新型コロナウイルスの感染拡大によって、
全国に緊急事態宣言が出されている現在、
既往症がある方や高齢者の方など重症化するリスクが高い人にとって
心配な日々が続いています。
また、少子化の我が国にとって国の宝といえる、
未来の子どもを妊娠している女性にとっても
新型コロナウイルスという未知の物への恐怖は計り知れないことでしょう。
そこで、妊娠中の新型コロナウイルス対策について
わかりやすくご紹介しますので参考にしてください。
妊娠中に新型コロナウイルスを感染したら?
妊娠中に新型コロナウイルスに感染した場合、
どのような症状や胎児への影響があるのでしょうか?
現時点では、妊娠後期に新型コロナウイルスに感染したとしても、
経過や重症度は妊娠していない方と変わらないとされています。
胎児のウイルス感染症例が海外で報告されていますが、
胎児の異常や死産、流産を起こしやすいという報告はありません。
したがって、妊娠中でも過度な心配はいらないと言われています。
しかしながら、一般的に、妊娠中に肺炎を起こした場合、
妊娠していない時に比べて重症化しやすいという意見もあります。
そのため、妊婦の方には重症化しやすい方と同じような対策が必要になります。
妊娠中の新型コロナウイルス対策は?
○日頃の感染予防
・うがい
・外出自粛
妊娠中の女性労働者が休みやすい環境の整備などについて、
各企業における取組が促進されるよう、経済団体や労働団体へ要請を行っています。
○症状が出た時
・風邪の症状や37.5度以上の発熱が2日以上続く場合
解熱剤を飲み続けなければならない方も同様です。
・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合
最寄りの保健所などに設置される「帰国者・接触者相談センター」にお問い合わせください。
妊娠中に新型コロナウイルス感染した実例は?
「大丈夫」といくら言われても、
オギャーっと元気な声を実際に耳にするまでは
安心できないというのが母の心理だと思います。
感染拡大している海外では、すでに妊娠している人の感染があります。
そこで、少しでも安心していただくために実例をご紹介します。
2020年2月12日にLancet(ランセット)という超有名医学雑誌に
新型コロナウイルスにかかった妊婦の経過が掲載されました。
今回のデータでは妊娠後期の9人の女性で全員出産をされています。
○新型コロナウイルスの経過およびお子さんへの影響
妊娠後期の女性が新型コロナウイルスにかかった場合に次のような症状が出現しました。
咳 4人
筋痛 3人
咽頭痛 2人
これは非妊婦と比べても特段変わりはありません。
また血液検査では下記の異常がありました。
・肝機能値異常 3人
ウイルスと戦うとリンパ球が減るので、
これも妊婦・非妊婦を問わずに生じる変化です。
○出産と新生児はどうだったでしょうか?
妊娠後期の新型コロナウイルス罹患は出産に関して概ね問題なく、
今回の9名は重症化および死亡は0でした。
しかも子からはコロナウイルスは非検出でした。
母から子への感染である垂直感染は
認められなかったということになりますね。
ただ妊娠初期や中期の安全性を保証するものではないので、
続報を待ちたいところです。
小さい規模の研究ではあるのですが、
これから出産を迎える妊娠後期の方にとっては
安心材料の一つになるかとは思います。
妊娠中に新型コロナウイルス感染した場合の心配なことは?
少ない例ですが、妊娠後期における母体と子どもの心配が少ないことがわかります。
厚生労働省からの回答でも妊娠だけが重症化や出産においてリスクではないと言われています。
とはいえ、リスクがないとは言えません。
というのも、妊娠の有無にかかわらず
今回の新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の開発や実用化がまだされていません。
そのため、現段階では新型インフルエンザに備えて備蓄をしているアビガンについて、
有効性や安全性を確認するための研究として、
患者の同意を前提に、医師によるアビガンの投与が始まっています。
まだまだ研究段階であるため、もちろん妊婦には使用できません。
重症な肺炎にならずとも、
風邪の症状(発熱・頭痛・倦怠感など)を耐えなければならないということです。
そうでなくとも妊娠初期はつわりで体調がすぐれない場合も多く、
精神的につらいと思います。
そのため、家族の支えや精神的な安定が必要となるでしょう。
妊娠中の新型コロナウイルス対策についてわかりやすくご紹介 おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介したように、妊娠による新型コロナウイルスへの
過度の心配や対策は必要ありません。
とはいえ、未来の日本を支える子を産む妊婦さんを支える周りの努力は必要です。
現在でも、品薄のマスクの妊婦さんへの無料配布などの配慮はありますが、
働く妊婦さんもいるのが現状です。
長くても10カ月で子どもは産まれます。
先の見えないウイルスとの戦いの中、
家族や同僚だけでなく周囲の人たちが、
少しでも配慮してあげるべきだということは間違いありません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。