あなたは2016年に起こった神奈川県相模原の知的障がい者施設で
入居者らが刃物で刺され19人が死亡、27人が重軽傷を負った事件を
ご存知でしょうか。
この際、犯人は施設の元職員で患っていたとされる「自己愛性人格障害」が
話題になりました。
自己愛は誰もが持つ、生きていくのに必要な要素ですが、
度を越えた自己愛はトラブルを生んでしまう傾向があります。
やっかいなのは人それぞれ、どれくらいの量の自己愛を持っており、
コントロールができているのか可視化して見えないことではないでしょうか。
今回は、自己愛性人格障害とは何か、多いとされている顔つきや特徴、
見分け方をわかりやすくご説明していきますね。
自己愛性人格障害とは?
自己愛性人格障害とは、「自分自身を愛する」という
生きる上で必要な行為があまりに肥大化し、
- 自分は周りより重要な人間だ
- 周りには自分を理解できないから自分はくすぶっている
などといった妄想的な誇大感を持つようになります。
これは年齢に関係なく、大人や老人でも当てはまります。
身近な言葉でいえば
「ナルシスト」
でしょうか。
でも「ナルシスト」と聞くと常に鏡を見ていて、
自分に酔った人を思い浮かべてしまいますが、
本来の意味は、「自分自身を愛する」だけではなく悲しい理由があります。
そう、その裏には
「ありのままの自分を愛することができない」悲壮感があるのです。
自己愛性人格障害の人の顔つきは?
自己愛性人格障害を患う人々は、顔つきなどの外見にも共通性が多く、
特に目に特徴があるとされています。
常に自分が不機嫌な原因があたかも周りにあるかのような不機嫌な眼光で、
男なら爬虫類、女なら般若のような顔をしていると言われています。
ただ、当然ですが、自己愛性人格障害でなく、それに近い顔つきの方も
いますので、安易に断定しないよう注意しなければいけません。
自己愛性人格障害の人の特徴は?
自己愛性人格障害の人には本人たちに自覚がないものの特徴があります。
そして、一般の人は彼らの特徴を抑えておくことで、
「あ、この人変だな」と検知したら一定の距離をとることができますので、
覚えておいて損はないでしょう。
それでは一つずつ見ていきましょう。
自分への過大評価
誰もが少なからず自己愛は持っているのが普通なのですが、
自己愛性人格障害の人にとって自分の重要性は非常に大きなもので、
彼らは常に以下のような誇大妄想が頭にあります。
- 常に限りない成功(例:自分は将来的に何10億円を稼いでガッキーと結婚する!・・という妄想)
- 権力(自分は将来的に有名店のオーナーになってジェフベゾスと会談する!・・という妄想)
- 才能(自分は本気を出せば大抵のことはできる!・・という妄想)
もちろん、行動はしないことがほとんどです。
そのため、自分は自分に見合った権力者や有名女優などにしか理解されないと思い込んでしまっており、
自分だけに特別な計らいや特権があると信じきっていて、
些末な事も誇大妄想に繋げていきます。
(あ、今あの子は俺の事みてたから俺に気があるな・・などのレベルは日常茶飯事です)
自分自身の目的の達成の為なら他人を利用するのは当たり前
自己愛性人格障害の人は他人に対する共感ができず、
嫉妬心が強い特徴があります。
そのため、自分より「下」と感じた相手には尊大で横柄な態度や行動を
とります。
お店の店員さんや取引先の立場が弱い人に偉そうにする人などが該当すると言えるでしょう。
自分の状態に気付いていない
自己愛性人格障害の人は、
その自分中心にしか物事を見られない客観性の無さ、視野の狭さ、思いやる想像力の無い気質から、
言動不一致、生きにくさに自覚はなく、
万が一気が付いても目を逸らし、妄想の世界に浸って、決して認めたり、反省はしません。
そのため、その自己愛性人格障害によって引き起こされた、
何かしらの二次障害の発端を遡ることで自覚することが多い傾向があります。
自己愛性人格障害の二次障害とは?
二次障害とは、例えば以下のような症状を指します。
- 不安障害
- うつ
- パニック障害
- 摂食障害
- 不眠症
- 心身症
- 自傷行為
これらの症状が出てくることで、医療機関を受診し、原因を探っていくと
やっぱり自己愛性人格障害があった、ということが多々あるようです。
自己愛性人格障害の人が生まれる原因は?
自己愛性人格障害の原因は生まれつきの先天性の他に、
以下のような幼少時代の経験からくる後天性な要素もあるといわれています。
- 親が必要以上に過保護
- 親が愛情を与えないネグレクト
なぜなら、子どもは、自分の価値を認識していく過程に親の眼差しを感じているからです。
親から愛情をたっぷり貰うことで、自己形成はしっかりしていき、
心豊かな人間関係の土台が作られます。
しかし、育ての親の不在やネグレクト(虐待、過干渉)のもとで育った人は、
自分が素晴らしい存在であるということを確信できなかったり、
甘やかされ過ぎて、自己愛が歪んだ形であらわれ、心身を病む原因となります。
自己愛性人格障害の治療法は?
