あなたは関西の冬の風物詩、『十日戎(とおかえびす)』をご存知ですか?
関西の商売人では知らない人はいないと言われ、
『新春祈願』として商売繁盛・学業成就などを願い参拝する『十日戎』。
「商売繁盛」を願うことから、関東で言うところの『酉の市』に近いニュアンスと言えますね。
『十日戎』は、関西各地の神社で行われ、特に有名なのが兵庫県の西宮神社、
大阪府の今宮戎神社(いまみやえびすじんじゃ)で行われるもの。
そこで今回は『十日戎』の歴史や日程に加え、西宮神社、今宮戎神社
それぞれの神社へのアクセス情報などをご紹介させていただきます。
十日戎の歴史は?
室町時代以降、庶民の「えびす様」への信仰が強くなったとされています。
同時期に大阪の市街も発展し、大阪町人の商いの勢いにさらに火が付いてきます。
江戸時代になると、大阪は『商業の町』としてさらなる繁栄を遂げ、
同時に「えびす様」を祀っていた今宮戎神社も
大阪の商業を守る神様のという形で心酔されるようになりました。
十日戎の催し物もこの時代から盛況になったとされます。
その後、元禄期を迎えると十日戎の儀式を彩る宝恵籠の奉納も
とり行われる祭礼となり、現在に至ります。
『十日戎』では、飾ることで商売繁盛のご利益があると言われている
『福笹』という笹が売られています。
笹の大元である竹は、真冬でも青々とした葉をつけ、真っ直ぐに伸びている様から、
生命力が強く神秘的なものと考えられてきました。
このことから、『福笹』は『商売の逆境や苦難にも耐えられる象徴』
という縁起物の意味合いを持つようになりました。
『福笹』を手に入れるまでの一般的な流れは、
本殿にお参りしたあと、境内の社務所や特設授与所などで
商売繁盛のお守りとして授与をうける(購入する)のが基本です。
一般的には、えびす様のお札や吉兆(きっちょう)と呼ばれる
銭袋、米俵、小判などを飾り付けられた状態で授与(販売)されます。
ただ、今回ご紹介する今宮戎神社は少し違います。
今宮戎神社の場合、まず本殿横にある『福笹授与所』で笹だけを授与され、こちらは無料。
その笹に、お好みの吉兆を選んで福娘(※)につけてもらい、
吉兆の分だけ初穂料をお支払いする仕組みです。
笹は無料ですが、笹だけ手に入れてもご利益はありません。
当然お守りをつけるのが人の常。
…すると料金が発生します…
実は商売とは何たるかも学ばせていただいているのかもしれません。
(※)福娘
毎年一般応募で選ばれた満18歳〜23歳の女性のこと。
十日戎に関する様々な行事に参加や、笹の配布、吉兆の飾り付けを行う。
十日戎の日程は?
『十日戎』は毎年1月10日と、その前後日の3日間で開催されます。
その理由は、えびす様が1月10日の寅の刻(午前3〜5時)に生まれた
と言われていることに由来しています。
こうした由来があることから、
『十日戎』は開催される場所にかかわらず同じ日程で開催されます。
2019年の『十日戎』は下記のとおりです。
- 9日 宵戎(よいえびす)
- 10日 十日戎(とおかえびす)
- 11日 残り福(のこりふく)
特に混雑が予想されるのは10日です。
ただ、2019年の『十日戎』は全て平日のため、
昼間は比較的空いていることが予想されます。
それでも夕方以降になると会社帰りの人や学校帰りの学生で賑わうはずです。
特に11日は金曜夜となるため、お早めに足を運ぶとゆったり楽しめると思います。
十日戎のアクセスは?
『十日戎』が行われる西宮神社と今宮戎神社それぞれへのアクセス情報は下記のとおりです。
西宮神社へのアクセスは?
☆電車の場合
- 阪神本線 西宮駅えびす口から徒歩約5分
- JR神戸線 さくら夙川駅から徒歩約9分
- 阪急神戸線 夙川駅から徒歩約15分
☆お車の場合
-
- 阪神高速神戸線 西宮I.C.を降りてすぐ
-
-
- 阪神高速神戸線 武庫川I.C.を降りて約5分
-
駐車場は近隣の有料駐車場をご利用ください。
- 阪神西宮駅駐車場(西宮市田中町1−6)520台
- DSS西宮戎モータープール(西宮市和上町2−8)48台
- GSパーク西宮戎南(西宮市宮前町8−3)29台
- DSS西宮戎第2モータープール(西宮市産所町4) 13台
- リパ-ク阪神西宮駅前第2(西宮市田中町2−14)12台
- P.ZONE香櫨園(西宮市宮西町8−26)29台
- タイムズ西宮神楽町第2(西宮市神楽町4)12台
今宮戎神社へのアクセスは?
☆電車の場合
- 地下鉄御堂筋線 大国町駅3番出口から東へ徒歩約8分
- 地下鉄堺筋線 恵美須町駅5番出口から徒歩約5分
- 南海高野線 今宮戎駅降りてすぐ
- JR 新今宮駅から徒歩約10分
☆お車の場合は
- 阪神高速1号環状線 なんばI.C.を降りて約5分
お祭り期間中は周辺道路は大変混雑するため、公共交通機関の利用をオススメします。
どうしてもお車でのお出かけをご希望の場合は、下記の有料駐車場をご利用ください。
- タイムズなんばウォークパーキング(大阪府大阪市浪速区湊町1−1)154台
- タイムズ大阪難波(大阪府大阪市浪速区難波中2−5)194台
- タイムズ難波立体(大阪府大阪市浪速区難波中1−16)213台
十日戎 おわりに
今回は『十日戎』の歴史や日程、アクセス情報などをご紹介してきましたが、
いかがでしたでしょうか?
ちなみに関西以外ではあまり馴染みのない『十日戎』ですが、
毎年ニュースに流れる西宮神社の『福男選び』は全国的に有名です。
正式には『十日戎開門神事福男選び』というこの神事は、
毎年10日の開門時(6時)には多くの参加者が集まります。
どれくらい多くか?
その数、なんと6000人以上なのです!
朝6時に神社の表大門が開かれると、
前夜から外で待っていた参拝者6000人が一番福を目指して境内を走り抜けます。
約230m離れた本殿へと最も早くたどり着いた人がその年の『福男』になり、
三番福までを勝ち取った人は、豪華副賞が授与されます。
しかも、ニュースや神社境内で公表され、その年一年は様々な神社の公式行事に呼ばれます。
こうなると、参加者の本気具合は尋常ではなく、以下が2018年1月の様子でまさに圧巻!
最後に豆知識ですが、『福男』という名前から参加者は男性限定…
と見せかけておいて実は女性の参加も可能です。
女性が一番福を取ると『福娘』ではなく『福女』となりますよね。
しかし、未だかつて福女に選ばれた人は存在せず、
『福男』もその多くは消防署員や大学の陸上部員といった
体力と脚力に自信のあるアスリートが多いそう。
昔と違い女性が社会に進出し、現代では中心になりつつある時代。
もし『十日戎』で『福女』が誕生すれば非常に盛り上がること間違いなしです。
(密かにファンである吉田沙保里の姉御にご参加いただき一番福を取ってほしいと願う今日この頃です)
また、誰でも参加できるので、あなたも体力に自信があれば参加してみてはいかがでしょうか?
2019年は1月は、関西の冬の風物詩、『十日戎』に、ぜひ足を運んでみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
文:星野貴史