「AR(Augmented Reality)とは何か?」
この質問をしたとき、どのくらいの人がARについてすらすらと答えられるでしょうか。
「AR」という単語では、まったく検討がつかないと答える人が多いかもしれません。
では質問を代えて、
「『ポケモンGO』や『ドラゴンクエストウォーク』ってどんなゲーム?」
と聞けば、
「公園や道路にCGのポケモンが出てくるゲーム」
「自分が歩けばゲーム内の主人公も連動して動く冒険ゲーム」
と、詳しく答えられる人がぐっと増えることでしょう。
実は、世界的に人気のあるこれらのゲームには、ARの代表的な技術がふんだんに詰まっているのです。
単語の意味はわからなくても、意外なほど私たちの身近に存在していた「AR」。
ARとはいったい何なのか、VRとの違いやメリット・デメリットはあるのかなど、
知っているようで知らない「ARの世界」をわかりやすくまとめました。
ARとはどんな技術?わかりやすく解説
ARとは、スマートフォンなどのカメラに映し出される映像を通じて、現実の世界にデジタル映像を投影する技術です。
「拡張現実」と呼ばれるもので、わかりやすく言えば
「目の前に広がる現実の世界に、デジタルで作成した情報を重ね合わせる技術」
になります。
もともと現実にないものをつくり出して、それが実際の世界で存在するかのように
「錯覚させる技術」
と言うとわかりやすいかもしれません。
現実と仮想のコラボレーションによって新たな世界が見えるARですが、
その技術を使っていったいどのようなことができるのでしょうか。例を挙げてみましょう。
ARを使ってできることとは?ゲーム以外の分野でも活用
『ポケモンGO』や『ドラゴンクエストウォーク』のように、
ARを使って楽しく遊べるゲームは世界中で人気となっていますが、
その他の分野でも、さまざまなシチュエーションでAR技術が活用されています。
商品のプロモーションにAR技術
販促用のパンフレットにAR映像を使用する企業が近年増加しているようです。
アピールしたいところに重点的にAR技術を用いることで、商品スペックがより伝わりやすくなるからでしょう。
たとえば営業先にタブレットを持って訪問。
ARの特徴である「リアルな映像」を活用すれば、まるで販促したい商品が目の前に存在するような感覚になります。
一般的なパンフレットと比べても、その表現力は高く、購買意欲が高まる可能性があるでしょう。
メンテナンス業務や倉庫などの在庫管理にもAR技術
企業の現場にAR技術を導入すれば、働き手の負担を軽くすることが可能になります。
たとえば在庫管理が難しかった広い現場でも、タブレットのようなものをかざすだけで、どこに何があるのかをすぐに確認。
もちろん、機械の操作方法や管理システムなども、あらかじめCGを制作しておけば、タブレットをかざすだけで映像によってノウハウを把握することができます。
これまで熟練の技術者でしか進まなかった業務や、技術の伝達にも一役買うシステムとなるでしょう。
アプリを使ったメイクやコスメ体験にもAR技術
ネットショッピングで美容コスメなどを購入するとき、ネックだったのは「色味」ではないでしょうか。
店頭に足を運ぶことなく口紅やアイシャドー、ファンデーションなどを買うには、
自分の顔になじむ「色」を選ぶことが重要でした。
しかし、ARの技術を使うことで、メイクのバーチャル体験が可能になります。
スマーフォンなどのアプリを起動させ、試したい色味の商品を自分の顔の上に重ねるAR技術を使えば、
安心して商品を購入することができますね。
すでに人気となっているこの技術は、写真加工アプリなどでも活用されています。
さまざまな分野で使われるAR。話題のVRとの違いは?
ARとは、スマートフォンやタブレットなどを通して、現実世界にCGなどデジタル映像を反映させる技術だということがわかりました。
それでは、最近話題の「VR(Virtual Reality)」との違いはどこにあるのでしょうか?
VRとは仮想現実の世界のことで、専用のゴーグルを顔に装着して視界を覆い、その中でデジタル映像を楽しめる技術です。
ゴーグルの中に新たな仮想の世界をつくり出し、その世界の中に自分が入っているような感覚を覚えます。
VRが、目の前に箱庭のような空間をつくり出すのに比べ、
ARは、もともとある現実の世界の中に新たなデジタル制作物を合成するようなイメージです。
ARとは、あくまで現実世界がベースとなり、実際の風景に現実感のある仮想空間を組み合わせる技術だといえるでしょう。
さまざまな分野で期待できるARの技術。
ゲームだけでなく、ビジネスや暮らしの面でも、活用するメリットが見て取れました。
では、ARのデメリットは存在するのでしょうか。次の項目でわかりやすく解説します。
AR、メリット以外にデメリットはあるの?わかりやすく解説
考えられるデメリットとしては、まずスマートフォンやタブレットなどが必須となることでしょう。
現実の世界に映像を重ね合わせるため、それを映し出す機械が必要となります。
AR技術を使用したアプリのダウンロードを必要に応じて済ませておくことも大切です。
また、現実世界を把握するための「位置情報」も条件の一つでしょう。
正確な位置情報が必要になるため、屋内では使いづらい場合があるかもしれません。
もちろん、そのためにもインターネット回線の準備が必要になります。
ARのデメリットは、このような「前もっての準備が必要なこと」でしょう。
ARで使用する「ARグラス」「スマートグラス」とは?おすすめのグラスも紹介
ARを使う準備ができたら「ARグラス」や「スマートグラス」を試してみるのもおすすめです。
ARグラス、スマートグラスとは、どちらもメガネのような形状をした、顔に装着するタイプのグラスで、タブレットなどを通さずダイレクトに情報を得ることができるディスプレイのこと。
グラスをかければ手ぶらになるので、作業をしながらでも自由にARを楽しむことができます。
ARグラス、スマートグラスの大きな違いといえば「現実空間を認識する機能が備わっている」か「備わっていないか」です。
ARグラスは現実空間を認識する機能がついており、目の前の壁や床などからカメラやセンサーを使って空間を認識し、
デジタル情報を重ねて表示できます。
一方、スマートグラスは現実空間を認識する機能は備わっておらず、視界に一定の情報を出すものがほとんどです。
その分スタイリッシュなデザインのものが多く、比較的安価となっています。
機能面がまったく異なるため、グラスを選ぶ際は注意が必要です。用途に合わせて、必要とするタイプのものを選びましょう。
おすすめのグラスは、やはり「装着したときに違和感が少ないもの」ですが
「視野の広さ」や「視界が不自然でないもの」「バッテリー動作時間が十分あるもの」なども注目したいポイントです。
「高速な処理能力」や「ディスプレイの解像度」「メモリの容量」などもチェックして購入しましょう。
ARとは?メリットやデメリットをわかりやすく、おすすめグラスも おわりに
ARとは何か、またその技術や活用できる分野について、いかがでしたでしょうか。
近未来を舞台にしたSF映画などで、現実世界にデジタル情報を重ねて表示するようなシーンがありますね。
あの世界観こそ「AR」で、すでにもう現実のものとなっています。
さらに技術が発達し、私たちの日常生活にかかせないシステムとして、ARグラスを1人1台持つような時代が、そう遠くなく訪れるかもしれません。
今後さらに発展していくであろう「ARの世界」に注目が集まります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。