あなたは、「法定相続人」って言葉をご存知でしょうか。
誰もが人生で一度は耳にするこの言葉。
あらかじめ知っておくことで、身近な人が亡くなった混乱時に起こる
「誰が財産を受け継ぐか」
という状況下でも落ち着いて行動できるでしょう。
今回は、いずれあなたも必ず遭遇する「法定相続人」について、
その意味や分割割合、何親等まで相続可能か、詳しく見ていきましょう。
「法定相続人」とは?
「法定相続人」とは、民法で定められた被相続人(財産を遺して亡くなった人)の
財産を相続できる(受け継げる)人のことです。
ただし、遺言書があれば、相続できる人は法定相続人に限られません。
遺言書がない場合は、基本的に法定相続人同士で遺産分割について話し合い、
どのように相続するかを決めることになります。
法定相続人になる人は、「被相続人の配偶者」と「被相続人の血族」です。
血族相続人には、下記のように相続順位が定められています。
・第1順位:「子ども、代襲相続人」
・第2順位:「親、祖父母」
・第3順位:「兄弟姉妹、代襲相続人」
■「誰が遺産を受け取れるのか」は民法で決まる
「人が亡くなると、親族内の誰かが遺産を受け取れる」ことはよく
知られていますよね。
でも「誰が遺産を受け取れるのか」について、正確に理解している人は
少ないようです。
実は、遺産を引き継ぐ割合などのルールは明確に決まっています。
このため、遺産の分け方について話し合う「遺産分割協議」も、民法の
ルールに沿って行われます。
つまり、民法のルールを理解すれば、どのような場合に、誰が遺産を
引き継げるのかを知ることができるのです。
■「配偶者」
被相続人の配偶者は、“常に”法定相続人となります。
この場合の「配偶者」とは、法律上婚姻していると認められる配偶者で、
元配偶者や事実婚の場合は認められません。
そう、「婚姻届なんて紙切れだろ?」と事実婚をしているあなた、
パートナーが亡くなった際は一銭ももらえないのです。
■第1順位 「子ども、代襲相続人」
法定相続人の第1順位は、被相続人の子どもと、その代襲相続人です。
元配偶者との間に子どもがいた場合は、その子どもも、第1順位の
法定相続人となります。
被相続人の子どもが、すでに亡くなっており、孫や、ひ孫がいる場合は、
その子どもに代わる「代襲相続人」となります。
「代襲相続人」については、最後に詳しく解説します。
また、胎児がいる場合は、すでに生まれている子どもと同様に法定相続人
となります。
■第2順位 「親、祖父母」
法定相続人の第2順位は、被相続人の親と祖父母です。
第1順位である、子どもがいない場合は、第2順位の父母が
法定相続人となります。
また、被相続人が亡くなる前に父母がすでに亡くなっており、
祖父母が存命の場合は、祖父母が法定相続人となります。
■第3順位 「兄弟姉妹、代襲相続人」
法定相続人の第3順位は、被相続人の兄弟姉妹と、代襲相続人です。
第1順位と第2順位がいない場合は、第3順位が法定相続人となります。
■「代襲相続人」
被相続人が亡くなる前に兄弟姉妹が亡くなっており、その子ども(甥・姪)
がいる場合は、甥・姪が法定相続人となります。
法定相続人である子が死亡している場合は、代わりに孫や、ひ孫が法定相続人
となります。
これを「代襲(だいしゅう)相続人」といいます。
孫が死亡している場合はひ孫が、
兄弟姉妹が死亡している場合は甥や姪が、それぞれ代襲相続することができます。
ただし、甥や姪が死亡している場合は、その甥や姪の子どもには代襲相続はできません。
「法定相続人」の分割割合は?
■「法定相続割合」
法定相続人が相続できる、遺産の分割割合についても民法で示されています。
これが「法定相続割合」です。
それでは法定相続割合について、具体的に見てきましょう。
■「配偶者」と「子ども」
資産が1億円あったとしたら、配偶者に1/2の5,000万円、
子どもに1/2の5,000万円が法定相続分となります。
子どもが2人いるならば、1人あたり1/4の2,500万円が法定相続分
です。
■「配偶者」と「親」
資産が3,000万円あったとしたら、配偶者に2/3の2,000万円、
親に1/3の1,000万円が法定相続分となります。
両親であれば、1人あたり1/6の500万円が法定相続分です。
■「配偶者」と「兄弟姉妹」
資産が4,000万円あったとしたら、配偶者に3/4の3,000万円、
兄弟姉妹に1/4の1,000万円が法定相続分となります。
兄弟姉妹が2人いるならば、1人あたり1/8の500万円が法定相続分です。
■「配偶者」と「孫」
資産が1億円あったとしたら、配偶者に1/2の5,000万円、
孫に1/2の5,000万円が法定相続分となります。
孫が2人いるならば、1人あたり1/4の2,500万円が法定相続分
です。
■「配偶者」と「祖父母」
資産が3,000万円あったとしたら、配偶者に2/3の2,000万円、
祖父母に1/3の1,000万円が法定相続分となります。
この場合も、祖父母の人数に応じて分けられるため、祖父母が4人いるならば、
1人あたり1/12の250万円が法定相続分です。
■「配偶者」と「甥・姪」
資産が4,000万円あったとしたら、配偶者に3/4の3,000万円、
甥・姪に1/4の1,000万円が法定相続分となります。
この場合も、甥・姪の人数に応じて分けられるため、甥・姪が2人いるならば、
1人あたり1/8の500万円が法定相続分です。
■「法定相続人」が少人数に限られている場合は?
資産が1億円あったとして、法定相続人が「配偶者のみ」の場合は、
そのまま1億円が配偶者の法定相続分となります。
これは「子どものみ」、「親のみ」、「兄弟姉妹のみ」でも同様です。
■「法定相続人」が相続破棄をした場合は?
「法定相続人」が相続破棄をした場合は、次の順位の人たちに引き継がれます。
例えば、法定相続人である「子ども」が相続破棄した場合、第2順位の
「親」が法定相続人となります。
相続破棄した人は、初めから法定相続人ではなかったことにされるので、
代襲相続も起こりません。
■遺言書による分割割合
遺言書に書かれている分割割合に、法定相続人の「遺産分割協儀」で、
遺言書とは異なる分割割合にすることに合意すれば、その割合で分ける
ことも可能です。
もちろん、法定相続人全員が遺言書に書かれている分割割合に合意すれば、
その割合のとおりに遺産が分けられます。
遺言書がなければ、法定相続人の「遺産分割協議」で自由に決めること
ができます。
法定相続割合と異なる分け方にすることも可能です。
「法定相続人」は何親等まで?
法定相続人は、基本的には3親等までです。
ですが、遺言書に書かれていれば、だれでも法定相続人になることができます。
また、配偶者には親等が割り振られておらず、あくまで「配偶者」という立ち
位置で、本人と同列として扱われるので覚えておきましょう。
法定相続人とは?分割割合は?何親等まで?わかりやすくご紹介 おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、「法定相続人の意味や分割割合」、「何親等まで相続可能か」
についてご紹介しました。
「いや、うちは兄弟仲が良いから」と油断しているあなた。
そのご兄弟の奥様はどんな性格でしょうか?
あなたと仲の良い兄弟に何か入れ知恵をしたら?
法定相続について詳しく知っておくことで、遺産相続の際のトラブルを
未然に防げる可能性が高いのです。
どうしても心配な方は、税理士や弁護士などの専門家にも事前相談
してみましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。