【入門編】アドラー心理学とは?
オーストラリアのウイーン郊外で生まれた
アルフレッド・アドラー(1870年〜1937年)が築いた心理学です。
アドラーは「自己啓発の父」と呼ばれています。
アドラー心理学の基本的な考え方としては、
- 人間の行動には目的がある(目的論)
- 人間を分割できない全体の立場から捉えなければならない(全体論)
- 人間は、自分流の主観的な意味づけを通して物事を把握する(認知論)
- 人間のあらゆる行動は、対人関係である(対人関係論)
- 人間は、自分の行動を自分で決められる(自己決定論)
- 人間の生き方には、その人特有のスタイルがある(ライフ・スタイル)
などを挙げることができます。
思想的な特徴としては、
- 他者を支配しないで自分で生きる決心をすること
- 他者に関心を持って相手を援助しようとすること
治療方法としては、
- 現実的に達成可能な治療目標の一致を取ること(目標の一致)
- クライアントの言うことの主として目的について推量を捨て、それをクライアントに確認を取ること(解釈と推量)
- クライアント自身が自分の責任で解決しなければならない課題と、クライアントには責任がなく介入する権利がない課題とを区別すること(課題の分離)
- 目標達成のための様々なアイディアを提供すること(代替案の提示)
などがあります。
つまり、
- 自分の人生は自分で切り拓いていくもの。
- 自分に何が起ころうとも、それをどう考え、解釈するかによって人生が決まる。
- どんな人生を歩むかは、その人の考え方と行動次第である。
- 全く同じ出来事が起こったとしても、人によって解釈が異なり、その解釈によって行動が変わり、結果も変わる
という考えです。
過去を嘆き、後悔するのではなく、
未来を、自分のよりよい人生を送るための指針と捉えて、前に進むことを提言しています。
オススメの名言をわかりやすく紹介!
人生編
「人生が困難なのではない。あなたが人生を困難にしているのだ。人生は、きわめてシンプルである」
「人生が辛く、苦しい」のではなく、あなたが自分の手で「人生を辛く苦しいものにしている」
この言葉、私の中でかなり思い当たる節があります。
- 言いたいことをなかなか言い出せずにいたり
- 色々なことに手をつけて自分を苦しくしてたり
と、ややこしくしている気がします。
そもそもの考えを自分自身が複雑にさせているのですね。
こんな時に必要なのは、
- 「勇気」
- 「物事の解釈の仕方、行動」
なんだと思います。
「信用するのではなく、信頼するのだ。信頼とは、裏付けも担保もなく相手を信じること。裏切られる可能性があっても相手を信じるのである。」
「信用◯◯」と聞いて、あなたは何を連想しますか。
- 「信用取引」
- 「信用金庫」
など金融上の取引を連想する方が多いのではないでしょうか。
しかし、信用を信頼に置き換えて
- 「信頼取引」
- 「信頼金庫」
と置き換えてもピンとは来ないと思います。
なぜピンと来ないかというと、「信用」と「信頼」は明確に違うからです。
「信用」はその人の
- 預金残高
- 保有資産
- 過去の取引実績
- 担保
など、「信用」とは引き換えの裏付けがあります。
しかし「信頼」は違います。
一切の裏付けや担保もなく、相手を信じることを言います。
アドラーの提唱した共同体感覚は「信頼」をベースにしています。
無条件に信頼し、信じることで幸福になる道は開けると提唱しています。
仕事編
「健全な人は、相手を変えようとせず、自分が変わる。不健全な人は、相手を操作し、変えようとする」
「過去と他人は変えられない。しかし、今ここから始まる未来と自分は変えられる」
この考え方を活かす上で大事なことは、
「本当はどちらが悪いのか」という「原因」を追求するのはムダだ、ということです。
どちらが悪いかということに時間と労力を費やすよりも、
これからどうしたら良いかという解決策に時間を費やす方が、はるかに効率的です。
例えば、上司や部下、配偶者に非があった時でも
「自分に、今、できること」を見ればいいのです。
もし、相手に気づいて欲しいことがあれば、
気づかない相手を責めるのではなく、自分の伝え方を変えるのです。
自分の言葉の力を磨き、相手から信頼し、納得されるように努力すべきなのです。
不健全な人は
- 過去をグチり
- 他人の悪口を言い
- 自分が被害者だ
と訴えて同情を買おうとします。
どちらの人生が幸福になる切符を持っているでしょうか。
言わなくても明確ですね。
家族編
「子供にとっては家族が世界のすべてなのだ。親に愛されなければ死ぬしかない。だから子供たちは全力で親に愛されようとする。そのときとった命がけの戦略がそのまま性格形成につながっていく。」
人間の子供は他の動物に比べ、極端に未成熟な状態で生まれてきます。
すぐ歩くこともできないし、ご飯を自分で食べることもできません。
つまり、親の助けなしに一人で生きていくことはできないのです。
そのため、人間の子供は親から見放されることを極端に恐れます。
親から見捨てられるということは「死の宣告」に近いからです。
