いまだ収まる気配のない新型コロナウイルス(以下、コロナ)。
デルタ株からオミクロン株へ変異して落ち着いてきたとはいえ、
もしかしたら自分も感染しているかもしれない。
まだまだ多くの方が何となく不安な日々をお過ごしの方でしょう。
そして今、無症状の方でも自費でPCR検査が受けられる病院が増えてきました。
「そもそも検査をしても偽陰性があるんでしょ?」
「どこまで信頼できるの?精度はどれくらい?」
「PCR検査って時間もかかるし、鼻がすごく痛いって聞くから嫌だな」
などと色々と気になることがありますよね。
PCR検査は連日ニュースでも取り上げられていましたが、
今回取り上げるのは唾液を検体とする「唾液PCR検査」です。
唾液PCR検査の誕生
唾液PCRは2020年6月19日、新しい検体採取方法として承認されました。
なんといっても従来のPCR検査にはなかった「鼻が痛くない」という強いメリットがあります。
これはもう今後の感染者の把握に大きな期待を寄せられますよね。
しかし、今は別の方法で検体を採取できるのじゃ。それが『唾液PCR』じゃ
唾液PCRとは?
それでは、唾液PCRについてお話ししましょう。
まず、その名の通り唾液を検体としたPCR検査です。
そして、PCR法(Polymerase Chain Reactio)とは、遺伝子を増幅させて、ウイルスの遺伝子を増殖して検出する方法のことを言います。
流れとしてはまず一本のDNAをもとに、DNAを複製します。
次に、複製された2本のDNAをそれぞれ複製します。
これを繰り返すことで、2本が4本、4本が8本と倍々にDNAが増幅されます。
こうして患者さんの検体に含まれるウイルスの遺伝子量をPCR法で検出できる量に増幅することで、少ないウイルス量でも測定できるようにしているのです。
リアルタイムPCR法の誕生
さらに現在はただのPCR法ではなく「リアルタイムPCR法」という方法が採用されています。
リアルタイムPCR法では、PCR法でウイルスの遺伝子を増やす際、DNAを増やしながら「蛍光試薬」という光る試薬を取り込ませます。
その際に、もし遺伝子が増えれば光が強くなるので、この光の強さでウイルスの遺伝子を検出できるのです。
ウイルスに感染していなければ、ウイルスの遺伝子も存在しないので、遺伝子は増えず光も強くなりません。
唾液PCR検査のおさらい
リアルタイムPCR法は、これまでの検査途中で経過を見ることができないPCRよりも10倍から100倍に検出感度が高い、つまり少ないウイルス量でも測ることができる。迅速で、精度の高い検査が可能となるのじゃ
だが、鼻咽頭ぬぐい液を採取しようとすると、くしゃみのしぶきを浴びるリスクがあり、しぶきを防ぐための防護服の準備など負担も大きかった。
しかし今、唾液からも検体を採取することができると明らかになった。採取方法は容器につばを出すだけじゃ。
この唾液を使ったPCR検査のことを『唾液PCR検査』と呼ぶ
唾液PCRが認定された経緯は?
2020年6月2日、厚生労働省はコロナの感染を調べるために、唾液を検体としてPCR検査を行うことを可能とする通知を出しました。
発熱などの症状を発症してから9日以内の有症状者を対象として、唾液PCR検査を承認し、保険適用したのです。
さらに2020年7月17日、厚生労働省はコロナの診断に用いるPCR検査、抗原定量検査において、唾液検体を用いた検査の対象を無症状者(空港検疫の対象者、濃厚接触者など)にも拡大する方針を示しました。
これまで唾液PCR検査と唾液抗原定量検査は、発症9日以内の有症状者が対象となっていましたが無症状者にも適応されることになったのです。
唾液PCR検査の流れは?
ところで、唾液PCR検査は具体的にはどのように行うのでしょう。
それによると、唾液検体を採取するときは、滅菌容器に1~2ml程度の唾液を患者に自己採取させるとしており、唾液1~2mlの採取に要する時間の目安は5~10分としている。
検体採取を行う医療従事者は、サージカルマスクと手袋を装着する。鼻咽頭ぬぐい液を採取するよりも医療従事者の感染リスクが低くなる。
それによって厳重な感染防御を行わなくてもよいことから、感染防護具や人材を確保する負担が軽減できることが期待されておるのじゃ
唾液PCR検査はどこでできるの?
