちゃうと第2子以降を産むのが大変になるよね
その通りじゃ。晩婚化が進めば、それだけ第1子を授かるタイミングが遅くなり、出産年齢も上がる。そのために第2子を諦める人も居るじゃろう。一世帯あるいは一夫婦の理想的または予定している子どもの平均人数は2人以上とされておるが、実際の子ども人数は2人未満のことが多い。理想と現実の間にはギャップがある
出産・子育てって健康や体力を必要とするから、第2子を諦めてしまうことも多いんだろうね
③価値観の多様化
一方、高所得であっても自由な恋愛を望み、あえて結婚という形式にとらわれない生き方をする人もいるじゃろう。子どもを産まないことを選択し、事実婚を選ぶカップルも居る
現代では結婚・出産は必ずしなければいけないものではないよね
多様な価値観が認められることは素晴らしいことじゃが、少子化の理由の一つとなってしまっておる
④女性の社会進出
女性の社会進出も少子化に影響を与えていると言われておる。女性が社会進出を果たし、企業などで重要な役職に就くケースが年々増加しておる。その一方で子育て支援の体制が十分でないことが多く、結婚を諦めてしまったり、晩婚化してしまったりしておるのじゃ。また仕事との両立の厳しさに、本当は2人以上の子どもがほしくても1人で諦めてしまうこともあるじゃろう
女性は子どもか仕事かどちらかしか選べないの?厳しい社会だね…
子どもを作るためには一度産休などの制度を使い職場を離れなくてはならん。その際に自主退職を勧められるなどのケースがあるという。産後に復職することが可能であっても子育てと働くことの両立は大変困難なことじゃ。ちなみに産休や育児休暇を取得できても女性1人に育児の負担が集中するワンオペ育児が昨今では問題になっておる
女性に社会進出しろって呼びかけてはいるけれど、社会進出できる基盤が整っていないんだよね!
女性が働きやすい社会にせねば少子化は食い止められんだろうな。ちなみに主婦に特化した人材サービス『しゅふJOB』が働く主婦に聞いた少子化の原因トップ3は以下の通りじゃ
1位:子育てと両立しやすい仕事が少ない
2位:子育てにお金がかかり過ぎる
3位:子育ての負担が女性に偏っている
うーん。現状じゃ子育てしつつキャリアを積むって難しいんだね。女性が仕事も子どもも両方諦めずにすむ社会になってほしいな
少子化はデフレ経済のせい?
少子化の要因には未婚化・晩婚化問題があることがわかりました。
その背景には経済的な問題があります。
若者が結婚できないのも、結婚できずに晩婚化してしまうのも、経済が安定していないからです。
日本は現在デフレスパイラルに陥ってしまっています。
デフレスパイラルとは物価が継続的に下落し続ける状態であるデフレーションと、螺旋(らせん)を意味するスパイラルという言葉をかけあわせた言葉じゃ
物価の下落と経済の縮小が連動して、螺旋階段を下っていくかのようにどんどん下落していく。デフレ経済の結果、実質賃金(じっしつちんぎん)が落ちていることが、若者が結婚できない大きな理由となっておる
実質賃金とは、賃金が、実際の社会においてどれだけの物品の購入に使えるかを示す値のことじゃ。賃金から消費者物価指数を除することで求められる。つまり実際に消費に使える金額が減っているということで、消費活動をしなくなった
お金がないと何もできないもんね。でも、なんで実質賃金が落ちているの?
デフレ経済による日本人の貧困化が原因じゃ。デフレ経済とは、物価の下落と賃金の下落が互いに連鎖する最悪の経済のことじゃ。デフレが慢性化する中で、収入が低く、雇用が不安定な男性や、育児休業できない職場に勤める女性の未婚率が上がってしまっているのじゃ。しかも、賃金の先行きが見通せない。増えると思えない状況。今が貧しく、将来も豊かになれない。だから、結婚できないし、子どもも産まない
経済的に安定しないから、結婚したくてもできない。子どもが産みたいのに産めない社会だから少子化が進んでしまうんだね。このままじゃ、状況は悪化していくばかりだけれど、どうにかできないの?
まずは結婚を望む者が安心して結婚できる社会にすることが大事じゃ。現在政府は新婚世帯に『最大60万円』補助する政策を検討しているようじゃ。ただし実施している地域が限られることと、年齢・所得に制限がある。39歳以下かつ540万円未満の所得だそうじゃ
貧困で結婚を諦めている人にとっては朗報だね!子どもを諦めないですむような政策がもっと実施されればいいね!
タイトル:少子化とは?日本の現状は?原因はデフレなのか?わかりやすく解説 おわりに
いかがでしたでしょうか。
デフレ経済と深く結びついた少子化問題、あなたはどうお考えになりますか。
このまま放っておくと経済が悪化し、子どもたちに莫大な負担を背負わせてしまうこととなります。
「愛さえあれば」
と、テレビドラマや映画では囁かれていますが、現実世界で少子化を解消するためには、
若者が結婚しやすい世の中になること、働く女性が子育てしやすい世の中になることが大切になります。
社会を支えているのは働く世代の人々じゃ。労働力を増やすには、経済の安定が不可欠。皆が安心して働ける社会を目指していかねばならんな
未来を担う子ども達に負担を押し付けないためにも、少子化を食い止める方法を探していかないとね
最後までお読みいただきありがとうございました。