人格とは、生まれ育った環境や長年の積み重ねによって
形成されているものなので、変えることは大変困難です。
例えば、社会生活にうまく適応出来ないと悩んでいるなら、
それを改善するために、薬物療法や精神療法に取り組む意味があります。
でも、自己愛性人格障害のように自覚がなく、不自由を感じていないのであれば、
自ら治療を受けることはまずないでしょう。
こういう場合は、周りが振り回されることが多いのです。
治療は、主に薬物療法とカウンセリングになります。
気分の浮き沈みを調整し、ストレスによるダメージなどを和らげるように
対処していきます。
薬や治療で治るほど生易しいものではないため、自分自身が能動的に症状をコントロールすることが大切です。
自己愛性人格障害とは?顔つきや特徴をわかりやすくご説明 おわりに
いかがでしたでしょうか。
あなたも著者も、誰もが多かれ少なかれ自己愛を持っていますよね。
しかし、大人になるにつれ、自己愛を「これは自分目線の主観なんだな」と認識し、
「周りから見たらどうだろうという客観」で自身を律する視点も兼ね備えていきます。
小学生であれば自己愛性人格障害で「俺が、俺が」となっても、まだ可愛げがあります。
でも、そのまま大人になってしまうと
「自分さえ良ければ周りはどうでもよい」凶暴な人になります。
最後に自己愛性人格障害の特徴をおさえて検知しよう
具体的な例を挙げて見ましょう。
例えば、自己愛性人格障害の人が朝の仕事で自分がミスしたとします。
それをチームのみんなが休憩をとらずカバーしてくれている状況下でも
「周りが自分のために動くのは当然で、自分だけは特別で、休憩する権利があるから。」
と、平気で自分だけは休憩し、自分ファーストの行動をとり続けます。
さらに、謝れない人(※)が非常に多いのも特徴です。
もちろん、表面上は謝ってもうわべだけで以降の行動もほとんど変わりません。
(※)謝れないのは自己愛性人格障害とは少し異なる面もあり、別記事で「謝れない人の心理は?発達障害?実は直したい?わかりやすくご説明!」特集していますので併せてお読みいただければと思います。
自己愛性人格障害の人の末路は?
そんな自己愛性人格障害の人がエスカレートしてしまうと、
相模原の事件の犯人のように殺害理由を
「障害者は生きていても仕方がないから。」
などと、妄想の中で正当化し、本当に実行してしまうようなモンスターになります。
なぜなら、彼ら自己愛性人格障害の人は妄想世界に住んでおり、
そこでは「正しいこと」なのですから。
当然、悪いことをしている自覚は一切なく反省もできません。成長もしません。
このような自己愛性人格障害の人たちの末路は別記事「自己愛性人格障害の末路や関わる人の対応の仕方、逃げ方をご紹介」で特集しておりますので、もし興味があればこちらも併せてお読みいただければと思います。
また、自己愛性人格障害の人は「自分は正しい」気持ちが強いため、
孤立していても目を逸らして本人は気持ちよく生活しているケースも多く、
周りからは
- 「とっつきにくい人」
- 「ちょっと怖い変な人」
として、扱われている場合が多いのも特徴です。
症状は人それぞれであり、ただ無自覚にナルシストで大口をたたくだけの人もいます。
なぜいつの時代も自己愛性人格障害の人は生き残っているのか?
人の好みは千差万別で、自己愛性人格障害のような
自分に異様に自信をもって疑わない人に対して、
何でも言うことを聞いてしまう、むしろ命令されて自分の存在価値を確かめようとする
相性の良い人もいるのです。
具体的には、依存症(メンヘラ気質)な人です。
多くの場合、最後は大げんかして分かれるか、
結婚してしまったとしたら離婚、最悪、事件になったりと、良いことはない傾向があります。
こちらは具体的に「自己愛性人格障害は嘘つきの恋愛依存症?被害者の会についてもご紹介」で特集しておりますので、ご参考にしてください。
自己愛性人格障害の人への対策は?
一定の距離をとっておきましょう。
自らの人生を大切に生きるためにも、
あなたの人生を雑に扱ってくる自分ファーストな人には、
刺激しないよう距離を置いて、何かあれば即離れることで
あなたや、あなたの周りも守れるようにしましょう。
「自分は自己愛性人格障害なのかな?」と思ったあなた。
当サイトでは別記事で「あなたが自己愛性人格障害か診断するには?チェックリストをご紹介!」でも特集していますので、併せてチェックしてみてはいかがでしょうか。
たった一度しかない人生、関わった人達を思いやる気持ちを忘れないようにしていきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。