そうして、子供は親に愛され、認められようと必死に努力します。
努力の方法は違えど、
子供は親の愛や関心を引くためにそれぞれ戦略を実行しているのにすぎないのです。
そして、その中で成功した戦略を大人になっても使い続けるというわけです。
それが子供の性格になっていきます。
虐待の事件や残虐な事件がニュースで流れる度、私はこの言葉を思い出します。
「子供は感情でしか大人を支配できない。大人になってからも感情を使って人を動かそうとするのは、幼稚である。」
生まれたばかりの赤ん坊は言葉を話すことができません。
- 「おっぱいが欲しい」
- 「抱っこして欲しい」
- 「オムツを変えて欲しい」
など、これらを伝える方法は「泣く」という感情表現だけなのです。
つまり、「泣く」という感情表現であらゆる望みを手に入れ、学習します。
この感情表現を大人になっても頻繁に利用する人がいたら、
その人は子供の頃の成功パターンを繰り返し利用しているかもしれません。
- 怒りで周囲を動かそう
- 涙で相手を思い通りに動かそう
そうしているのです。
こういった人は内面が幼稚なまま大人になってしまったと言えるでしょう。
「親が悪いから。パートナーが悪いから。時代が悪いから。こういう運命だから。責任転嫁の典型的な言い訳である。」
言い訳をして責任転嫁をすると、一瞬は気持ちが楽になります。
- 親が悪い
- 上司が悪い
- 部下が悪い
- 配偶者が悪い
- 子供が悪い
だから自分は悪くない。
心がスッと一瞬は晴れるかもしれません。
ですが、その後に残る気持ちはどうでしょう。
覚えておきたいのは、自分の不幸な境遇ばかり嘆いていても、何ら事態は好転しません。
自分でアクションを起こすことでしか運命は好転しないからです。
人は誰もが自分を変える力を持っています。
つまり未来を変える力を持っていると言うことです。
オススメの本を紹介!
もしアドラーが上司だったら 小倉広
ダメダメ営業マンのリョウが、上司のドラさんが出す12の宿題を実行していく話です。
一つずつクリアしていくと、リョウの世界も広がり、仕事も楽しくなっていきます。
リョウの成長に笑ったり、共感しながら、職場の対人関係の悩みが晴れたりと、
自分でも使えるワザがたくさんつまっている、実用エンターテイメント小説です。
嫌われる勇気 岸見一郎 古賀文健
哲学者と青年の対話形式でアドラーの教えを伝えていきます。
著者は日本におけるアドラー心理学の第一人者で
アドラー著作も多数翻訳sいている岸見一郎氏と、ライターの古賀史健氏。
対人関係に悩み、人生に悩むすべての人に贈る本です。
アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本 熊野英一
子育てに積極的に関わるパパが増えた一方で、子どもに対する接し方で手を焼いたり、
家事・育児でイライラしている妻への接し方が分からなかったりと、
困っているパパも多いと思います。
そんなパパ達のためにのお助け本が、
「アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本」です。
アドラー心理学を利用して、具体的な解決方法と、パパが変わる勇気を授けてくれます。
アドラー心理学はシンプルな考え方が多いです。
変わろうと思えば、あなたもきっとできるはずです。
アルフレッド・アドラー人生に革命が起きる100の言葉 小倉広
アドラー心理学を名言集としてまとめ、
わかりやすく具体的な例と一緒に解説されている本です。
シリーズ20万部を突破しました。
本も厚いので、かなり読み応えがあります。
アルフレッド・アドラー一瞬で自分が変わる100の言葉 小倉広
「自分を変える」ことに絞った究極の自己啓発本です。
誰しもが持っているであろう「優劣コンプレックス・劣等コンプレックス」についての
アドラーの考えや「勇気」、「感情」について、
アドラーの力強く優しい言葉が多数記載されています。
「それでも人生は変えられる」とアドラーからのメッセージを受け取ってみませんか。
アドラー心理学 おわりに
いつの時代になっても、自分の人生や対人関係で悩む人は多いのではないでしょうか。
書店へ行っても自己啓発本や人間関係などの本が多く出版されているのは、
その悩みを抱えている人が多い証拠なのではないかと思います。
情報社会になり、いろいろな情報がすぐ入り、
物で溢れて人の心も複雑になっているのかもしれません。
アドラーは「人生はシンプルで、自分の解釈次第で行動が変わり、結果も変わる」
と言っています。
ぜひその理由をあなた自身で、アドラーの本を読んで、謎を紐解いてみてください。
アドラーの本は読みやすく書いてある本がたくさんあります。
当サイトでも別の記事「アドラー心理学の「勇気づけ」についてわかりやすくご紹介!」で特集していますので是非お読みいただければと思います(^^
ぜひ、アドラーの世界を満喫してみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。