では、唾液PCR検査はどこでできるのでしょうか?
厚生労働省によると、唾液を用いたPCR検査のみを実施する医療機関の条件は以下4つの通り。
・帰国者・接触者外来および帰国者・接触者外来と同様の機能を有する医療機関として都道府県等が認めた医療機関であること
・コロナ陽性を疑われる患者とそれ以外の患者が接触しないよう、可能な限り動線が分けられていること(少なくとも診察室は分けられている)
・必要な検査体制が確保されていること
・適切な感染対策(標準予防策に加え飛沫予防策・接触予防策を実施、唾液検体を回収する際にサージカルマスク・手袋を着用)が講じられていること
これら全ての条件を満たした医療機関でのみ唾液PCR検査を実施できるとされています。
唾液PCR検査ができる病院はどう調べる?
無症状だけれど調べてみたいと思う人は自分で調べて問い合わせをすればいい
症状がある人はどこへ行けばいいのか?
まず、症状がある人は各都道府県にある感染症指定医療機関や地域のPCRセンターに問い合わせをしてみよう。
ちなみに患者が検査を受けるまでの流れは施設によって変わる。
感染症指定医療機関の場合はその病院を受診した患者さんに対して医師が必要と判断すればPCR検査を行う。
地域のPCRセンターの場合は地域のクリニックなど医療機関からの紹介患者さんの検査を行う。PCRセンターへ直接行っても検査を受けることは出来ない。
そもそも場所が非公表で、検査を受ける方にのみ知らされる
症状が重い場合は感染受診相談(帰国者・接触者窓口)に連絡だ。各自治体が設置していて電話にて問診してくれるぞ。
その後、新型コロナ外来を受診して必要があればPCR検査の流れとなるんじゃ
唾液PCR検査、精度はどれくらい?
では、唾液PCR検査の精度はどの程度なのでしょう。
以前は唾液に含まれるウイルス量は鼻咽頭ぬぐい液よりも少ないとみられ、唾液PCR検査の精度は低いとの指摘もありました。
しかし厚労省研究班がコロナ感染者約90人から採取した唾液を使っての精度を従来の方法と比べると、
発症から9日以内なら判定結果がほぼ一致したのです。
唾液PCR検査はいつ受けるのがよいの?
そのため、唾液の方がウイルス量が少ないということは、鼻咽頭ぬぐい液を用いてPCR検査を行えば陽性と判定される人も、唾液を用いれば陰性と判定されることがあり得るのだ。
これが唾液をPCR検査の検体に用いる最大の欠点と言える
そのため、唾液を用いる際は『発症9日目以内』に限定し保険適用とされたようだ。
メリットも大きい唾液PCR検査だが、鼻咽頭ぬぐい液を用いた場合と比べると検出率が低下する可能性もある。
唾液PCR検査にかかる時間はどれくらい?
ところで唾液PCR検査の所要時間はどれくらいなのでしょうか?
一般的に鼻咽頭ぬぐい液を採取するよりは時間がかからないとされております。
国立感染症研究所は『新型コロナウイルス感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル』および「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理』によると、
唾液1~2mlの採取に要する時間の目安は5~10分
とされているので、採取自体にかかる時間は短いようです。
島津製作所の新型コロナウイルス検出試薬キットの躍進
しかし、最近は通常の約3分の1である40分程度で結果が出るFastタイプのリアルタイムPCRシステムが開発された
唾液PCR検査とは?どこでできるの?精度やかかる時間はどれくらい? おわりに
いかがでしたでしょうか。
唾液PCRは医療従事者の方々にも我々患者側にも負担が少なく、検査効率をあげられるうえ、現在は多くの病院で自費で受け付けています。
ただ、症状のある方はタイミングを間違えると偽陰性になってしまう可能性があり、陽性の人が偽陰性と診断されて安心して街で飲み歩き、また感染を広げてしまうこともあります。
検査時点で感染していなかったとしても、永久に感染していないわけではありませんので、引き続き注意が必要です。
もしあなたがコロナに感染していた場合は、接触確認アプリ【COCOA】へ登録することを忘れないようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。