あなたの職場でも新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染症の世界的な流行を受け、
大なり小なり安全を考慮した新しい働き方が推進されてきていると思います。
今回のようなウィルスによるパンデミックが起こった時にはもちろんですが、
台風や地震など災害発生時も、テレワークを導入することが出来ていれば、
事業継続が可能であることから、
テレワーク導入は企業の命運を握る要素になりつつあります。
今年2020年4月には、東京都内でテレワークを導入した企業は全体の63%に到達した
という調査結果を発表しました(東京都調べ)。
今後、テレワークを導入する企業はもっと増えてくるのは間違いありませんが、
あなたの企業はテレワークを導入しましたか?
この記事では、テレワークの今のレベルはどのくらいなのか、
まだテレワークを導入していない企業の理由について、
詳しく調べていきたいと思います。
テレワークの現在レベルはどのくらい?
各企業におけるテレワークはどのように進んでいるのでしょうか。
まずは、コロナの拡大に伴い、「働き方に変化があった」という
関東・関西圏の労働者は61%に及んでいます。
(週5日、1日7時間以上働いている人が対象)
「変化があった」と回答された人の中で、
- 「テレワーク」という働き方を取り入れた・・・47%
- 「毎日テレワーク」に移行した・・・17%
ということがわかっています。
- 「週に何日かテレワークをする」・・・22%
- 「仕事場での勤務の方が多い」・・・8%
このことからわかるように、多くの企業でテレワークを取り入れているものの、
「毎日テレワーク」に移行できた企業というのは全体のわずかです。
それでは、どうしてテレワークが浸透しにくい状況になっているのか
見ていきましょう。
テレワークが浸透しづらい理由とは?
ここからは、テレワークが浸透しにくい状況について、
詳しく調べていきたいと思います。
理由①:セキュリティの問題
テレワークでは、
- 従業員の自宅
- カフェ
- サテライトオフィス
などで仕事が行われると考えられます。
そのため、企業のオフィスではしっかりと管理されているセキュリティも、
オフィス以外の場所で社内システムを利用する場合には、大きなリスクを伴います。
よくカフェで明かに会社のパソコンをそのままにしてトイレに行く方がいますよね。
企業にとって、セキュリティが不安なまま業務を遂行することは
信用問題につながるため、テレワークの導入に慎重になると考えられます。
理由②:労務管理がしにくい
テレワークが浸透しにくい理由のひとつには、労務管理の問題もあげられています。
テレワークは、出社して業務を行う従来の働き方とは違い、その人が実際には
- 何時間働いているのか
- 休日をとっているのか
などが把握しにくい状態になります。
会社には
- 管理者に見られていなくても能動的に動ける人
- 誰も見ていないとひたすらやっているふりに注力する人
がいるため、後者の管理にまた大きな工数が必要となってしまいます。
また、仕事に対してどのような態度で取り組んでいるのかが把握できず、
昇進や給与などの評価制度を見直す必要も出てきます。
理由③:導入コストの問題
テレワークを導入するためには、情報の漏洩やウイルス感染などを防ぐため、
- セキュリティの強化
- 労働環境の整備
が必要となります。
それだけではなく、離れた場所にいる社員同士のコミュニケーションを円滑にするため、
テレワークに適したコミュニケーションツールの利用が必要となり、
様々な側面でコストがかかります。
資金的に余裕のある企業には問題のないことですが、
中小企業や資金的に余裕がない企業には、
すぐにテレワークを導入しづらい現実があります。
テレワークを導入することでの助成金については
別記事「」で特集していますので併せてご参照くださいね。
理由④:プライベートとの切り替えが難しい
テレワークにより通勤時のストレスが減り、従業員にとっては、
自宅で気軽に仕事ができる多くのメリットがあるように見えますが、
オフィスと自宅の行き来がないために、プライベートとの切り替えが難しい、
という難点もあります。
無駄な残業を防ぎ、労働時間の短縮を目指したとしても、
ついダラダラと仕事を続けてしまう可能性も考えられます。
その結果、必要以上に残業代が増加してしまったり、運動不足に長時間労働も加わり、
健康を損なう従業員が出てくる可能性もあります。
理由⑤:テレワークが難しい業種もある
テレワークは、すべての業種に適しているわけではありません。
- 工場での作業
- 保育や介護の現場
- 飲食業
- アパレル販売
など、実際の現場でないと働けない業種の方々はたくさんいらっしゃいます。
また、そのような方々が日々働いてくれているお陰で、
我々の生活は成り立っていますから、
サービス業や工場での業務は、社会において必要不可欠でしょう。
もちろん、それらの職種の方々にも
テレワークでの働き方を考えることはできると思いますが、
やはり100%テレワークに移行することは難しいでしょう。
テレワークの浸透のために必要なポイントは?
それでは、これからテレワークを浸透させていくためには、
どのようなポイントが必要なのでしょうか。
ポイント①:従業員同士のコミュニケーションを円滑にする
テレワークでは、通常の勤務よりも意識的にコミュニケーションをとれるよう、
制度やルール作りが必要になります。
WEB会議のための
- ツール
- ビジネスチャット
などを用意し、従業員同士が円滑にコミュニケーションをとることができるよう、
環境を整える必要があるでしょう。
また、テレワークの際には、対面で仕事をすることができないので、
業務上の悩みやトラブルなどを相談しにくい環境になります。
そのため、上司は部下の様子を細かくチェックしたり、
同僚同士での定期的なコミュニケーションが必要となります。
ポイント②:セキュリティを強化する
テレワークを導入する際、旧来型のセキュリティシステムのままだと、
遠隔での業務に支障をきたしたり、情報の漏洩などの恐れがあります。
また、それだけではなく、遠隔での業務がスムーズにいかないことで、
生産性を下げる恐れもあります。
そのため、各企業の情報システム担当者は、
- 自社の環境
- テレワークの環境
の双方に配慮し、セキュリティ性の高いシステム構成を選び、
社員一人一人へセキュリティ教育をしていく必要があるでしょう。
ポイント③:導入の目的を明確にする
なんといっても大切なのが、テレワークを導入するにあたっての、
“目標の明確化”です。
企業や業態によって、テレワークを導入する目的はそれぞれに違います。
テレワークを導入することで目指したいのは、
- 生産性の向上なのか?
- ワーク・ライフ・バランスの確保なのか?
- コスト削減なのか?
- 事業継続計画対策なのか?
それぞれの企業・業種によって、テレワークの導入目的は違いますので、
まず「何のために導入するのか?」という点を明確にしましょう。
そのことによって、今後テレワークによって生じる問題や課題に、対応しやすくなります。
あなたの企業のテレワーク導入した?今のレベルはどれくらい?おわりに
コロナの世界的流行を終息が見えず、各国で急速にテレワークが普及しています。
多くの企業がテレワークを導入するだけでなく、
時差出勤などの制度を平時でも導入できるようになれば、
安全な「新しい働き方」への第一歩となるのではないでしょうか。
テレワークは導入に課題もありますが、
- 生産性の向上
- 従業員のモチベーションアップ
など、企業にとっても従業員にとっても、
多くのメリットをもたらしてくれる働き方です。
各国がパンデミックにより疲弊している中でも経済を回し、
社会を維持しなければならないジレンマを抱えていますが、
大きな視点では命が第一です。
この機会にテレワーク導入の障壁を整理し、本当に必要な課題に絞ってクリアして、
1人1人がワーク・ライフ・バランスを確保しながら
安全で充実した日々を送れる社会になっていけばよいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。