突然ですがあなたは『吉野山』へ訪れたことがありますか?
ない?
というか知らない?
『吉野山』は世界屈指の規模で桜が楽しめる
日本人であれば一度は訪れておきたい名所です。
その昔、豊臣秀吉が総勢5000人もの家来を引き連れて、
豪華な花見宴を催した、そんなエピソードが語り継がれているほど、
吉野山の桜は昔から多くの人々に愛されてきました。
また、源平の時代には源義経と静、南北朝時代には後醍醐天皇など、
歴史上の様々な場面で吉野山は登場し、
これらにまつわる神社仏閣や史跡は今なお点在しています。
明治の廃仏毀釈(※)や第二次世界大戦等により一時は
衰退しかけた吉野山の桜ですが、関係者の努力により、
現在では日本一の桜の名所と称され、
2004年には『紀伊山地の霊場と参詣道』として
ユネスコ世界遺産にも登録されています。
今回は吉野山の桜、紫陽花、紅葉の情報や、アクセス情報について、ご紹介していきます。
(※)廃仏毀釈 はいぶつきしゃく
寺院、仏像、経巻といった仏教に関わるものを破棄し、寺院が受けていた特権を廃する一連の動きのこと
吉野山の桜を楽しもう!
先述のとおり吉野山の桜は『日本一』と名高く、
シロヤマザクラを中心に約200種3万本という、
世界でも類を見ない規模の桜が咲き誇ります。
また、古来桜が多く、1300年以上もの昔から『ご神木』として崇拝され、
手厚く保護されてきた信仰の歴史を持っています。
シロヤマザクラは
- 下千本(しもせんぼん)
- 中千本(なかせんぼん)
- 上千本(かみせんぼん)
- 奥千本(おくせんぼん)
の4箇所に密集しており
その桜の大パノラマは、『一目に千本見える豪華さ』という意味で
『千本桜』『一目千本』とも形容されます。
毎年4月の上旬から下旬に向かうに従って、
下→中→上→奥千本の順に、山の麓から頂にかけて開花してゆくため、
長く見頃が楽しめるのも特徴です。
夜桜のライトアップも行われているので、昼間とはまた違った幻想的な桜を堪能できますよ。
吉野山の紫陽花を楽しもう!
これまで桜で推してきた吉野山ですが、
実は初夏の紫陽花も見逃せない魅力があることをご存知でしょうか。
近鉄吉野駅と吉野山を結ぶ『七曲り』という登山道沿いは、
なんと約4000株もの紫陽花が咲く吉野山の知られざる紫陽花スポットです。
例年、見頃となる6月下旬から7月中旬には『あじさいまつり』が開催され、
期間中の夜はライトアップ(19時~22時)も行われ、幻想的な景色を楽しめます。
春には一面に広がる桜が散って、夏には緑一色となり、
爽やかな青もみじとともに紫陽花が吉野山を彩ります。
桜で吉野山のファンになったあなた、
次は紫陽花をまとって一味違った吉野山の表情を楽しんでみてはいかがでしょうか。
吉野山の紅葉を楽しもう!
春には3万本ある桜の木が満開となる吉野山ですが、
秋になるとその葉が見事に紅葉し、山全体が赤、黄、橙色に彩られます。
例年10月中旬くらいから見頃を迎える桜モミジの紅葉と、
それを追いかけるように11月上旬に見頃を迎えるカエデモミジが楽しめます。
また、紅葉期間中は朱色に染まった山を照らすライトアップイベントもあり、
紅葉姿の山々が闇夜に浮かび上がる光景は、まるで炎のような美しさです。
標高差があるため、春とは逆に頂から麓へと徐々に色づいていく様子も観察できます。
ちなみに、吉野山の有名な桜が奈良県内の人気ランキングで2位だったのに対し、
紅葉は堂々の1位を獲得!
誰もが認める太鼓判が押された必見スポットと言えるでしょう。
街中からでも紅葉は見れますが、
標高約600mから望む吉野山の全景は荘厳にして圧巻ですので、オススメです。
関西の紅葉については別ページでも特集しています。ぜひ、ご覧くださいませ。
関西の紅葉を観て癒される!2018年のおすすめスポット14選!
吉野山へのアクセス
吉野山へのアクセスは、以下のとおりです。
☆電車の場合
近鉄 吉野駅から徒歩約3分
☆お車の場合
南阪奈道路 葛城I.C.から約45分
名阪国道 針I.C.から約60分
駐車場は200台分の有料駐車場があり、1500円となります。
桜の時期には交通規制もあるため、お出かけの際には公式ホームページをご確認くださいね。
吉野山で桜や紫陽花、紅葉を楽しもう! おわりに
今回は吉野山の桜、紫陽花、紅葉の情報や、アクセス情報をご紹介してきましたが、
いかがでしたでしょうか?
ちなみに、吉野山に限らず、桜の名所は日本全国に多く存在しています。
では、吉野山と他の名所とでどのような違いがあるのでしょう。
桜の名所と言われる多くの場所は近代になってから桜並木を整備したり、
古くからの古木を大切に保護したりと、
いわゆる『花見』のために桜を植栽・管理しています。
一方、吉野山の桜は山岳宗教と密接に結びついた『信仰の桜』として
現在まで大切に保護されてきました。
はるか昔には『神仙の住む理想郷』として認識され、
『御神木の献木』という行為により多くの桜が植え続けられてきた
吉野山だからこその景色だと納得できますね。
そして、その桜が秋には紅葉という形でまた別の景観を生み、
夏にはそんな桜の木々の間に咲く紫陽花を楽しむことができます。
長年かけて日本人の歴史と大自然が融和したパワースポットと言えるでしょう。
是非あなたも、季節ごとに違った表情を楽しめる吉野山に
足を運んでみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
文:星野貴史